
ASUS JAPANが放つゲーミングスマートフォンの最新傑作「ROG Phone 9シリーズ」が登場。今回はそのスタンダードモデル「ROG Phone 9」(ストームホワイト)をASUS Japanさまより2週間お借りして、徹底的に使い倒してみました。ゲーミングスマホとしてのスペックの高さはもちろん、デザイン、スペック、重いゲームでの挙動、カメラの写真・動画性能、そして日常での実用性まで、全てが「これ一台で何でもあり」な圧倒的な性能を実現した製品でした。
Snapdragon 8 Elite搭載でAntutuスコアは実測値で280万点超の圧倒的な性能を実現。おサイフケータイも搭載したことで日常使いにおける実用性の高さも魅力的なモデル。薄型サイズで持ち運びやすさも両立した万能スマートフォンASUS ROG Phone 9は159,800円から購入可能です。
ゲーミング魂と日常使いの美しさが共存したデザイン


ROG Phone 9のパッケージは、ROGのロゴマークを印字したブラック主体のデザイン。スマートフォンのパッケージというよりはゲーム機のそれ、といった感じです。同梱品はアクリル製の半透明ケース、AC-USB充電器、USB Type-Cケーブル、説明書です。

充電器は最大65W出力に対応した高出力モデルを同梱。Qualcomm QuickCharge 5に対応していることも表示されています。通常の65W出力に加えて、PPSでの出力にも対応していました。サイズは少し大きめのため持ち運んで使うというよりは家に常備して利用するという使い方が良さそうです。


ROG Phone 9を手に取った瞬間、まず目を引くのがそのデザイン。お借りしたストームホワイトは、光沢のある背面にマットなフレームが映え、ゲーミングスマホらしいエッジの効いた雰囲気と洗練された美しさを両立しています。サイズは高さ163.8mm×幅77mm×厚さ8.9mm、重量は実測226gで、ゲーミングスマホとしては驚くほど軽量に仕上がっています。手に持つと自然にフィットする持ちやすさで、長時間持っていても疲れません。




各側面についても確認。縦向きを基準として右側側面には電源キーと、ボリュームキーを配置。また、右側側面の左右には感圧式の「AirTrigger」を配置しているのもポイント。詳しくは後述しますが、ゲームでは物理ボタンのような形で利用したり、カメラではシャッターボタンとして利用できるようになっています。

左側の側面には真ん中にUSB Type-Cポートを配置。横向きでゲームをするときにちょうど下に充電端子が来るような構造になっているわけです。下部側面にもUSB Type-C端子を左側に、またnanoSIMスロット、3.5mmステレオミニジャックも底面に配置しています。USB Type-C端子は左面と下部の2つに搭載することで充電しながらコントローラーを接続するという使い方が可能なのも斬新でした。
nanoSIMスロットはnanoSIM×2のデュアルSIMに対応。SIMスロットの裏表にいれることができるようになっています。また、本機はASUS ROGシリーズ出始めてeSIMにも対応。2枚の物理SIMでも、1枚の物理SIM+eSIMの構成でデュアルSIMデュアルVoLTEに対応。海外で利用するようなときにもスムーズにSIMを切り替えて利用できるのが嬉しいポイントです。


背面にはうっすらとROGのロゴが印字。また、「AniMe Vision」を搭載しています。これは、85個のミニLEDが光ることで時計やバッテリー残量を表示できるもの。デフォルトのものに加えて自分でデザインしたアニメーションを流すことも可能です。光量は調整でき、暗い場所でも目立ちすぎないのがGOODです。

ディスプレイは6,7インチLTPO AMOLEDを採用。解像度は2400×1080のフルHD+の高解像度を実現しています。リフレッシュレートは1~120Hzの可変動作に対応し、ゲーム時には最大185Hzでも駆動が可能です。タッチサンプリングレートは720Hz、画面全体はゴリラガラス ヴィクタス2を採用し、傷が付きづらいのも嬉しいポイント。色再現制度はΔE<1と非常に高いのも見逃せません。

