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【AvidPad S80】2万円ほどでSnapdragon 685・11インチフルHDディスプレイ・4G回線対応を実現したタブレットAvidPad S80レビュー

Xiaomiが手軽な価格のXiaomi Redmi Pad SEシリーズを発売したり、他のメーカーも廉価なAndroidタブレットから超高性能モデルまで多くのモデルを投入。日本国内のAndroidタブレット市場はこれまでにない盛り上がりを見せています。大手メーカー以外の中国、中華メーカーも技術力が過去に比べて向上し手軽な価格で実用性の高いモデルが多く登場中。今回はそんなタブレットの中から、珍しくQualcommのSnapdragon 685を採用したAvidPad S80をメーカーより提供していただいたのでレビューします。

AvidPad S80は11インチの大型サイズのタブレット。11インチ1920×1200の90Hz駆動のディスプレイにQualcomm Snapdragon 685、8GB RAM、128GBストレージを搭載しMediaTekのSoCを採用することの中華タブレットの中では一つ頭抜けたスペックの製品。さらに4G通信にも対応しており外出先でもWiFiルーターを別途用意せずに利用できる利便性の高さも魅力的。Amazonでは約2万2,000円ほどで販売しておりかなりコストパフォーマンスの高い製品になっています。

AvidPad S80のスペック

項目詳細
ディスプレイ11インチ、1920×1200 FHD IPS、330ニット、16:10比、215ppi、90Hz高リフレッシュレート
CPUSnapdragon 685、8コア(最大2.8GHz)
OSAndroid 14
RAM + ROM24GB(8GB + 16GB拡張)+ 128GB、最大1TBまで拡張可能
カメラ前面カメラ8MP、リアカメラ20MP(ライト付き)
Bluetooth5.0
USBType-C端子、PD 9V/2A充電対応
バッテリー・充電性能8500mAh、PD 9V/2A充電器対応(同梱品は5V/2A)
重量525g(本体のみ)
大きさ幅16.8cm × 奥行0.8cm × 高さ25.7cm(突起部除く)
Wi-Fi802.11 ac/a/b/g/n(2.4GHz/5.0GHz)
ネットワークGSM:B2 B3 B5 B8 / WCDMA:B1 B2 B4 B5 B8 / FDD:B1 B2 B3 B4 B5 B7 B8 B12 B13 B17 B20 B25 B26 B28 B66 / TDD:B38 B39 B40 B41

シンプルな見た目と見やすい大画面が魅力。ディスプレイも結構きれい

パッケージは白の箱に見えづらいですが金色でメーカーのロゴが記載されたシンプルなもの。最近の中華謎ブランドの製品は日本語対応の面でかなり進んでおり、パッケージや製品の説明書も日本語のものしか入っていないという徹底ぶり。パッケージ背面には製品の詳細な説明、側面には”AvidPad”のロゴだけでなく日本語読みの「アビドパッド」もでかでかと記載されています。これでブランド名の発音の仕方に迷うこともなく安心です。

付属品は本体の他にUSB Type-A to Cケーブル、電源アダプター、説明書、保証書、SIMピンでした。電源アダプターの出力は5V/2Aの10Wです。スペック表にもあるように本機は最大9V/2Aの18W充電に対応しますが、付属の充電アダプターは10Wまでのため急速充電をしたい場合は別途電源アダプターを用意する必要があります。通常は何かしらのアダプターを持っていると思いますので、それで充電するのが良さそう。

AvidPadは11インチの大型ディスプレイを搭載。12.5インチ帯のタブレットも存在はしていますが、本機くらいのサイズが持ち運びも考慮すると日常使いにはちょうどよいレベルの範疇かと。写真では分かりづらいものの、背面には剥がせるのかいまいちわからないフィルムが全体に貼り付けられており、このフィルムのおかげで反射するようになっています。

正直なところタブレットの背面がどんなデザインであろうと、ケースを着けて利用して見えないか、そもそも外出先でドヤ顔するものでもないのかなと。それなら傷が付きづらいフィルムが着いてるほうがむしろ好都合かもしれません。

ディスプレイにはあらかじめ画面保護フィルムが貼り付けられており、わざわざ専用フィルムを購入しなくても良いのも嬉しいところ。より透過性の高いガラスフィルムが欲しいという場合は、専用のガラスフィルムも安価に公式が販売しているのでこちらを購入するのが良さそう。背面には大きく目立つ2000万画素のカメラが鎮座。大きい割には大して画素は高くありません。

