当ブログは2014年7月に中国メーカー製のガジェット、特にオーディオ機器(特にDAP=デジタルオーディオプレーヤー)やスマートフォン、タブレットを主に取り上げるブログとして誕生し、はや丸8年近く運営してきました。開設当時は中国メーカーのタブレットの輸入はAliExpressというよりも赤札天国、そして徐々にGearBest(倒産)やBangooodといった中華通販、そして最近は淘宝網での個人輸入と置き換わってきました。スマートフォンに目を向ければOPPO、Xiaomi、そしてPOCOも日本で正規販売に舵を切り、わざわざ海外版のスマートフォンを輸入する必要性が薄れて来ているのも事実です。
本記事では、中華ガジェット専門ブログとして生まれたChinaR(ちなーる)管理人として、ここ8年間で起きた中華スマホやタブレット、オーディオ機器のトレンドの変化を特集。中華ガジェット好きが今後何を買っていくべきなのか考察していきます。
POCO F4 GT
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カエレバ
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国内正規代理店の努力によって家電量販店での販路を広げたオーディオ機器
FiiO X5 Ⅲ |
まずは当ブログのURLにもある「ChinaDAP」のオーディオ機器から。見出しの通りではありますが、このブログが始まった頃に比べるとスマートフォンの他にあえてデジタルオーディオプレーヤー(DAP)を用意して有線や無線で音楽を楽しむというのは市民権を得て、そして失い、多くのDAPが家電量販店でも当たり前の様に販売されるようになりました。
当ブログ解説前の2011年頃ははまだポータブルのヘッドホンアンプが少しずつ巨大化していた頃(FiiO E7など/2010年)で、DACの性能も徐々に上がってきていた時期。ブログの解説時に据え置きでようやくDSDネイティブ再生が流行り始め、2015年にDSDネイティブ再生対応でありながら低価格なDAPであるFiiO X3 2ndが登場したような時期でした。
今ではすっかり超高価格帯のDAPばかり作っているFiiOですが、当時は2,3万円ほどで購入できる廉価なDAPを多く登場させており、低価格で高音質、コスパに優れたメーカーとして知名度を持っていた頃。国内正規代理店はオヤイデ電気(2017年からエミライに交代)で大手家電量販店にも販路を持っていました。
個人輸入は廃れるも、一定程度のオーディオ機器ニーズは継続
今では中国の新興オーディオメーカーであるFiiOやCayin、Hiby、Shanling等は当たり前のように大手家電量販店に販路をもち販売。FiiOの国内正規輸入の初期は「オヤイデ税」なんて言われていた海外との価格差も薄まり、大衆化してきた印象。アンケートではオーディオ機器の個人輸入については50%以上が「役目は終わった」と回答するほどでした。
ただし、オーディオ機器自体のニーズは一定程度あるようで、高価格帯が当たり前となった中華オーディオ機器に関してで言えば、19%の方が「今後も伸びる」、38%が「変化はない」との回答。ただし、28%が「終わった」、14%が「縮小傾向」との回答で4割以上が縮小、と見ていることも留意が必要です。
私の主観で言えば、個人輸入はもちろんのこと、わざわざDAPや有線イヤホンを新規で購入する必要性は全くなくなったというのが本音。未だにFiiO
M6を後生大事にLDAC送り出し専用機として使っており、ワイヤレスヘッドホンのSONY
WH-1000XM4とワイヤレスイヤホンのCoumi ANC-861を利用しているくらい。有線イヤホンは手元に残しているものの1年近く利用していません。同じような人が他にもいると考えれば、中華オーディオ機器の需要というのは人によっては減っていくのかもしれません。
M6を後生大事にLDAC送り出し専用機として使っており、ワイヤレスヘッドホンのSONY
WH-1000XM4とワイヤレスイヤホンのCoumi ANC-861を利用しているくらい。有線イヤホンは手元に残しているものの1年近く利用していません。同じような人が他にもいると考えれば、中華オーディオ機器の需要というのは人によっては減っていくのかもしれません。
WH-1000XM5
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需要が廃れつつあるUMIDIGI等の中華スマホメーカー
UMIDIGI F2 |
当ブログを開設した頃はそもそも「中華スマホ」と呼び、価格は安いけど品質やデザイン、細かい部分は微妙、というスマートフォンメーカーがXiaomiでした。あとは、瞬間風速的にヒットし、消えていったLeeco(LeTV)/当時の記事、今でも立ち位置の変わらないUlefone(当ブログ内)といったところがメジャーどころでした。
現在では2018年に日本上陸したOPPOを皮切りに、Xiaomi、そしてPOCOも日本上陸。Meizuも日本投入の噂もありましたが投入には至らなかったものの、中国でも高いシェアをもつOPPO、Xiaomiの2社が日本市場でミドルハイモデルであるOPPO
Reno7 AとXiaomi Redmi Note 11 Pro
5Gでおサイフケータイ採用してガチンコ勝負をするような状況というのは数年前には想像もできませんでした。
Reno7 AとXiaomi Redmi Note 11 Pro
5Gでおサイフケータイ採用してガチンコ勝負をするような状況というのは数年前には想像もできませんでした。
さて、ローカライズされた中国メーカーの高機能モデルが低価格で手に入るとなると、日本向けのローカライズ(おサイフケータイなど)もなく、スペック対比ではそこまでコスパが良いというわけでもなく、さらには納入遅延を起こしたりもするUMIDIGIやUlefone、Elephoneといった「中華スマホ」の存在意義は特に日本市場では低下してきているのかと思われます。
アンケートでも中華スマホの今後について「終わった」・「縮小傾向」で82.5%を占める形に。今後も伸びるという回答は7.5%にとどまり、将来性を悲観する回答が多かったように感じます。
たぶん特殊な子じゃないと売れなくはなるかなぁと思う
— かのあゆ (@Kanon_Ayu)
June 21, 2022
なお、ウインタブでの執筆歴もあるかのあゆ氏は「特殊なスマートフォン」でないと売れないのではとのコメント。具体的には「タフネス」とのコメントでしたが、実際にどこまでタフネススマホの需要があるのかというのは未知数。だって、私達もタフネススマホは必要ないでしょう?