ディスプレイは常時表示機能の「Always-on Panel」にも対応。端末がスタンバイ時でも日付や時間、各種通知情報をパネル上に表示させることも可能です。これができるのは、画面非表示領域の分の電力消費の発生しないAMOLEDならでは。この時計の上の画像は好きなものに変更をすることもできるようになっており、自分好みのデザインを実現することが可能です。
Qualcomm Snapdragon Elite採用で、Antutu 288万点超の圧倒的な性能

「ROG Phone 9」のスペックは、ゲーミングスマホの頂点を極めたと言っても過言じゃない怪物級に仕上がっているのもポイント。詳細な仕様は以下の通りです。
- プロセッサ: Qualcomm® Snapdragon® 8 Elite(オクタコア、最大3.5GHz)
- メモリ: 12GB LPDDR5X(高速メモリ)
- ストレージ: 256GB UFS 4.0(超高速ストレージ)
- ディスプレイ: 6.78型LTPO AMOLED、解像度2400×1080(フルHD+)、リフレッシュレート1~120Hz(ゲーム時最大185Hz)、Corning® Gorilla® Glass Victus 2
- バッテリー: 5,800mAhデュアルセル、65W急速充電(Quick Charge 5.0/USB PD 3.0)、15W Qiワイヤレス充電
- 冷却: 先代比20%向上の内部冷却システム(ベイパーチャンバー+グラファイトシート)
- 接続性: 5G対応、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3、eSIM+nanoSIM×2
- 音響: デュアルステレオスピーカー、Dirac Virtuo™空間オーディオ、aptX™ Lossless対応
Antutuベンチマークでは実測値288万点の圧倒的な実力


実際のパフォーマンスを確かめるべく、Antutuベンチマーク(Ver.10.4.5)を実行。結果は288万点という他のスマートフォンを凌駕する圧倒的な点数でした。最近レビューしたスマートフォンでいえば、MediaTek Dimensity 9300+を搭載したXiaomi 14T Proで計測していましたが、こちらは173万点。CPU性能はもちろんのこと、Qualcommの強みとも言えるGPUのパワーを感じる結果でした。

なおAntutuストレージテストでもストレージの速度を計測。256GBのUFS 4.0によってシーケンシャルリードで3897MB/s、シーケンシャルライトで3362MB/s、そしてランダムアクセスでもリード1408MB/s、ライトで976MB/sという圧倒的な速度を確保。20GBデータ容量があるようなゲームであっても数秒で全データの読み込みを終えることができるわけ。AIスピードも552MB/sと高速な性能を実現しています。


今回はこの256GBのストレージと、Qualcomm Snapdragon 8 Eliteの性能を極限まで試すべく原神やゼンレスゾーンゼロ、崩壊:スターレイルや鳴潮といったストレージとGPU性能が求められるゲームをインストールしてテスト。この4タイトルをすべて常にインストールするという方はあまり多くはないと思いますが、256GBストレージのおかげでまだまだ余裕のストレージになっています。ただ、4K動画などをどんどん撮影するなら512GBモデルのROG Phone 9 Proなどを検討しても良いかもしれません。
ゲームのための機能を多く搭載したアシストツール「Game Genie」でゲームを快適に

ROG Phone 9では、ゲームを楽しむ人がより快適にゲームを楽しめるようにするアシストツール「Game Genie」を搭載。この機能では、ゲーム中のスマートフォンの状態をリアルタイムで表示できる「リアルタイム情報」や、録画機能、メモリ解放や通話機能を無効化してデータ通信のみに切り替える「データのみ」モード、ユーザーの操作を記録して自動操作を行う「マクロ」などを搭載。ゲーム中に画面の左上からポップアップで呼び出してツールを利用できるため、スムーズに必要な機能を利用できます。