各側面の端子類もチェック。下部側面には左からSIMスロット、USB Type-C、3.5mmステレオミニジャックを配置。SIMスロットはnanoSIM×1、nanoSIM or microSD×1の仕様になっています。microSDカードは最大1TBまで対応しており、外部ストレージとして利用が可能です。(内部ストレージの拡張としての利用は不可)スピーカーは両短辺に2つずつ搭載しクアッドスピーカーになっています。

長編にはボリュームキーと電源キーを配置。スマートフォンなどと同じようにボリュームキーと電源キーは横並びで位置していました。

改めてディスプレイを見てみます。本機は11インチの1920×1200のフルHD・IPSディスプレイを採用。ベゼルのサイズは一般的なタブレットによくあるレベル感という感じです。横向きで利用した際の真ん中にWEBカメラを備えておりカメラを利用する際は横向きが想定されている様子。実際にYouTubeやAmazonプライム・ビデオで動画を見ている印象としては、画面の色や明るさは高性能なディスプレイをふんだんに利用しているスマートフォンに比べれば薄味ですが、クセのない発色でエンターテイメントを楽しむ上では十分という感じ。

スマートフォンではすでに当たり前になった60Hzを超える高リフレッシュレートでの映像描写にも対応。90Hzでのディスプレイ駆動が可能なことで、他のスマートフォンなどでのヌルヌルの映像描写に慣れてしまっていても安心して利用できるのも嬉しいポイントです。ただし、輝度センサーは微妙で明るさを自動調整とすると不自然に画面が暗くなったり明るくなったりするので、輝度の自動調整はOFFにしておくのが無難です。

MediaTek Helio G99機を超える性能。エンタメやSNS、WEBブラウジングではストレスフリーな動作

AvidPad S80は性能の要となるSoC(System on Chip)に中華タブレットとしてはめずらしくQualcommのSnapdragon 685を採用。タブレットやスマートフォンに採用されるSoCのメーカーとしては、中華系メカーであればMediaTek(台湾)やUNISOC(中国)が多くどちらのメーカーもバッテリーの消費スピードや高負荷時の発熱の面でQualcommのSoCに比べて若干劣る点があります。本製品はQualcomm Snapdragon 685を採用したことで発熱面や省電力性でも期待ができそう。

まず分かりやすい指標としてAntutuベンチマークのスコアから。結果は34万点とミドルレンジのスマートフォン並という結果。本レビューの際にAntutuベンチマークのバージョンを揃えてMediaTek Helio G99採用のXiaomi Redmi Pad(6GB RAM)でベンチマークを実施してみたところ33万点という結果に。測定時の条件などによってスコアには一定のブレがありますが、性能としてはMediaTek Helio G99採用の製品と同じ水準かそれを少し上回るレベル、と思って良いかなと。

あわせてストレージの性能についても計測。本機は128GBのストレージを搭載。シーケンシャルリードで1039MB/s、シーケンシャルライトで568MB/sという結果に。シーケンシャルリードでは先日レビューしたスマートフォン、arrows We2 Plusと同じレベルで中華タブレットとしてはかなり早い部類になるのではないかと思います。

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本体の動作の安定性についてもAntutuベンチマークのストレステスト機能を利用。このテストでは43分間に渡ってCPUに負荷をかけてその際の温度の上昇度合いやCPUのパフォーマンスを計測してくれるもの。温度上昇しやすい製品だと、途中で熱暴走を避けるためCPUのパフォーマンスが一時的に落ちてしまうことがあり、これを計測して安定性をチェックするという機能です。

40分以上にわたってずっと負荷をかけていることで、バッテリー温度は35℃ほどに上昇。ただ、35℃程度になってからは放熱も追いついているのか緩やかな変化にとどまり、CPUのパフォーマンスもほぼ90%超のレベルを維持することができていました。GPU性能自体が大して高くないため、重いゲームを楽しむというのはそもそも難しいですが、ちょっとしたグラフィックを利用するゲームを楽しんでも熱くなりすぎずに楽しむことができるわけです。

WideVine L1対応でAmazonプライム・ビデオ等ストリーミングサービスもフルHD再生OK

負けヒロインが多すぎる! ©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会

Amazonプライム・ビデオやNetflixなどのHD画質以上の再生で必須となるWideVineセキュリティレベルはL1をクリア。問題なくストリーミングサービスで高画質な動画を楽しむことができるようになっています。Amazonプライム・ビデオではAmazon側で認証をされていないとWideVine L1でも高画質再生ができない、ということもあってWideVineだけでは判定できないのは注意。

