
完全ワイヤレスイヤホンは様々なメーカーがしのぎを削っており、当ブログでも数多くの製品を試してきました。最近の製品はアクティブノイズキャンセリング機能は当たり前に搭載し、騒音の多い場所でも安心して使えることをアピール。また、ガジェット系のメーカーであっても音質にもこだわった製品が多く登場しています。
今回はトリプルドライバー構成やaptX Lossless対応、最大55dBのアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載したXiaomi Buds 5 Proをメーカーよりお貸しいただきレビュー。約1週間にわたって様々な場所で実際の音質や、ノイズキャンセリングの性能などを徹底的に検証しました。Xiaomi Buds 5 Proは24,980円にて各種通販サイトで販売中です。
Xiaomi Buds 5 Proのスペック
項目 | 詳細 |
---|---|
コーデック | aptX Lossless(48kHz/24bit、2.1Mbps)、LDAC、AAC、SBC |
ドライバー | 11mmデュアルマグネティックダイナミック、セラミックツイーター、プラナードライバー(トリプル構成) |
ANC | 最大55dB、AIノイズリダクション付きトリプルマイク |
再生時間 | 単体:6.5時間(ANCオン)、10時間(ANCオフ) ケース込:38時間(ANCオフ) |
防水性能 | IP54(イヤホン本体) |
Bluetooth | 5.4 |
機能 | マルチポイント、空間オーディオ(Dimensional Audio)、専用アプリ(Xiaomi Earbuds)、ヘッドトラッキング、EQカスタマイズ |
重量 | イヤホン:5.4g(片側)、ケース込:49.5g |
開封と外観



パッケージはシンプルで高級感のある白いボックス。開封すると、充電ケースとイヤホンが丁寧に収められています。付属品はUSB-Cケーブル(約30cm)、シリコンチップ3サイズ、薄い多言語マニュアル。ケーブルは短めでモバイルバッテリーとの相性が良く、マニュアルは日本語対応で分かりやすい。




充電ケースは光沢のあるプラスチック製で、サイズは約60×50×25mmとコンパクト。重さは49.5g(イヤホン込)で、持ち運びやすい。ただし、光沢仕上げは指紋や傷が目立ち、1週間で細かな擦り傷が気になった。ケースの蓋はマグネット式で開閉がスムーズ、底面にUSB-Cポートとペアリングボタンを配置。LEDインジケーターでバッテリー残量が確認できる。


イヤホン本体はインイヤータイプで、1つあたり5.4gと軽量。光沢のあるステムとマットなハウジングがモダンな印象を与える。Sony WF-1000XM5(5.9g)やBose QuietComfort Earbuds(6.2g)と比べ、軽さとコンパクトさが際立つ。ただし、ステムの光沢部分は指紋が付きやすく、頻繁に拭く必要がある。HUAWEI FreeClipのようなイヤーカフ型と異なり、耳に挿入する設計のため、フィット感が音質に大きく影響する。
圧迫感のない軽い装着感が嬉しい。遮音性は少し低め


装着感を一言で言えば、軽いという印象でした。カナル型のノイズキャンセリングイヤホンは、パッシブでのノイズキャンセリング性能を確保するため耳管にぴったりとイヤーピースがフィットしてぴったり収まるという形状をすることが多い印象。Xiaomi Buds 5 Proはシリコンチップと短めのノズルによって軽めの装着感を実現しており、長時間つけていても気にならない感じになっているわけ。
実際に電車で遠出をする際や、自宅の周辺を散歩しそのまま在宅勤務という場合に試してみましたが、耳が疲れることなくつけ続けることができました。軽く小走りのような状態でも特にずれることなく使い続けることができており、装着感はなかなか良好です。ただし、その反面本体の遮音性は低めです。
ノイズキャンセリング時の音質の変化が気になる。解像感や音場は他社を上回る音

今回のレビュー期間は、自宅での在宅勤務や家事、散歩などの際はもちろんのこと電車で外出する場合にも利用してその音質や、ノイズキャンセリングの性能を確認。使用環境はXiaomi 13TでJriver Media Center(JRemote 2)経由で自宅のサーバーから320kbps MP3のストリーミングで再生しました。Xiaomi 13Tの場合はAACでの接続となり、Xiaomi Buds 5 Proの売りの一つであるロスレス伝送はあまり楽しめませんでした。

Xiaomi Buds 5 ProはGoogleが提供するGoogle Fast Pairに対応。ペアリングモードにした状態でスマートフォンの近くに置けば、自動的にスマートフォン側でBuds 5 Proを認識してペアリングを行うことが可能です。Apt-X Losslessに対応するスマートフォン(写真はPOCO F7 Ultra)ならLosslessのロゴが表示されてロスレス接続することが確認できます。
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音質は、正直なところ巷で言われる「最高の音質」というほどでは別にない印象です。うどん型の構造をしているカナル型のイヤホンは基本的に装着感はインナーイヤータイプと強めのカナル型の中間で、それに合わせて音場表現も控えめになる印象。Xiaomi Buds 5 Proもその傾向と同じく音場の表現は控えめという感じ。また、解像感についても高級機と呼ばれる製品などに比べるとそこまではない印象です。
ただ、同じような構造の当ブログでレビューした製品でいえばQYC MeloBuds Proや、EarFun Air 4 Proなどに比べれば音のリッチさは上という印象。うどん型のカナル型としては、音が上下に伸びる感覚は優れておりなかなかの音質というふうに感じました。