AirTriggers機能も面白かった機能の一つ。デザインの説明時にご紹介した右側側面(横向き利用時には上の側面)にある感圧式ボタンであるAirTriggerに対して、押すと画面内の指定した場所をタップしてくれるというもの。コントローラーがなくても物理コントローラーのような動きをしてくれます。
例えば、原神を例に取れば通常攻撃ボタンに対して右のAirTriggerを、スキルボタンに左のAirTriggerを割り当ててこの感圧式ボタンの操作だけで戦闘操作をできるようにすることが可能。親指で画面をタップし続けるよりもより直感的に、ゲームコントローラーを使っているような感覚で操作をできるようになるわけです。この他にも26種類の機能を搭載しており、ゲーミングを強力にサポートします。
カテゴリ | 機能名 | 説明 |
---|---|---|
パフォーマンス | リアルタイム情報 | 端末の温度、SoCのクロック、表示フレームレートなどの情報をリアルタイムで表示できます。 |
メモリ解放 | ゲームのプレイ中にメモリを解放し、端末のパフォーマンスを改善できます。 | |
リフレッシュレート | 画面のリフレッシュレートを変更できます(60/90/120/144/165Hz/Auto)。 | |
バイパス充電 | 充電器を接続した際にバッテリーは充電せず、本体のみに電力を供給して発熱を抑えます。 | |
操作支援 | マクロ | ユーザー操作を記録して、自動操作を行うマクロを実行できます。 |
AirTriggers | AirTriggerのボタン配置の設定を表示できます。 | |
振動マッピング | 仮想キーを配置し、そのキーをタップ時に端末を振動させることができます。 | |
ジャイロスコープ | FPSゲームなどで、視線の動きを本体を上下左右に傾ける操作で行えます。 | |
ROG Instant Master | AirTrigger/マクロ/キーマッピングに関して、設定済みのプロファイルを適用できます。 | |
録画・キャプチャ | 録画 | ゲームプレイ中の映像をmp4形式で録画できます。 |
X キャプチャー | ゲーム中のキーイベントや勝利の瞬間などに、自動的にショート動画が録画されます。 | |
ショートクリップ | 「録画」とは異なり、あらかじめ設定した短い時間の動画を保存できます。 | |
AI Grabber ※NEW | ゲーム内に表示されているテキストデータをキャプチャーすることができます。 | |
視覚・操作補助 | スカウトモード | 画面の色が反転し、FPSなどのゲームで隠れている敵を認識しやすくなります。 |
クロスヘア | FPSゲームなどに便利なクロスヘア(照準)アイコンを画面内に表示できます。 | |
エッジツール | 画面内にアプリをフローティング表示できます。 | |
クイックコントロール | 特定の機能をゲーム画面内に配置し、ゲーム中に素早く呼び出せます。 | |
明るさを固定 | ゲームのプレイ中、画面の明るさを固定することができます。 | |
通知・干渉防止 | 着信拒否 | ゲームプレイ中に外部からの着信を拒否できます。 |
アラートなし | ゲームプレイ中に他アプリからの「通知」のあり/なしを選択できます。 | |
ロックタッチ | ゲームプレイ中に画面全体へのタッチをロックすることができます。 | |
データのみ | 通話機能を完全に無効化し、ゲーム中はデータ通信のみにします。 | |
ナビブロック | 誤タップを防ぐため、ゲーム中は各種ジェスチャー操作を無効にします。 | |
ネットワーク | ネットワークスイッチ | ゲームプレイ中にWi-Fiとモバイルネットワークを素早く切り替えることができます。 |
AI機能 | X Sense ※NEW | ゲーム中のキーイベントを自動的に検出し、有益な情報がポップアップでユーザーに通知されます。 |
バックグラウンド | バックグラウンドモード | ゲームを最小化しても、バックグラウンドでゲームを実行させ続けることができます。 |
鳴潮、ゼンレスゾーンゼロ、原神といった人気タイトルでゲーミング性能をテスト
ゲーミングスマホの本質はゲームでの実力。お借りしたROG Phone 9で、人気タイトルを最高設定でテストし、その挙動を細かくチェックしました。
『原神』はカクつくこともなく非常にスムーズ

