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様々な場所で働くということが当たり前になり、現在私が勤めているIT企業でも在宅勤務などが当たり前になってきています。最近は会社には大きなモニターを別途用意し、持ち運びできる業務用のノートPCと組み合わせて大画面でサクサク作業ができるように工夫されている場合も増えています。対して作業環境としてどうしても物足りないのが自宅。自分専用のデスクがあるのなら据え置きのモニターを用意すると良いですが、ダイニングで作業をするという場合もあるはず。
作業場所が限られていても複数の画面を見ながら作業をしたい場合に便利なのがモバイルモニター。手軽に持ち運べるため、必要なときだけ設置することができ、またUSB Type-Cケーブル一本で動作させれば電源ケーブルなども準備しなくて済みます。今回はIngnokから登場しているIngnok YN02Dモバイルモニターをメーカーより提供いただきレビューします。
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Ingnok YN02Dモバイルモニターは、中国・Ingnokが発売するフルHD(1920×1080)の15.6インチのモバイルモニター。IPSパネルを採用したことで178°の広い視野角と、8bitの色深度、NTSCカバー率45%(sRGBカバー率換算約62.5%)を実現したディスプレイ。コントラスト比は1200:1と高く、ポータブルモニターの中ではsRGBカバー率100%の製品に比べれば劣るもののそれなりの画質を実現した製品。
標準で360°回転させられる専用の回転スタンドが付属し、デスクやテーブルの上でも自由な向きで画面を表示して作業をすることが可能。非光沢タイプ、かつ、ブルーライトカット機能も搭載しており、眼の負担も少なくなっているのもポイント。約1万円という低価格で購入できるのも魅力的な製品です。
Ingnok モバイルモニター YN02Dのスペック
項目 | 詳細 |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920*1080 |
画面タイプ | IPS |
視野角 | 水平178°/垂直178° (最小) |
ピーク輝度 | 280cd/m² |
リフレッシュレート | 60Hz |
色深度 | 8ビット |
色域 | 45% NTSC |
表示色 | 16.7M |
応答時間 | 25ms (10ms OD) |
コントラスト比 | 1200:1 |
色温度 | 7000K |
アスペクト比 | 16:9 |
HDR | あり |
入力端子 | 2Type-Cフル機能、1 miniHDMI2.0、1*ヘッドホンジャック |
FreeSync | あり |
表面 | アンチグレア |
使い勝手の良い回転スタンドと、スッキリしたデザインが魅力
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パッケージは白地に水色で製品名とIngnokのロゴが記載されたシンプルなもの。背面には同梱品やIngnok YN02Dの各ボタンについての説明が記載。通常モバイルモニターは単純にモニターだけが入っているシンプルなものが多いのに対し、本製品はすぐに利用開始できるように何から何まで同梱されている親切仕様です。
同梱品については2枚の写真でご紹介。パッケージを明けてすぐに出てくるのは専用のスリーブケースとクリーニングクロス。持ち運びが多いモバイルディスプレイを確実に保護できるようになっています。そして、特徴的なのがマルチアングル調整スタンドが付属すること。これがなかなかに便利な代物。ほかにはUSB Type-C to Aケーブル(充電用)と、USB Type-C to Cケーブル、HDMI to miniHDMIケーブル、さらにはVESAマウント時のネジも付属します。
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まずはディスプレイから。モバイルモニターを取り巻く技術は大きく進化しており、15.6インチのモバイルモニターはかなり軽量化、薄型化、そしてIPS液晶の周りのベゼルをかなり細くすることに成功。本製品も下の部分以外はほぼベゼルがない状態になっており持ち運びのときの難点になる横幅を限界まで狭くすることができています。
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背面は別売もしくは、保証書に記載のQRコードから製品登録を行うことで入手できるスタンドカバーとの接続部のマグネットと、75mm×75mmのVESAマウントを用意。ただスタンドの上に乗せるだけではなくVESAマウント対応のモニターアームに取り付けられるというのは拡張性が高くて嬉しいポイントです。
表から見て右側面部には3.5mmステレオミニジャックと、メニューキー、ボリュームの+/-キーを配置。反対側には映像入力のminiHDMIと、電源・映像入力に対応するUSB Type-C端子を配置します。USB Type-Cはどちらも映像入力に対応しており、最大3系統からの入力が可能です。
