昨今のディスプレイの低価格化の勢いは凄まじく、Xiaomiが24インチのディスプレイを10,980円で発売したりと様々なメーカーがしのぎを削っています。大型のモニターについても高性能な製品であってもダンピングに近いレベルでの価格競争が続いており、今までは手が届かなかったような高機能な機種を手軽に楽しめるようになりました。
そんなディスプレイ界隈の中でもひときわ目立つのがKOORUI。最近レビューしたディスプレイメーカー、XGamingと同じく中国・深圳を拠点におくメーカーで惠科电子(深圳)有限公司という会社。中国ではHKCというブランドで多くの製品をリリースしています。日本でもかなりのラインナップを展開しており、24インチ帯の小型モデルから4Kモデルまで多くの製品を擁しています。
今回はそんなKOORUIの製品のうち34インチのウルトラワイドモニターKOORUI 34E6UCをメーカーより提供していただきレビュー。34インチ21:9のウルトラワイドモニターで圧倒的な画面の大きさを確保したことで、没入感のある画面を実現。湾曲パネルによって大きくても見やすい視認性を確保しています。そんな34E6UCは37,149円にて販売中です。
KOORUI 34E6UCのスペック
項目 | 詳細 |
---|---|
画面サイズ | 34インチ |
解像度 | 3440 x 1440 (WQHD) |
アスペクト比 | 21:9 |
パネルタイプ | VA |
表面処理 | 非光沢 |
視野角 | 178° (上下/左右) |
リフレッシュレート | 165Hz |
応答時間 | MPRT 1ms |
輝度 | 最大400ニト(DisplayHDR 400認証) |
コントラスト比 | 20000000:1 |
色域カバー率 | 100% sRGB |
曲率 | 1000R |
インターフェース | デュアルHDMI2.0、DP 1.4、Audioインターフェース |
VESAマウント | 対応 (75x75mm)・スペーサー付属 |
PIP/PBP | 対応 |
FreeSync | 対応 |
KOORUI 34E6UCはWQHD解像度(3440×1440)のフルHDを超える解像度と、1000Rの曲がり率の湾曲パネルによって高精細で、かつ、高い没入感の画面を実現したのがポイント。また、165Hzの高リフレッシュレートとMPRT 1msの応答時間によってゲーミングでも活躍できる性能を確保しているのも特徴。
画面の表現力も高くsRGBカバー率100%を確保したことで、どんな色であっても正確な表現が可能。DisplayHDR 400認証を取得しており、明るく、かつ、高コントラストの映像を楽しむことができます。HDMI端子×2、DisplayPort 1.4×1を搭載していることで複数台のPCを繋いだままにしておくことも、PC以外のゲーム機なども自在に接続できる利便性の高さも特徴的な製品です。
上下昇降も可能なスタンドと、ほどよい曲がり率のディスプレイ
パッケージはクラフト地のシンプルなもの。会社のロゴだけが記載されているものでした。パッケージ内にはディスプレイの形状にフィットするように作られた発泡スチロールが用意されており、ディスプレイ本体を確実に保護していました。同梱品は説明書、HDMIケーブル、電源アダプター、モニターアーム利用時のアダプター(VESAスペーサー)と、専用のスタンドも付属しており、モニターアームを利用しなくても設置できるようになっています。
実際に本体を専用スタンドに取り付けた様子は上の感じ。取り付けはモニタースタンドの取付部をモニターの背面にカチッとはめるだけで簡単でした。ディスプレイを横から見ると1000Rの曲がり率なこともあってかそれなりに曲がっているように見えますが、角度を弱めると意外と曲がっていないという印象。実際に作業などをしていての感想は後述しますがほどよい曲がり率になっている印象です。スタンドの高さは11cm上下させることが可能で
本ディスプレイは一応「ゲーミング向け」になっており、背面には赤色のラインが入り、加えて翼のようなライン加工がされてかっこよく仕上がっているのもポイント。壁際に設置してしまえば、特に気になる部分ではないものの所有欲をくすぐるデザインになっています。