まずはこのROG Phone 9のレビューのために初めてインストールした原神から。原神自体は重いゲームの定番のように紹介されますが、実際のところ後述するゲームに比べると世代が前なこともあり、最も重いゲームというわけではありません。ゲーム側の設定を最高画質(60FPS)に設定し、序章からスタート。
第一幕までしかプレイしていませんが30分ほどプレイしてもフレーム落ちなくサクサク遊ぶことができました。発熱の少なさも驚くべきポイントで、背面が少し温かくなる程度。AirTriggersで攻撃ボタンを感圧ボタンで操作できるようにしたことで、操作性がコントローラー並に向上したため親指が疲れるということもなく楽しむことができました。
ゼンレスゾーンゼロ・鳴潮の戦闘シーンもスムーズに描写。快適なゲーミングを実現



ここからは有識者を招いてゲーミング性能を徹底的に検証します。ROG Phone 9でも外部コントローラーをUSB Type-Cで接続して利用することが可能。キーマッピングを調整したら、あとは快適にゲームを楽しむだけ。USB Type-C端子が2つあるため、スマートフォンスタンドなどで下部のType-C端子を使えるようにしておけば、充電しながらコントローラーでプレイすることも可能です。

派手な戦闘シーンであっても、カクつきを感じることなくプレイ。Game Genieのリアルタイム情報機能を使ってGPU利用率や、FPSの状態、温度を確認しながらプレイしていましたが、戦闘シーン中でもFPSは常時60FPSを維持。GPU利用率は80%ほどで、Snapdragon 8 Eliteのパワフルさを存分に活かして遊ぶことができています。
ただ、若干気になったのがエフェクトムービーに切り替わる瞬間のラグ。一部の必殺技などのエフェクト表示の読み込みで、全部ではなく一部のキャラクターで再生が詰まる場面があった感じでした。



鳴潮でもグラフィックを最高に設定してプレイ。自動調整機能もOFFにして、可能な限り最高画質でプレイしていきます。こちらも他のゲームと同様戦闘シーンもどんなシーンでもカクつきを感じることなくスムーズに遊ぶことができたのが印象的。どちらのゲームであっても、ROG Phone 9から確認できる端末温度は37℃までにしか上がらなかったのも印象的でした。
実際にゲームをプレイしている様子はこの動画からも確認可能。派手な戦闘シーンでもスムーズに動作している様子が確認できます。
先代より20%向上した冷却システムで、長時間のゲーミングを支える

ROG Phone 9の放熱性能は、ゲーミングスマホとしての実力を存分に発揮できる仕上がりに。ベイパーチャンバーとグラファイトシートを組み合わせた内部構造が熱を効率的に分散し、長時間のハイパフォーマンスを維持することが可能。なんと、Qualcomm Snapdragon 8 Eliteという現行最高峰のSoCを搭載しながら、先代モデルよりも冷却効率を20%向上したんだとか。
さらに、別売りの「AeroActive Cooler X Pro」を装着すると冷却効率が29%アップ。1時間の『CoD Mobile』プレイでも熱をほとんど感じず、サブウーファーの重低音が臨場感を高めてくれるんだとか。バイパス充電機能もあり、ゲーミング中は電源を接続してもバッテリーを充電せず動作させることで更に発熱を抑えることができるのも嬉しいところ。
ゲーミングスマホでも光学手ブレ補正(OIS)搭載の5,000万画素カメラを採用