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個人的に面白いなと思ったのがこの360°回転させられるマルチアングル調整スタンド。モバイルモニターの利用シーンを考えると、このように向きを自由に変えられたり、高さも調整できるこのスタンドは便利。ノートPCの横にディスプレイを置くときに、ノートPCと同じ高さにモニターがあると見づらいことや、体への負担が大きい場面もあり、このスタンドがあれば自然な姿勢で利用することができるというわけです。
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なお、今回はカバースタンドも提供いただきました。このカバースタンドは通常は1,700円ほどで販売されているもの。ただ、実際には製品登録を保証書に記載されているQRコードから行うことで無料で入手する事が可能です。こちらのスタンドはよくタブレット端末や他社のディスプレイでも見かけるタイプ。
折りたためば製品を保護するカバーとして利用でき、広げるとスタンドとして利用できるカバースタンドは、持ち運びの際には高い利便性を実現します。画面の表示角度も2段階で調整することができるため、見やすい画面を実現可能。自宅の中や荷物に余裕がある際にはマルチアングル調整スタンドを、荷物をへらしつつ利便性を確保したいときにはこのカバースタンドを利用すると良さそうです。
8bitの色深度のおかげで鮮やかに、そして見やすい画面を実現
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Ingnok YN02DはUSB Type-C端子でノートPCに接続することで本体への電力供給とディスプレイの表示を実現。ケーブル一本だけで問題なく利用することが可能なのは便利で嬉しいところ。モバイルモニターの画質が悪いと言われていたのは昔の話で、自然な発色で表示することが可能です。
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解像度は1920×1080、リフレッシュレートは最大60Hzで利用することが可能。USB Type-Cケーブル一本をノートPCやデスクトップPCに接続すれば、勝手にPCで認識されて映像を出力することができました。この利便性の高さはなかなか。
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モバイルモニターの使い道は様々で、単純にPCと同じものを表示する複製モードで利用することも、ディスプレイいっぱいにVS Codeを表示させてノートPCと本ディスプレイの両方をフル活用するということも可能。15.6インチというノートPCと比べるとほぼ最大サイズ、会社支給PCで多い13.3インチよりも大きい画面によって見やすくて効率の良い作業環境を実現できます。
Ingnok YN02DのNTSCカバー率は45%。sRGBカバー率に換算すると62.5%と推測でき、sRGBカバー率100%の4Kモニターなどと比べると色域は狭め。ただ、普通に表示させていると十分鮮やか、かつ、自然な色味になっている印象。Adobe Lightroomも試してみましたが正確な現像かはさておき、サクッと画像を整える程度なら十分使える印象を受けました。
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カラースケールは参考程度に。写真だけでは分かりづらい点もあるため参考程度に。グレースケールもともに拡大したものもつけますが、写真で見る限りは十分色を表示できている印象です。もちろん、正確に色の表示範囲を測定すると違いはでてきますが、素人目に見る限りは十分という感じでした。
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メニューはすべて日本語化済み。フォントは明朝体のため読みづらいもののアイコンも含めて大きく表示されていることもあり調整しやすくなっています。輝度に関しては100%だとちょっと明るすぎるくらいのレベルに感じられ、実際に日常利用するうえでは80%くらいがちょうどよい印象でした。それ以外の項目は一通りそろっているので写真の通りです。
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使い勝手の面ではこのマルチアングル調整スタンドでちょっと目線の先にディスプレイがあるくらいがちょうどよく使っていける印象。カフェでこのディスプレイを広げる、というのはちょっと邪魔ですが空港などのラウンジであればデュアルディスプレイにしてサクサク作業を進めていくことができそうです。
豊富なスタンドと見やすい鮮やかな発色でマルチに使えるポータブルモニター
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今回ご紹介したIngnokのモバイルモニターIngnok YN02D。製品に付属するマルチアングル調整スタンドと、カバー型のスタンド(製品登録後に入手可能)の2つのスタンドを利用して様々なシチュエーションでの使い勝手の高さを実現したモバイルモニターでした。NTSCカバー率45%、8bitの色深度、そして非光沢のIPSパネルを採用したことで自然の色味で見やすい画面を実現したのもポイントの製品でした。
現在Ingnok YN02DはAmazonにて約1万円にて販売中。15.6インチという大画面でも簡単に持ち運べて、いろいろな場所で使えるIngnokのモバイルモニターYN02D。外出先や、作業環境を簡単に拡張できるツールとしてぜひ活用してみてください。