【ASUS Zenfone 11 Ultra】Snapdragon 8 Gen 3搭載の高い性能とクセの無いカメラ、おサイフケータイとバランスの取れたハイエンドスマートフォンZenfone 11 Ultraレビュー
スマートフォンやガジェットを愛する方にとって欠かすことができないメーカーが台湾・ASUS。一昔前は多くの台湾メーカーがスマートフォンをリリースしていましたが、気がつけばその勢いも廉価な中国メーカーに押されてしまっている印象。そんな中、ひときわ目を引くスペックで存在感を放つモデルを投入しているのがASUSです。昨年の東京ゲームショウでもASUSのスマートフォン、ROGシリーズを展示していたのが記憶に新しいところ。
ゲーミングスマートフォンとしてはASUSからはSnapdragon 8 Gen 3を搭載したROG Phone 8が販売中。デザインはシンプルに抑えつつも急速冷却用のヒートシンクやQualcomm Snapdragon 8 Gen 3を採用しゲーミングのための性能をこれでもかと詰め込んだモデル。ただ、ゲーミング性能は必要なくて単純にハイスペックでサクサクな動作が欲しいという方もいるはず。そんな方のために登場しているのがZenfone 11 Ultraです。
ASUS Zenfone 11 Ultraはこれまでの小型なディスプレイが特徴的だったZenfone 10までと異なり画面サイズを6.78インチ・AMOLEDに大型化。Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3に12GB RAM、256GBストレージ(UFS 4.0)でこれでもかと性能を詰め込んだ製品に仕上がった実力派の製品です。今回はASUSさまより製品をお借りしてレビューします。
ASUS Zenfone 11 Ultraのスペック
ディスプレイ | 6.78型 LTPO AMOLEDディスプレイ (1~120Hz、最大144Hz)、Corning® Gorilla® Glass Victus™ 2、2,400×1,080ドット (フルHD+) |
CPU | Qualcomm® Snapdragon® 8 Gen 3 (オクタコア) |
OS | Android™ 14 (ZenUI) |
RAM + ROM | 12GB LPDDR5X + 256GB (UFS4.0)、16GB LPDDR5X + 512GB (UFS4.0) |
カメラ | アウトカメラ: 5000万画素 広角カメラ (F値1.9)、1300万画素 超広角カメラ (F値2.2)、3200万画素 望遠カメラ (F値2.4)、LEDフラッシュ インカメラ: 3200万画素カメラ (F値2.05) |
Bluetooth | Bluetooth® 5.4 |
USB | USB Type-C |
バッテリー・充電性能 | 5,500mAh、最大65W (Quick Charge 5.0/USB Power Delivery 3.0対応) |
重量(本体のみ) | 225g |
大きさ | 高さ163.8mm×幅76.8mm×奥行き8.9mm |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz/6GHz) |
ネットワーク | 5G NR、FDD-LTE、TD-LTE、キャリアアグリゲーション、W-CDMA、GSM/EDGE |
アクセントが光るスッキリとしたデザイン。持ちやすいサイズ感が魅力
ASUSのスマートフォンは私自身が利用するのは初めて。パッケージはASUSのAモノグラムをかたどった装飾がされており、スタイリッシュな印象に。同梱品は本体の他にクイックスタートガイド、ケース、USB Type-Cケーブルが入っていました。ケースはよくある透明なシリコンケースではなく、黒一色の薄型のプラケースで他社製のものを購入しなくても十分使えるスタイリッシュな印象なのが好感を持てました。
今回お借りしたのはエターナルブラック。ZenFone 11 Ultraはこの他に【スカイラインブルー】、【ミスティグレー】、【デザートサンド】の3色を加えた全4色のカラーバリエーション。どのモデルも背面にASUSのAモノグラムをデザイン。付属していたケースと同じようなシュッとした印象が魅力的です。
背面のカメラはメインカメラ(5,000万画素)の他に1,300万画素の超広角カメラ、3,200万画素の望遠カメラのトリプルカメラ。望遠カメラの画素数が高いのも個人的には嬉しいポイントでした。