ROG Phone 9では、自然な色味を強みとするASUSスマートフォンの高画質カメラの伝統を踏襲。5,000万画素のメインカメラに、1,300万画素の超広角カメラ、500万画素のマクロカメラに3,200万画素のフロントカメラを搭載。詳細な各カメラのスペックは以下の通り。
- 広角: 5000万画素(f/1.9、OIS+EIS、5度手ブレ補正)
- 超広角: 1300万画素(f/2.2、120°視野角)
- マクロ: 500万画素(f/2.0)
- インカメラ: 3200万画素(f/2.5)
特に5,000万画素の広角カメラの性能は要注目。6軸のジンバルモジュールを搭載。光学手ブレ補正(OIS)と、電子手ブレ補正(EIS)の両方を備え、先代モデルから動画の補正角度を3°から5°に拡大したことで従来のスマートフォンを大きく超える手ぶれ補正を実現したのがポイント。実際に今回は広角カメラで多くの写真を撮影したり、動画を撮影しての性能をチェックしました。
水平器を搭載し、水平感の整った写真を簡単に撮影



写真を取る際に気になってしまうのが、水平が整っているかどうか。一眼レフで写真を撮る時も、スマートフォンで写真を撮るときのどちらでも、ふと気がつくと微妙に斜めになった写真を撮影してあとからトリミングをしたり、微妙に端が汚い状態になってしまうことがあるはず。本機は水平器機能を搭載しており、少し傾いた状態からラインが表示され、ぴったり平行になったら青色になるようになっています。

内蔵ジンバルを活かして1、2°程度の傾きについては補正してくれるような挙動なものポイント。きれいな水平感のある写真を簡単に撮影できるようになっています。サクサク構図が整った写真を撮影していけます。
全体的に薄味の色使い。デジタル感が若干ある写真の仕上がり



ここからはROG Phone 9で撮影した写真を見ながらそのカメラ性能を確認していきます。まずは、広角レンズで1倍・23mm換算で撮影した際の写真から。青空と建物コントラストが大きい風景です。同じ場所を時間は異なりますがXiaomi 14T Proと撮影したものと比較。ROG Phone 9は写実的に見たままを写す仕上がりになっている印象でした。影になっている部分も明度を上げるHDRが効いた写真になっています。写真を拡大してみると縁の部分にシャープがかかっており、デジタル感の強いクセがあるように感じました。



今回は飛行機に乗って北海道は富良野までROG Phone 9をもってひとっ飛び。Snapdragon 8 Eliteのおかげで非常にスムーズに動作するため、「この場面を撮りたい」というときにすぐに取り出して、カメラを起動しシャッターを切るという動作をスムーズに行うことが可能でした。
沖止めの飛行機に向かって移動し、バスを降りた瞬間にシャッターを切ったり、離陸してふと見えた外の景色をズームをして撮影するなんてこともROG Phone 9なら一瞬で可能。狙った瞬間を逃さないカメラの速度にも満足です。
撮影した写真にはROG Phone 9のロゴと撮影時のレンズの情報やF値、シャッタースピード、ISOについても記録することが可能。レンズ情報に関して、Xiaomiのスマートフォンなどはズーム時に35mm換算で変換した情報を記載しますがROG Phone 9ではあくまでも利用したレンズの情報を記載し、ズームについては考慮しないようでした。



旭川空港からバスに揺られること1時間。新富良野プリンスホテル(宿泊記)に到着。ホテルに到着したのはお昼の12時頃でしたが、ほぼ春スキー期間に近かったこともあり空いていたのか部屋の準備ができており入室することができました。
バスの車内や到着したホテルの部屋の写真がわかりやすいですが、全体的にシャープネスが強め。カメラで撮影したと言うよりは、スマホで撮影したというのが分かりやすい撮影感です。ホテルの部屋の写真の電球部分の表現が分かりやすいかも。



宿泊中には昼食や夕飯で食事をしたのでその様子も撮影。ROG Phone 9のシャッター音はかなり小さく、カチッという音が僅かになる程度。1日目の夕飯には2枚目のようにコース料理を頂いただきましたが、静かなレストランの中でも目立たずサッと撮影することができました。
レストラン会場は暗かったため、撮影データを見てもISO780と高めで撮影。シャッタースピードも2枚目は1/24、3枚目は1/9とかなりゆっくり撮影しています。3枚目は夜景モードに切り替わって撮影しており、かなり暗いレストラン(Soh’s Bar)でも明るく撮影することができました。ただかなり粗めの仕上がりなのは少し残念。



