
在宅で仕事をしたり作業をする方にとって、重要でありながら見過ごされがちなのが椅子。当ブログを始め多くのブログが「デスクツアー」と称してデスクの上のものを紹介することは多いですが、デスクの上のものばかりを紹介し、チェアにこだわっているという方は多くない印象。(もちろんチェアをこだわって紹介する方もいらっしゃいます)最近は中国発のブランドが多く日本では進出しており、Amazonを始めとする通販サイトで見かけるようになりました。今回は高品質な製品を目指して展開を始めたばかりの「KTOW(ケトー)」をご紹介します。

KTOWは2009年に事業を開始した16年ほどの中堅ブランド。人体工学チェアの開発に情熱を注いできており、「Kids go to The WOrld(子供たちが世界へ)」という理念を掲げ、ユーザーの未解決のニーズを解決する製品を生み出す強い決意を持って製品開発を行っているとのこと。Amazonでは、子供向け「KTOW IVY」、大人向け「KTOW PAX3」を販売中。クラウドファンディング準備中の親子兼用モデル「KTOW T1」の3モデルを展開するなど、日本での挑戦が始まったばかりです。
今回はKTOWの日本法人である睿友株式会社にて、KTOW代表の董黎清氏にKTOWとはどんなブランドなのか、そして、現在展開中の製品や今後展開する製品についてその魅力をお聞きしてきました。
日本市場を理解するために1年間の市場分析を実施。「design for Japan」がコンセプト

KTOWの日本進出にあたっては、他の中国メーカーのように、ただ日本のAmazonで販売を行うのではなく、日本市場を理解する準備からスタート。代表の董黎清氏は、十数年前に日本を旅した際に日本の「人間本位の匠の技の製品」に深い感銘を受けたんだとか。2024年から1年以上にわたって日本に滞在し日本のニーズを徹底的に研究したんだとか。「日本の家は一般的に狭く、家族全員が同じ高いテーブルを使うことが多い。そんな環境で、どうすれば快適に使えるかを考え抜いた」と振り返ります。
例えば、日本人の平均的な体型や住宅事情が西洋と異なる点に着目し、従来のエルゴノミクス製品が大きすぎたり高すぎたりする課題を解決する方向で製品を改良することに。取材では「日本の社会特性、言語、文化を学び、現地の流通製品が満たしきれていない点を洗い出した」と語っており、その真剣さが伝わってきたのも印象的でした。

この1年間の努力は、製品設計だけでなくブランド哲学にも反映されているようで、「大いに売れるかどうかより、今正しいことをしているかを重視している」と語るように、利益追求を超えたユーザー目線のものづくりがKTOWの特徴。日本での販売にあたり、多くの中国製品が「made in China; design in Japan」と謳う中、KTOWはあえて「design for Japan」を掲げ、日本市場に特化した設計を追求しているとのこと。
「日本の身長差は大きく、特に女性には従来のチェアが合わない。それを解決したかった」とのコメントからも、日本ユーザーへの深い配慮を感じることができました。実際に本記事で紹介する3モデルは、中国ですでに販売されていますが日本向けには調整範囲を拡大した特別版を投入。この姿勢が、KTOWを単なる輸入ブランドではなく、日本に根ざした存在にする意気込みを感じました。
ナイロン素材で快適な仕上がりを実現。違和感のないカラーリングも志向

KTOWのチェアは全モデルでナイロン素材を採用し、肌に触れる部分を柔らかく快適に仕上げているんだとか。「ナイロン素材をテクスチャー素材で覆い、肌に触れる快適さを追求した」と説明するように、細部まで使い手のことを考えた設計にしているとのこと。特に「金属を過度に使わず、家庭の温かみを優先した」とのこだわりが強く、商用製品のような冷たい高級感とは一線を画しているのがポイント。
例えば、リビングや子供部屋に置いても違和感なく馴染む優しい質感と活発なカラーが特徴で、日本の狭い住宅環境にぴったりなんだとか。重量は約8~9kgと軽量で、「家中どこへでも気軽に持ち運べる」と実用性も抜群。取材では「汚れにくい生地を使い、取り外して洗濯可能な仕様にした」との声もあり、長期間の使用でも清潔さを保てる点が嬉しいところ。
今後展開する予定の「KTOW T1」では日本市場向けに桜色を採用した点もポイント。「日本女性に喜ばれる華やかさを意識した」と董黎清氏が語るこのカラーは、家庭の雰囲気を明るく彩り、特に女性や子供に好まれることを目指しているんだとか。実際のところ、この色が日本の多くのユーザーに対してウケが良いのかは分かりませんが、KTOWなりに日本のユーザーのことを考えている姿勢が伝わりました。
子どもから大人までをフルカバーする3モデル。10年使えるのが目標
在宅勤務やデスクでの作業に最高の使い勝手を実現するKTOW PAX 3

まず紹介したいのが大人向けのフラグシップモデル、KTOW PAX 3。在宅ワークや長時間作業を快適にする設計が特徴的のモデル。「2009年に中国で人間工学チェアが高度に発展した流れを継いでいる」と話すこのモデルは、背もたれには腰を自然に支えてくれるランバーサポートを備えて6時間座っても腰が痛くならない体にフィットする設計が魅力的。アームレストは、高さ、前後、左右、角度(向き)の4方向を調整できるのもポイント。