Zenfone Ultra 11の重量は実測225g。同じく6.7インチのXiaomi 13T(レビュー)が195gだったことを考えると結構重め。ただ、手に持って使っている分で重い、と感じたことはなく許容範囲の重量と言えそう。重さの理由は後述しますが超・大容量のバッテリーとワイヤレス充電にも対応した利便性の高さが影響している印象です。
側面についても確認。電源キーとボリュームキーは右側の側面に配置されています。先程ふれたカメラについては横から見ると結構出っ張っている印象。ケースなしであちこちに置いたりすると傷つけてしまいそうで不安に感じることもありそうです。
Zenfone 11 Ultraは2024年発売のスマートフォンとしては珍しく3.5mmステレオミニプラグを搭載。本体の下部側面にUSB Type-C端子、SIMスロット、スピーカー、3.5mmステレオミニプラグといった外部端子類をまとめています。充電・データ通信用のUSB Type-Cが真ん中ではなく端にあるというのも不思議な印象でした。
SIMスロットはnanoSIM×2の構成。本機はeSIMには対応しておらず、物理のSIMカードを用意する必要があります。通信方式は5G帯でもn1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n18/n20/n25/n26/n28/n38/n40/n41/n48/n66/n77/n78/n79と広いバンドに対応。日本国内はもちろん、国外で利用する際にも安心して通信回線を利用できます。なお、Wi-Fiは6Ghz帯のWi-FI 6eにも対応します。
Zenfone 11 Ultraのディスプレイサイズは6.78インチと大型。LTPO AMOLEDディスプレイを搭載しており、解像度は2,400×1,080のフルHD+を確保。これまでの5インチ帯のZenfoneシリーズと比べて大型化。最大144Hzのリフレッシュレート(ゲーミング時・通常時は120Hzまで)、2,500nitsのピーク輝度で明るい日差しの下でも見やすい画面を実現しています。
ディスプレイの性能は高くDCI-P3カバー率は107%と圧倒的な色表現力の高さを実現。色再現精度はΔE<1で正確な発色を実現しています。Gorilla Glass Victus 2を採用しており、簡単に傷がつかないようになっているのも嬉しいポイントです。
Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3で超・圧倒的な性能を実現
Zenfone 11 Ultraは性能の要といえるSoCにQualcommの最新プラットフォームであるSnapdragon 8 Gen 3を採用。8 Gen 2からCPUは30%の高速化、GPUも25%の高速化を実現し、スマートフォン向けのSoCの頂点に立つモデル。ASUSのゲーミングスマートフォンであるROG Phone 8と同じSoCを採用し性能の高さは上位モデル譲りです。
Antutuベンチマークでは2,131,010点を記録。200万点を超える性能の高さを実現し、他の市場に一般的に流通しているスマートフォンと比べて上位4%に入る計測結果に。ゲーミングスマートフォンという位置づけではないものの、ゲーミングでも十分すぎる性能を確保。MediaTek Dimensity 8200-Ultra採用のXiaomi 13Tは89万点だったわけで、Antutuのスコアでは2倍以上の性能に。どれだけスムーズに動作するか、というのが理解できるかと。
ASUS Zenfone 11 Ultraの性能の高さはSoCだけではないのもポイント。Androidバージョンは最新のAndroid 14、セキュリティパッチレベルは2024年6月5日のものに更新されていました。ASUSはZenfone 11 UltraについてOSのメジャーアップデート保証もつけており、Android 16までの2回に渡って実施するとしています。最近では型落ちモデルであってもアップデートを続けるメーカーが増えてきてはいますが、必ず2回は実施を保証されていると永く使う上で安心できます。
Zenfone 11 Ultraにはストレージの容量が256GBと512GBの2モデルが存在。どちらもUFS 4.0を採用しており、高速なデータの読み書きが可能です。Antutuで計測してみたところシーケンシャルリードで3261MB/s、シーケンシャルライトで4365MB/sという速度を実現。容量の大きいゲームの起動や、4K動画の保存といったストレージ速度が求められる場面でも十分な速度を確保できるわけです。