訪ねた当日は快晴でスキーには絶好の天気。東京の暖かさに対して訪ねた当日の富良野は一日を通して概ね氷点下の気温、かつ、夜の間には雪が降ってくれてゲレンデコンディションも良好。ロープウェイやリフト、ゴンドラに乗って頂上まで一気に登ってしまいます。
スキーを履いた状態でも、胸ポケットにしまっておいたROG Phone 9を取り出してシャッターを切ればスムーズに山頂からの景色を撮影可能。スキーウェアの胸ポケットは外気をモロに受けるため、内側にしまったスマートフォンもかなり冷えている状態でしたが、それでも問題ない動作でした。
6軸ジンバルジンバルの光学手ブレ補正+電子手ブレ補正でスマートフォンとは思えないスムーズな動画を撮影可能


滑走中に威力を発揮するのが6軸のジンバルモジュールを活かした光学手ブレ補正(OIS)と電子手ブレ補正(EIS)による手ブレ補正機能。動画撮影をする際に設定画面を開くと、手ブレ補正機能について「Adaptive」と「HyperSteady」の2種類を選択することが可能です。文字通りHyperSteadyのほうが手ぶれ補正の強度が強くなっており、動きながら撮影するのに適したモードです。Adaptiveの場合はズームを利用できますが、HyperSteadyの場合はズームの利用はできません。
実際に富良野スキー場・富良野ZONEの山頂からA1コース、そしてそのままダウンヒルコースであるA2コースをROG Phone 9で撮影しながら滑ってみました。動画自体はHyperSteadyではなく、Adaptiveで撮影しましたがブレなく撮影をできている印象でした。
ただし、動画のようにROG Phone 9を持っている手の向きが変わればそれに合わせて撮影している向きも変わっていくことは要注意。ジンバル内蔵とは謳っていますが、DJI Osmo Pocketのようにアームでカメラを浮かべているわけではないため、向きや傾きを補正できる角度には限界があります。
ただ、光学手ブレ補正を搭載している他のスマートフォンと比べてもその手ぶれ補正の能力は高く、スマートフォンだけで動画撮影も完結させたいという方にはピッタリのカメラ画質と言えるはずです。
日常使い:ゲーム以外でもストレスゼロの使い勝手が嬉しい

ここまではASUS ROG Phone 9のゲーミングとカメラの性能を徹底検証してきました。ROG Phone 9はそれ以外にも最先端のAI機能や、公共交通機関を利用する際に圧倒的な利便性を実現するモバイルSuica・おサイフケータイへの対応など、使い勝手の高さが魅力的でした。
進化したAI機能で、リアルタイム文字起こしに対応

Qualcomm Snapdragon 8 Eliteの高いAI性能を活かした、豊富なAI機能も魅力的でした。個人的に嬉しかったのがAI文字起こし機能。他のスマートフォンでも徐々に対応が始まっている、音声レコーダーでのリアルタイム文字起こし機能に対応。音声レコーダーを起動して、文字起こしメニューを表示すれば録音をしている内容をそのまま文字起こししてくれます。


設定メニューからAI文字起こしの「音声録音時に即座に文字起こしを実行する」を選択の上、AIテキストキットをあらかじめダウンロードすれば高い精度での文字起こしを実現。実際に表示されている内容を見てみても、一部の内容には間違いがあるものの見返したらすぐに理解できる高い精度で文字起こしをすることができました。


感動したのが通話の自動録音+自動文字起こし機能。電話をしたり、電話を受けたときにその内容を自動的に録音し、文字起こしまでしてくれるという機能です。あのとき誰と何を話ししたのか、というのを自動で文字起こしすることで直ぐに確認することが可能。
また、文字起こした内容について要約を作成することも可能。ChatGPT等を利用したオンラインのサービスに比べると日本語の固有名詞の精度についてはどうしても難がありましたが、それ以外は高精度で内容を理解して生成することができました。ROG Phone 9ならもう電話の際にメモを取る必要もないわけです。
ワイヤレス急速充電にも対応。バッテリー持ちの良さも魅力的