私の場合はデスクに設置する都合、モニターアームが必須。モニターアームを接続する際にはそのままだとディスプレイの凹凸がモニターアームのマウンターに干渉してしまうため、付属しているアダプターのネジ(スペーサー)をモニターのVESA部分に入れて、その上からアームのマウンターを接続します。重量級のモニターなのに、このネジだけで支えられるのか不安でしたが、1ヶ月以上利用していても不都合が起きてないのでおそらく大丈夫なはずです。
なお、モニターアームは重量制限に注意が必要。もともとは別のモニターを使っていたときのアームを設置しましたが、アダプター部が本体の重量に耐えられず徐々にディスプレイが下に傾く(お辞儀をしてしまう)状態に。KOORUIから発売されているモニターアームも耐荷重が足りないため、私は実売5,799円(2024年7月6日時点)で購入できるHUANUOのガススプリング式モニターアームを購入しました。安いもののかっちりとモニターが固定でき、かつ、スムーズにモニターを自由に動かせることもありオススメです。
若干横幅が足りていないのが気になりますが、もともとディスプレイの上に設置していたモニターライトと、WEBカメラも無事に設置。これまでと同じ作業環境を確保しました。これまで設置していたディスプレイは同じくウルトラワイドでしたが、25インチと9インチも小さかったこともあり、本製品を設置してみるとその大きさに圧倒されます。
広い横幅と高解像度で、情報量の多さと没入感の高さを両立
スペックの説明の際に触れたように、本製品の解像度は3440×1440と通常のウルトラワイドディスプレイによくある2560×1080よりも高い解像度を実現。画面サイズが大きくなって、解像度がフルHDとなると単純に文字が大きくなって情報量は増えない、ということが起きてしまうのに対して本製品は高い情報量を確保することが可能です。
ウルトラワイドモニターで楽しみたいものといえば、映画鑑賞もその一つ。シネマワイドと呼ばれる映画では一般的な通常の16:9よりも横幅の広い21:9で制作された映画であっても、ウルトラワイドディスプレイであればそのまま表示が可能。写真では部屋の明かりを明るいまま、かつ、モニターライトまで点灯していますが、部屋を少し暗くすれば没入感の高い映像を簡単に楽しむことが可能。
本製品はsRGBカバー率100%、コントラスト比20000000:1(DCR時)という高い色表現力を確保しているのも嬉しいポイント。実際に真正面から映像を見たり、画像を見ている上では十分すぎる色表現力で、また、暗めのシーンであっても映像が潰れることなく美しい映像を楽しむことができました。
大画面だからこその楽しみ方ができるのはゲームも。私は時々GTA VやACE COMBATをプレイするくらいの超ライトプレーヤーのため、応答速度などの面の評価は正直なところできませんが、横幅が広く、かつ、解像度が高いことで情報量の多い画面でプレイすることで遠い場所の的であっても確実に見つけ出して狙撃、ということがやりやすい印象。165Hz駆動のため通常の60Hz駆動のディスプレイよりもスムーズな画面描写も実現していますが、GPUが弱いためその性能は活かし切ることができませんでした…
ただし、解像度が高いということはそれだけGPUパワーを食うことになることも注意。私の場合はCPUは一昨年リニューアルしてそこそこの性能を確保しましたが、GPUは相変わらず2018年にPCを組んだ際の時点ですでに微妙だったNVIDIA GeForce GTX1060を利用中。そんなに描写がハードでないGTA VですらFPS 43でGPU 99%という状態のためマシンスペックは要注意です。
ここまでは映画やゲーミングでの利用時の没入感の高さをメリットとして上げてきましたが、横に長い画面はなにか文章を書いたり、WEBサーフィンをする上でもかなり便利。普段のブログ執筆時には左側に記事を、右側に参考資料を表示しながら執筆することが多いのですが、同じディスプレイを2画面表示にしておくことで眼の移動は最小限にしながらサクサク作業を進めていくことができます。