日本人の身長差の大きさに対して、座面を前後で6cmスライドが可能。ヘッドレス部分も上下に動かせるのはもちろんのこと、前後や角度についても柔軟に調整が可能。身長の低い日本人の女性に対してもあらゆる部分を調整して座りやすくしているわけ。ヘッドレストの調整の柔軟性のお陰で、前方を見ながら作業するときには首を支えて、休憩時には首を伸ばしてリラックス、というように柔軟に利用することが可能です。

実際に今回座ってみましたが、座面も腰の部分を支えてくれるランバーサポートも、自然な圧力で体を支えてくれるので長時間座るようなときにも正しい姿勢で作業ができるように感じました。もう一つ特徴的だったのがリクライニング。最大160°のリクライニングに対応。同じように向きを変えられるオットマンを引き出して座れば無重力チェアのような座り心地に。ランバーサポートがいい感じで腰を支えてくれるため、腰が浮くことなくリラックスできました。
KTOW PAX 3の特徴
- ランバーサポート: 腰を自然に支える曲線設計
- ヘッドレスト調節: 前後上下範囲で調整可能
- リクライニング: 100°~160°の4段階ロック
- 昇降範囲: 46cm~53cm
- カラー: グレー
10年使えることを目標にしたことも向けチェア、KTOW IVY



子供向けに特化したモデルがKTOW IVY。「幼稚園から中学までの10年間使えることが目標」と話すこのモデルは、成長の過程における様々な家庭内でのニーズに応えることができる優れた一台。身長100cmの子どもでも目と机の間に健康的な距離を保てるよう高さを実現できるようにしたとのこと。座面と床の高さは60cm~80cmの間で調整でき、足置き部分に関しても最大20cm下げられることで、子どもの成長に合わせて大きさを変えていける使い勝手の良さが魅力的。足置きは子どもが成長したら取り外すこともできるのでまさに10年使えることを目指した製品なわけです。



背もたれ部分ももちろん調整可能。高さ、足置き、背もたれの3つを自在に調整することでどんな年齢の子どもにも使えるように仕上がりました。また、座面については回転できるようにしつつ、ロック機能を搭載。あえてキャスターを標準では付けず、子どもが座るたびに椅子が後ろに押されないようにしているんだとか。あとからキャスターは取り付けることもできるので、子どものニーズにあわせて機能を自在に変えていけるわけです。


座面のクッションカバーを取り外して選択できるのも嬉しいポイントかも。つい汚れがちな椅子でも、カバーを洗濯してしまえばすぐにきれいな状態に戻せるわけ。こういった子どもでも利用しやすい作りが魅力的なチェアでした。
KTOW IVYの特徴
- 高さ調節: 60~80cm(座面から床まで)
- 足踏み調節: 最大20cm以上
- ロック機構: キャスターを固定し、後ろへのズレを防止
- カラー: グレー、オレンジ、ピンク、青
大人も子どもも自由に使えることを目指した万能モデル、KTOW T1


日本ではこれからクラウドファンディングを計画しているという未発売のモデルが、大人の女性や子どもの両方のニーズに応えることを目標にした「KTOW T1」。「座るだけで快適になるのが最大の魅力」と熱弁するこのモデルは、ヘッドレスト部分の設計の工夫が光るモデル。V型のヘッドレストによって身長差があってもほどよく首を置くことが可能に。休憩の際にはそのまま首を後ろに伸ばしてリラックスすることもできる設計です。


バックレスト部分は5cm上下に調整することが可能。また、体重に応じてランバーサポート部分が自動的に調整し、ちょうどよい姿勢で座っていられるようになっているのもポイントです。様々な姿勢で座っても大丈夫なように設計されていて、例えば子どもが後ろ向きに座るなんてときにもぴったりなわけ。アームレスト部分をあえて短く設計することで、女性が座る際にはアームレストが邪魔にならないように、そして後ろ向きに座ってゲームなんてときにも姿勢を保つことができるんだとか。
KTOW T1の特徴
- 自動調整: 背もたれ角度10度以内
- ヘッドレスト: V型境界なしデザイン
- 対象身長: 130cm~180cm
- カラー: 日本向けに桜色も投入予定。グリーン・オレンジ
5万円台で日本における椅子の最高の選択肢になることが目標

KTOWは「今後2~3年で日本市場向けに進化する」と意気込みを見せてくれたのも印象的。「2009年に中国で優れたブランドが登場したものの、その一部は時間とともに劣化してしまった。KTOWは日本でそれを超える製品を出す」と自信の様子。中国においては現在KTOWは中高級品という位置づけではあるものの、日本では自動調整機能などを売りに「機能性が最も豊富なチェア」を目指していく方針とのこと。
現在は日本においてはKTOWの製品は「KTOW PAX 3」と「KTOW IVY」の2製品をAmazonにて展開中。今後は大人・子どもの両方で使える高機能モデルである「KTOW T1」もクラウドファンディングを計画中でした。「子供向け製品は触って選びたいニーズがある」と話してもくれ、今後はオフラインの店舗でも触れるようにする機会も設けていく方針とのこと。
大人も子どもも快適に使えるKTOW(ケトー)の椅子は要注目

今回お話をお聞きしてきた椅子ブランド「KTOW」。中国では品質にこだわる新興ブランドとして、特に子供向け製品が「コストパフォーマンスだけでなく、低予算でもニーズに応える」という董黎清氏の志が支持を集めている様子です。代表自身が日本市場の研究のために1年間住んで調査をし、日本人の男女の身長差をカバーできるように特別設計した商品を投入するという他社とは一線を画した製品開発力が魅力のKTOW。大人も、子どもも快適に座れる椅子を今後も日本向けにリリースしていくとのことで、ぜひ注目したいところ。