バッテリー持ちや、バッテリーを長持ちさせるためのバッテリー管理機能も嬉しいポイント。Qualcomm Snapdragon 8 Eliteは高性能でありつつ、低消費電力で電力効率を高めることでバッテリー持ち時間を長時間化。利用頻度が少ない状態ならば1日+10時間電源ONでもバッテリー残量が81%という驚異的なバッテリー持ちを実現します。
ROG Phone 9は65Wの急速充電に対応。約46分で満充電になる高い性能を実現しています。ただ、あえて低速で充電する低速充電機能や、夜充電器に接続した際には満充電時間を調整して充電することでバッテリーの劣化を抑える予約充電機能にも対応。バッテリー持ちを維持するための仕組みの多さもポイントです。

有線での急速充電だけでなくワイヤレス充電にも対応しているのもポイント。ROG Phone 9では15Wのワイヤレス充電に対応しており、充電器のうえに置くだけでスピーディーに本体を充電しておく事が可能です。外出先などでは有線の急速充電を、自宅では定位置においた充電器に置いておくだけで充電、という使い方なら便利に日常使いが可能です。
おサイフケータイに画面内指紋認証、各種ストリーミングサービスのHD再生対応もバッチリ

ROG Phone 9は、ゲーミング性能を高めた「ゲーミングスマートフォン」ですが、日常的な使い勝手もこだわっているのはこれまでの内容でもおわかりいただけたはず。個人的に嬉しかったのがおサイフケータイ(FeliCa)に対応していること。多くのゲーミングスマートフォンは、性能を優先しグローバルモデルをそのまま日本に投入することが多くおサイフケータイは非対応というモデルが多い印象。
ASUSは、ゲーミングスマートフォンのROG Phoneであっても日本向けのローカライズをしっかり実施。ROG Phone 9でもモバイルSuicaやモバイルPASMOを利用することが可能です。メインスマホとして全く問題のない機能性を実現しているわけです。

画面ロックは、画面内指紋認証センサーと顔認証を利用可能。画面内指紋認証センサーは、非常に高速な動作で認証にもたつくことなく指を画面に当てればすぐにロックを解除することができました。


最後にAmazonプライム・ビデオやNetflixでのHD再生に必要なWideVineセキュリティレベルについても確認。セキュリティレベルはL1で、こちらも問題なし。メインスマホとして欲しいおサイフケータイも、画面内指紋認証も、WideVineセキュリティレベルもどれも抜かりのない仕上がりでした。
ゲーミング性能の高さは当たり前。カメラも日常使いも妥協しない最強のスマートフォン

今回レビューしたROG Phone 9。SoCにQualcomm Snapdragon 8 Eliteを採用し、12GB RAM、256GBストレージを搭載し圧倒的性能でどんなゲームであってもサクサクと動かすことができるハイエンドゲーミングスマートフォンでした。ただROG Phone 9はゲーミング性能の高さに加えて、6軸ジンバルによって徹底的に手ブレを抑える光学手ブレ補正による動画撮影や、5,000万画素センサーによる高画質な写真撮影を実現するカメラ性能の高さも魅力。
さらに、おサイフケータイの搭載やAI性能を活かしたリアルタイム文字起こし機能に、高性能さと電池持ちの長さの両立を実現したバッテリーなど日常的に利用するスマートフォンとしての機能も網羅。ゲーミングスマートフォンと、メインスマホを別々に持ち歩かなくてもROG Phone 9一台ですべてが完結できるまさに最強のスマートフォンでした。
「ROG Phone 9」は2025年3月28日(金)発売。無印ROG Phone 9は159,800円で購入が可能で、ハイエンドモデルの中では比較的手に入りやすい価格も魅力の製品です。同時にRAMやストレージなどを強化したROG Phone 9 Proも登場。ゲームも日常使いも妥協したくない方にこそ注目して欲しい製品です。