6月23日からはPOCOのフラグシップモデルであるPOCO F4
GTも日本で正規販売を開始。日本でも当たり前のように各メーカーのフラグシップモデルが投入されるようになると、廉価なものも、高機能なものも、両方で海外から輸入する必要がなくなってきている感じ。元祖中華スマホメーカーのようなUMIDIGIやUlefoneなどがどう生き残りを図っていくのか、というのは気になるところ。
GTも日本で正規販売を開始。日本でも当たり前のように各メーカーのフラグシップモデルが投入されるようになると、廉価なものも、高機能なものも、両方で海外から輸入する必要がなくなってきている感じ。元祖中華スマホメーカーのようなUMIDIGIやUlefoneなどがどう生き残りを図っていくのか、というのは気になるところ。
POCO F4 GT
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大手メーカーが本気を出し、中華メーカーは詐欺に走るタブレット
Lenovo Yoga Tab 13 |
スマートフォンに関して俗に言う「中華スマホ」メーカー、「山寨」メーカーとも言えるUMIDIGIやUlefone、Blackview等に逆風が吹いていることは先程触れた通り。対してより大きな製品にあたるタブレットはどうなのかも考えてみたいところ。特に当ブログの開設時から製品を出し続けているようなCHUWIやTeclast、ALLDOCUBE、今では名前を聞かなくなった原道にCube、PIPOといったタブレット版「山寨」メーカーのこと。
アンケートはそもそも投票数自体が少なかったためトレンドを把握することしかできませんが、「終わった」が35%、「縮小傾向」が41%で全体の8割弱が今後について厳しいという認識。特に現状Lenovoが中国でXiaoXin Padシリーズを発売してハイエンドタブレット市場を再燃させ、日本国内版も発売し、XiaomiがXiaomi Pad
5やSamsung/Galaxyも追従してハイエンドモデル~ミドルレベルを3万円台からリリースしていることを考えると尚更というもの。
5やSamsung/Galaxyも追従してハイエンドモデル~ミドルレベルを3万円台からリリースしていることを考えると尚更というもの。
大規模なスペック詐欺を行ったCHUWI HiPad Pro |
中華スマホに比べ、中華タブレットの方が全体的な品質が微妙だったこともあり、さらに昨年そんな中華タブレットの中でも品質を一定程度維持していたCHUWIが大規模なスペック詐欺を行ったこともあり中華タブレットメーカーへの信頼性も大きく損なわれました。
最近そんな元祖中華タブレットメーカーに代わって、UNISOCの低価格機向けプロセッサーを採用した新興メーカーも登場。以前本社取材を行ったVankyo/Vantopや、Vucatimes、中華スマホメーカーの横展開としてはBlackviewなどもUNISOC製プロセッサーを採用したモデルをリリース。1万円台でありながらフルHDディスプレイ採用モデルなど、Lenovoなどの製品のない超低価格帯で勝負をするようになりました。
どのメーカーの製品も、当ブログ開設時のように一部の機能がない、ということはなく純粋に大手メーカー製の廉価版といった形。特に自身で改造をする必要もなく、そのまま利用できる製品です。ガジェットとしての面白みが減り、ハイエンドモデルでもそれなりの額で購入できる選択肢ができた今日では、価格は中途半端に高く、品質面では不安が残る中華タブレットの未来は明るくないのかもしれません。
VANKYO Matrixpad S30T
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所詮「山寨」メーカーを脱せられるか。良いものには価値に見合った値段を払おう
OPPO Find X3 Pro(左)とXiaomi 11T Pro(右) |
こうやって振り返ってみると、中華オーディオ機器メーカーは家電量販店への販路も獲得し、大衆向けの低価格製品ではなく高価格・高機能製品を売れるブランド力を身に着けたのに対し、中華スマホ・タブレットは以前と変わらない初戦廉価、「山寨」という立ち位置を続けている感じ。その結果がアンケート結果のように「終わった」・「縮小傾向」が8割弱の回答を占める結果に繋がっているのではないでしょうか。
日本も世界も外的要因に寄るところが大きいとはいえ、物価高に触れている状況。安物買いの銭失いになるような製品よりも、高くても良いものに対して資産としても価値を感じて購入していく傾向が増していくのではないでしょうか。消費者の動向が変化していく中、中華タブレット/スマホメーカーがどのようにして今度こそ消費者に選ばれるようになっていけるのか、注目していきたいものです。
お知らせ:タグ名(ラベル名)を変更します
これまで当ブログでは、中華タブレット・中華スマートフォン特化のガジェットブログとして、タグ/ラベル名を「中華パッド」、「中華スマホ」としていましたが、中華製品のレビュー自体が減少し、実態と合わなくなってきていました。近日中にタグ名を「スマートフォン」「タブレット」に変更します。
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