Xiaomi Buds 5 Proは専用アプリであるXiaomi EarBudsアプリで、オーディオ効果を変更することが可能。アプリでは”オーディオバランス”からイコライザーを変更可能。標準ではHarmanとチューニングを施したHarman AudioEFXモードが選択されています。このAudioEFXモードはHarman Kardon Golden Ear Teamによって低域と高域を強調したHarman Target Curveをもとに一般ユーザー向けに最適化されたもの。また、この他にも以下のモードを搭載しています。
- Harman Master:Harman Kardonと共同で高解像度とバランスを追求したモード。高域を強調し、ボーカルや楽器のディテールを引き立て、低域はタイトで、中域はクリアだがやや薄い。
- 低域を減らす:低域(60Hz~250Hz)を抑え、音場の透明感と中高域の明瞭さを高めたモード。ボーカルや楽器が際立ち、低音は控えめ。
- 高音強化:高域(4kHz~8kHz)を強調し、シンバルやストリングスのディテールを際立たせたモード。シャープで透明感があり、中域と低域は控えめ。
- 音声増幅:中域(1kHz~2kHz)を強調し、ボーカルや会話の明瞭さを向上させたモード。AIノイズリダクションと連携し、高域と低域は自然。
- オーディオマニア:高域のディテールとボーカルのクリアさを重視したモード(Harman Masterに類似)。高解像度志向で、シャープな高域とタイトな低域、中域はやや薄い。
- カスタム:10バンドEQで全周波数(20Hz~20kHz)を自由に調整できるモード。ユーザーの好みに合わせて最適化可能。
また、アダプティブサウンドと、アダプティブボリューム機能も搭載。アダプティブサウンドではユーザーの耳の形状や環境に応じて音質を自動調整する機能。耳道の構造を検知して音のバランスや空間オーディを最適化することでクリアで自然な音になるんだとか。

実際に今回は電車にのって外出する際にHarman Audio EFXをONにし、アダプティブサウンドもONで利用してみました。アクティブノイズキャンセリングと組み合わせることで、ホームではノイズキャンセリングが強くなりそれに合わせて本質の補正が入ったり、静かな場所では低域、高域のダイナミックさが増したりと調整が入っていました。
ただ、私の環境ではこの自動調整によってかえって音質が悪化してしまう場合がある印象でした。騒音が大きい場所(駅のホームや、線路沿いの道を歩いているとき)にはノイズキャンセリングを強くしようとした結果なのか、一気に音がのっぺりとしたものに変わってしまう印象。モードを変えたりしてみてもこの傾向は変わらず、AAC接続では実力を発揮することができませんでした。
アクティブノイズキャンセリング自体の性能に関しても個人的にはそこまで優れいている、とまでは感じなかったのが本音。製品情報では最大55dBのアクティブノイズキャンセリング機能を搭載しているとしていますが、イヤホン本体の遮音性がそこまで高くないこともあってか周囲の騒音がそれなりに入ってくる印象でした。電車内の後ーっという低周波ノイズに関してはキャンセルしつつ、車内の案内音声はそれなりに聞こえてくるため過信は禁物です。
専用アプリXiaomi EarBudsで多彩なカスタマイズを実現



Xiaomi Buds 5 Proでは専用のアプリであるXiaomi EarBudsでノイズキャンセリングの強さ、モードの変更やイヤホン本体の設定が可能。ノイズキャンセリングは、周辺の騒音に応じて強さを変更するアダプティブノイズキャンセリング機能を利用することも、強度を手動で調整することも可能です。また、外音取り込み機能を利用すれば周囲の音を取り込むので人と会話をしたり、アナウンスを聞きたい場面でも安心です。
操作はタッチセンサー式で、ハウジング部のタップやスワイプで再生/停止、音量調整、ANC切り替えが可能です。Xiaomi Budsアプリからはこのジェスチャーの動作についても変更が可能。標準では1タップで再生/一時停止を切り替えられるようになっていますが、必要に応じてこれも変更が可能です。


Xiaomi Budsシリーズで搭載されていることが多いのが録音機能。イヤホン単体に片側それぞれ120分ずつ音声を録音することができるので、ふとしたタイミングで会話の内容を録音したり、音声メモの代わりに利用することも可能です。ジェスチャーで録音を割り当てておけば、スマートフォンがない状態でもさっと録音を開始する事が可能なわけです。
また、イヤホンを耳から外したら自動的に音楽を一時停止する装着検出機能や、2台の機器に同時に接続するデュアル接続機能も搭載。スマートフォンとPCの両方に接続しておいて、普段はスマートフォンから音楽を再生、WEB会議の際には自動的にPCに音声を切り替えて使うということが可能。様々な場面でシームレスに使い分ける事が可能でした。
軽快なつけ心地にノイズキャンセリングや録音機能の機能性の高さがポイントの製品

今回レビューしたXiaomi Buds 5 Proは軽快なつけ心地を実現しつつ、最大55dBのアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した完全ワイヤレスイヤホン。軽量な装着感で長時間付けていても疲れにくく、2台の機器に同時に接続するデュアル接続機能などで高い利便性を実現した製品です。レビューでは利用しませんでしたが、ジェスチャーだけで呼び出せる録音機能なども嬉しいポイント。
ただし、音質に関してはうどん型のカナル型イヤホンのそれを大きくうわ丸というほどではない印象。今回はAAC接続だったこともあってか、ノイズキャンセリング時の音質の変化については若干不満に感じる点があったのも事実でした。Amazonを始めとする各種通販サイトでは24,980円で購入可能です。