私自身はゲームをスマートフォンではしないため、ゲーミングの性能についてはノーコメント。こればかりは他のブログ・レビューを参考にしていただければ。日常的には一般的なSNS(X、Instagram、LINE、WeChat)はもちろんのこと、WEBブラウジングやYoutubeの再生といったCPU性能はそこそこに求められつつ、RAMはそれなりに利用するアプリが中心。夏場は外の暑さも相まって発熱することでレスポンスが悪化する、なんてことがXiaomi 13Tでは発生していました。
Zenfone 11 Ultraでは、そもそもの性能の高さからアプリの起動や、機能の遷移、カメラの起動から撮影といった動作がすべてサクサク。それこそ暑い日差しの下で利用しても、本体は発熱してもレスポンスの悪化はほとんど感じないレベル。場所を選ばずに最高の性能を発揮できるようになっているわけ。
バッテリーの持ち時間の長さも嬉しいところ。5,500mAhの大容量バッテリーと、省電力性に優れたQualcomm Snapdragon 8 Gen 3の組み合わせで利用していても全く電池が減らないバッテリー持ちを実現しているのもポイント。私は3c toolsでバッテリーの状況の監視を行っていますが、バッテリー残量69%からでもスクリーンONで4時間近く利用できるという計算に。1日の外出程度であればモバイルバッテリー不要です。
大容量バッテリーの充電には65W急速充電での最速39分での満充電機能と、ワイヤレス充電のQi充電にも搭載。夜の間に充電し忘れたという場合でも、USB PD対応の充電器で充電すれば短時間で満充電して利用できるのは嬉しいところ。また、Qi充電も15W充電に対応しているため十分な速度で充電しておくことが可能です。
日常的な利用で欠かせない便利機能といえば、指紋認証も欠かすことはできないはず。Zenfone 11 Ultraは画面内指紋認証センサーを採用。もうすでにどこのメーカーでも画面内指紋認証を実装しているのは当たり前になってきており、わざわざその認証速度や精度を特筆するようなものではなく、本機もすぐに認証が可能です。センサーの位置は真ん中側に少し寄せており、スマートフォンを手に握った状態でも認証しやすい位置にあったのは嬉しい点でした。
Zenfone 11 UltraにはZenfone 8(2021年)からFeliCaを搭載しモバイルSuicaをはじめとした交通系ICカードや、おサイフケータイの電子マネーに対応。もう今では当たり前になったスマートフォンでのFeliCaでのタッチ決済をすぐに利用が可能です。すでにおサイフケータイを利用している方がZenfone 11 UltraにSuica・PASMOの残高を移行するのも、おサイフケータイアプリでの操作だけで完結できるため、とても簡単なのも安心して利用できるポイントかと。
Wi-Fi 6e接続対応で高速なWi-Fi通信。AIを利用した通話翻訳機能も対応
Zenfone 11 Ultraは6Ghz帯を利用することで高速な通信が可能なWi-Fi規格であるWi-Fi 6eに対応。従来の5Ghz帯では周波数帯の重複によるチャンネル数減少、速度低下の可能性が高まっている5Ghz帯のWi-Fiに比べて安定してスピーディーなネット回線をZenfone 11 Ultraでも享受することが可能です。
実際に自宅のTP-Link Archer AXE5400から出力しているWi-Fi 6eのアクセスポイントに接続。自宅のONUからAXE5400までの有線が1Gbpsに制限される状態ですが、ダウンロード919Mbps、アップロードも905Mbpsとほぼベストエフォートな結果に。大きな容量のゲームをダウンロードしたり、大容量の動画を保存するという場合でもサクサク進めることが可能です。
モバイルデータ通信については、日本で利用される周波数帯のほとんどに対応。当然5G接続にも対応しています。SIMフリーで販売されているため日本の大半のキャリアやMVNO(格安SIM)のAPN設定も自動で判別の上、設定が可能。私の場合はイオンモバイルのタイプ1を利用していますが、これも自動的に設定が完了していました。その他のAPNも画像のようにあらかじめ登録されており、安心して利用を開始できるわけです。