写真の撮り方もあって画面の湾曲の角度が大きいように写っていますが、画面がちょうど目線の真ん中に来るようにしておけば湾曲を意識せずに作業できる印象。湾曲によって画面の左右両端の距離が短くなっており眼や顔を動かす距離も減らせるため疲労も最小限に抑えることができました。
スペックでも記載しているように本製品のパネルはVAパネルを利用。黒の発色の良さやコントラスト比の高さでは低価格であっても高い性能を実現できることが特徴のパネルです。その反面、視野角はスペック値では178°となっているものの、側面から見たときには画面に白みがかかってしまうため1人で作業するうえでは問題ないものの、誰かと共同作業する、という場合には視野角注意と思っていただければ。
明るさから色温度、応答速度までスティックで操作が可能
KOORUI 34E6UCではモニターの設定や入力切替について背面の端(画面正面からみたときの右端)に搭載したスティック型のコントローラーで操作が可能。十字キーになっており、電源OFF時に押し込めば電源として、上下左右の操作で各設定を操作できる、という構造になっています。
実際の操作画面は上の写真の通り。各メニューの上下と左右を十字キーで操作できるため、比較的直感的に操作ができるのも特徴的でした。フォントはゴシック体で若干一部の文字が潰れている(「動」の文字の力部分がカクついてる感じ)のが気になりましたが、アイコンも織り交ぜて見やすい印象です。
明るさと入力切替は設定メニューを表示しない状態でも、ショートカットから調整が可能。電源ONの状態でスティックを押し込むと表示されるメニューから、上に倒せば入力切替、右に倒せば上の写真のコントロールメニューが表示されるため輝度やコントラストをすぐに調整することができます。本製品はかなり画面が明るく部屋が暗めだと眩しく感じてしまうこともあるため、その際にはすぐに輝度を下げる、なんてことができるのは便利でした。
34インチの本製品と28インチのディスプレイで、実質トリプルモニターも可能に
すでに一部の写真にもう一枚のディスプレイが映り込んでいたことからも分かるように、私の自宅では本製品と先日レビューしたXGamingの28インチ・4Kディスプレイを横に並べて利用しています。21:9のウルトラワイドモニターは4:3のディスプレイを2枚並べたくらいの使い方ができると言われていて、そんなKOORUI 34E6UCとXGamingのディスプレイを組み合わせれば実質トリプルモニターのような使い勝手に。34インチのウルトラワイドモニターと28インチの通常のモニターがちょうど縦幅が同じで、横に並べるとぴったりサイズでした。
使い道については人によってそれぞれだとは思いますが、私の場合でいえば左に設置した本機でブログの執筆と参考資料の表示、そして右側に設置した4Kディスプレイで利用する写真の参照や、必要に応じてその場で編集、という使い方をしています。ウルトラワイド側でAdobe Premier Proを起動して、もう片方でAuditionなんて使い方もできるようにクリエイティブな活動で広い作業環境を実現できました。
使い方の可能性が広がる大画面。ウルトラワイドモニターデビューにオススメしたい一枚
今回レビューしたKOORUI 34インチ ウルトラワイドモニター、KOORUI 34E6UCは34インチという大型の画面ながら1000Rの曲がり率の湾曲によって見やすさと没入感、そして広い作業環境を両立したディスプレイ。通常のウルトラワイドディスプレイよりも高いWQHD解像度(3440×1440)と、RGBカバー率100%、コントラスト比20000000:1の高い映像表現力で、アニメや映画の視聴でも資料の作成や動画制作といったクリエイティブな活動でも大活躍できる一台といえます。
KOORUI 34E6UCは現在Amazonにて37,419円にて販売中。これから設置するディスプレイを検討しているという方も、ウルトラワイドディスプレイのメリットを享受したいという方にもぴったりな高コストパフォーマンスモデル。ぜひ、自宅のディスプレイとして設置してみてはいかがでしょう。