実際に本機でAmazonプライム・ビデオでアニメを再生してみたところ、再生開始時はHD画質での再生、再生開始からしばらくしてキャッシュが追いつくと1080pに表示が変化。フルHDで動画を楽しむことができるため本体のディスプレイの性能を最大限に活かして動画を再生できるようになりました。

負けヒロインが多すぎる! ©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
負けヒロインが多すぎる! ©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会

Amazonプライム・ビデオでの高画質な動画の再生は非常にスムーズ。ストリーミング再生時であっても再生ボタンをタップしてから再生が開始するまでは数秒の待機のみで待ち時間なく動画を楽しむことができました。

解像度については先程触れたように11インチ・1920×1200解像度のディスプレイを余すことなく利用して精細な動画を再生。一昔前の中華タブレットはディスプレイの色が薄かったり、変な色味がかかっていることもありましたが、本機の画質については動画をいくつか再生している上で気になる点はありませんでした。

DJI Action 2:祖谷の景色と剣山・奥祖谷二重かずら橋の風景

本機は横画面時に左右の両側面(短辺部)に2つずつのスピーカーを搭載したクアッドスピーカーを搭載。このクアッドスピーカーのおかげでステレオ感のあるサウンドを実現してくれていました。ただ、解像感はいまいち、かつ、どうしても低域の再生は物足りない面は否めないかも。一昔前の中華タブレットのようにスカスカということはなく、十分本体スピーカーで動画を楽しめるレベルと思っていただければ。

画面の色表現については、特段計測機器を持っているわけではないためあくまでも個人的な肌感覚ベースの評価となってしまいますが、種々の動画や画像、WEBサイトを見ているぶんでは他の機器やPCのモニターと比較して同じ色の出方をしているという印象。鮮やかさ、明るさについても他のタブレット(Xiaomi Redmi Padなど)と比べても同じ水準で見れる、そんな印象でした。

ワイヤレスアップデートは意外と頻繁に配信。Android標準の設定画面、メニューで独自機能は少なめ

AvidPad S80は現在リリースされているAndroid OSのなかでは最新のAndroid 14を採用。大手メーカーのタブレット、スマートフォンなどと同じくAndroid OSで新たに搭載した機能をすべて享受することが可能です。設定メニューのデザインを始めとするUIはAndroid標準(AOSP)をそのまま採用。良し悪しや好みの違いがあるので評価をするわけではありませんが、他のスマートフォン、タブレットの設定メニューに慣れていてもそのままの使い勝手で利用できます。

他社タブレットではAndroidの機能に様々なオプション機能を追加している事例もありますが、本機では特段オリジナル機能は搭載していない様子。Blackviewのタブレットなどで採用している外付けキーボードを利用時にPCと同じようなマルチウィンドウを実現するPCモードなどは非搭載です。

画面の上部を下向きにスワイプすると、クイック設定ツールと通知メニューが表示。このデザインもAndroidの標準のものから変わっていませんでした。AOSPのクイック設定ツール自体も以前のAndroid OSに比べて一発で設定変更ができるようになり利便性は向上。タイル型に設定メニューが並んでいることで設定したい項目の状況も一発で確認できて便利になっています。

ナビゲーションモードについては、ジェスチャーナビゲーションと3ボタンのナビゲーションの両方二対応。タブレットなどの大画面で操作をする際には3ボタンだと操作のたびに指を移動させる距離が大きくなり、ジェスチャーが利用できるのは嬉しいところ。ホーム画面がサードパーティ製のランチャーであってもこのジェスチャーは問題なく動作します。

数少ない独自機能がメモリサイズの拡張機能。本機は8GB RAMを搭載しており余程のことがない限り不足するということはないと思われますが、Chromeで無限にタブを開きたい欲張りな方のために仮想RAMの設定が可能です。設定可能な範囲は2GBから16GBまで。最大で設定すれば仮想RAMも合わせて24GB RAMのタブレットが誕生します。

本機は顔認証にも対応。あらかじめ顔写真を登録しておけば、画面のロック解除をパスコードやパターンの入力といった面倒な操作なしに簡単に行うことが可能です。なお、顔認証時にまぶたが開いていないと認証できないという機能も搭載しているのも安心材料と言えるかも。

AvidPad S80は4G回線を利用した単独でのインターネット通信や電話の受発信に対応した「ファブレット」の一面も持っているのも特徴。外出先であってもモバイルルーターやWi-Fiスポットを確保しなくても4G回線経由で動画を楽しんだり、WEBブラウジングを楽しむことが可能です。プラチナバンドであるB18、B19は非対応ですが十分広い範囲で利用できるかと。