なお、本機はeSIMには非対応。海外などでSIMを購入して利用するという場合は、SIMカードを追加で挿入する必要があります。ここはできればeSIMに対応してくれていると楽で良かったのですが、贅沢は言えません。
本機が搭載するSoCであるQualcomm Snapdragon 8 Gen 3は生成AIの処理に対応し、AIに関する処理能力を大幅に向上。Zenfone 11 UltraにはこのAIを利用した機能も搭載しています。通話中の機能でいえば、AI通話翻訳機能が特徴的。電話において自動的に相手の声とこちらの声を翻訳して音声へと変換して伝えてくれるというもの。海外旅行中に電話する必要がある場合でも、これなら言語を気にせずに電話ができるというわけ。ただ、海外通話の予定がないためその実力は試せませんでしたが…
5,000万画素のSONY IMX890センサーで、クセのない鮮やかな写真を撮影
Zenfone 11 Ultraは5,000万画素の広角カメラ、3,200万画素の望遠カメラ、1,300万画素の超広角カメラのトリプルカメラをバックカメラに搭載。メインとなる5,000万画素の広角カメラにはSONY IMX890センサーを搭載。6軸のハイブリットジンバルスタビライザーに、ロスレス2倍ズーム機能を搭載し、写真でも動画でも安定した映像の撮影が可能。撮影時に水平器を表示させて正しい角度で撮影できる補助機能も搭載しているのも魅力的でした。
まずは通常の広角カメラでの作例から。全体的に癖のない色で個人的には好みの感じ。青空の写真だけ若干いろが鮮やかになりすぎている印象もありますが、ほぼ見たままの色使いに仕上がっている印象です。夕暮れ時の景色は機種によってはHDRが頑張りすぎてしまい、不自然な鮮やかさがあることもありますが程よい色使いでした。
食事の写りについても検証。どうしても暗い店の場合はその暗さで色をうまく捉えられないところがあり、くすんだ色になってしまう印象。ただ、赤みのあるビリヤニなどはいい感じに再現できていることもあり明るめの場所であればなかなかきれいに撮影できていました。サクサク撮影できるため、食事の際に写真を撮るのに時間をかけずすぐに食べ始められたのも個人的には良いなと感じた点でした。
この他にも簡単な作例を。全体的に余計なことをせず、見たまま、そのままの色使いができるという点でZenfone 11 Ultraのカメラは大変優秀。食事の作例でも書きましたが、カメラを起動してからシャッターを押して実際に撮影されるまでのタイムラグも非常に短く、シャッターチャンスを逃さないのも本機のポイントでした。
夜景の撮影に関してはこのサムネイルだけを見るとそこそこきれいに写っているように見えるかと。色の具合は他のスマートフォンのカメラと比較しても自然な青を表現できている印象です。ただ、最後のそごうの看板については、青くしすぎている印象もありますが、Xiaomin 13Tで同じ写真を撮影してみてもほぼ同じ仕上がりだったので、仕方ないのかも。
時間のある方は写真をクリックして拡大してみていただくと良いかも。写真自体はリサイズしていますが、画質については特にいじっていませんので概要がつかめるかと思います。全体感は整った写真ですが意外と暗い場所ではノイズが乗っているようで車やロゴの周辺、水面の反射あたりはギザギザ感が出てしまっている印象。ここはセンサーサイズの限界かもしれない印象でした。
圧倒的なサクサクと基本性能の高いSnapdragon 8 Gen 3をお手頃に楽しめる機種
今回レビューしたASUS Zenfone 11 Ultra。個人的には何かが突出してすごい、ということよりもあらゆる機能、スペックについてどれもレベルを上げてバランスよく高性能を楽しめるモデルという印象でした。IntelのSoCを搭載していた頃ではなく、他社と同じSnapdragonを搭載していることで、尖った部分がないといえばない機種ですが、それがユーザーの求めるものに合致しているのではないかと。
日本国内で販売されているスマートフォンで、おサイフケータイ対応のSnapdragon 8 Gen 3搭載の製品は意外と数が限られている感じ。Zenfone 11 Ultraは6.78インチという大画面の使い勝手と、8 Gen 3の性能、クセのない味付けの高画質カメラと、心地よい性能を搭載しつつ13万円台で購入できる価格感を実現したバランスの取れたモデルといえます。これから「良いスマホ」を探す方にはぜひオススメしたいモデルです。
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