APN設定はメジャーなキャリアとIIJ、b-mobile、OCNモバイル、morepa Uをプリインストール。私の場合はイオンモバイルのSIMを利用しているため自分で設定を追加することで問題なく利用することができました。なお、eSIMには対応しません。

個人的にはこの4G通信機能はかなり嬉しいポイント。普段の私はWiMAXのモバイルルーターを持ち歩いてテザリングをしていることが多いですが、常にというわけではありません。そういう場合にタブレットを持ち歩くと、オフラインのデータしか利用できないかスマートフォンのテザリングを使うことに。後者のテザリングではスマートフォンのバッテリーを多く消費してしまうこともあり、できれば避けたいところ。

そういったときにタブレット単体で4G接続ができてしまえば他の機器のバッテリーや通信速度を犠牲にせず、また、いちいちルーターを起動したりという手間もかけずに大画面でWEBブラウジングが可能に。格安SIMの事業者では、例えばイオンモバイルでは3枚まではSIMカードを追加の月額費用なしで利用できるということもありAvidPad S80に1枚SIMを指しておくなんて風にすれば良さそうです。

様々なメーカーがあたかも独自機能のように謳っているマルチウィンドウ機能。画面を分割して同時に2つのアプリを表示できるという機能で、メールの返信をしながらWEBブラウザを確認する、といった場面では便利なもの。この機能はAndroidの標準機能の一つのためAvidPad S80でも問題なく利用が可能。タスク一覧を表示させ、分割したいアプリのアイコンをタップすれば画面分割機能をONにすることが可能です。

他のスマートフォンやタブレットから設定やアプリを簡単移行。ワイヤレスアップデートも意外と配信

タブレット端末を購入したときに面倒なのが初期設定。現在利用しているタブレットやスマートフォンから乗り換えるという際は膨大な量のアプリのデータを移行させたり、内部ストレージに入っている画像や動画、端末内に保存しているWi-Fiのパスワードなど多くのデータを移行させる必要があります。

AvidPad S80では初回セットアップ時にWi-Fiの設定を終えたら、他端末からのデータ移行メニューがすぐに表示。他のタブレットやスマートフォンとUSBケーブルで接続したり、Wi-Fi経由で接続させてデータを一気に移行が可能。Googleアカウントのログイン情報も移行できるため、とりあえずUSBケーブルで繋いでデータ移行をして数時間放置しておけば一通りのアプリやデータは移行が終わってくれるという利便性の高さは嬉しいポイントです。

ワイヤレスアップデートはちょこちょこと配信されている様子。レビュー開始時点で大型のアップデートが配信されていて、実際に日常的に利用を開始してからも小さなアップデートも含めて配信されているようでした。Android OSのメジャーアップデートまでしてくれるのか、というのは正直なところ未知数ではありますが、バグがあった際などには修正対応がきちんと入る、と思っても良さそうかも。

その他のタブレット情報は上のような感じ。Androidのセキュリティ更新は2024年4月5日でした。ちょっとココは古めかも、という印象。SIMスロットのステータスなどはタブレットというよりかはスマートフォンの情報と同じ印象です。

手軽な価格で高性能。4Gも使えて利便性も高いSnapdragon採用タブレットのAvidPad S80、おすすめです

結論から書いてしまうと、AvidPad S80はレビューする前の想像の数倍上をいく使い勝手、性能のタブレットでした。XiaomiのRedmiシリーズが何かと持ち上げられがちですが、中華タブレットの中では珍しい(ここ1,2ヶ月増加中ですが)Qualcomm Snapdragon 685を採用したことで安定性の面での優位性を獲得しつつ、クセのない色のフルHDディスプレイ、外出先でもスムーズに使える4G対応と11インチのタブレットに欲しい中身をすべて搭載してくれた、そんな製品です。

そしてもう一つ嬉しいのが価格の安さ。こういったほどほどに欲しい性能をバランスよく搭載したタブレット、特にSnapdragon採用機はLenovoのTabシリーズ(XiaoXinシリーズ)が多く、コストパフォーマンスが良いと言っても安いわけではない、という製品がほとんどでした。AvidPad S80はそんな中で2万円強の価格を実現しているのはお世辞抜きにコストパフォーマンスに優れた製品と感じました。超高性能はいらないけども、ほどよい性能のタブレットが欲しい方にはぜひオススメしたい製品です。

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銀行をやめて人材系のHRテックらしいメガベンチャーにいたかと思えば、今はSIerで企画とかしています