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【TicWatch Pro 3 Ultra GPS】24時間以上の電池持ちながらWear OSの高機能さと心拍数・血中酸素飽和度測定に対応!TicWatch Pro 3 Ultra GPSレビュー

ついにGoolgleからもPixel Watchが登場し、簡易的ではあるもののSuicaへ対応し決済機能を高める動きがあったように、スマートウォッチを取り巻く環境は一気に変化。Apple
Watch一強だったのに比べてWear OS製品や、Amazfitのような独自OS採用の製品も増えてきており市場環境自体も変わりつつあります。今回はWear
OS搭載のスマートウォッチの中でもAMOLEDディスプレイとTNディスプレイの二重構造で、通常のスマートウォッチの課題である電池持ちを改善しつつ、高い機能性も実現したTicWatch Pro 3 Ultra GPSをメーカーより提供いただいたのでレビュー。
TicWatch Pro 3 Ultra GPSはGoogleの出資も受ける中国Mobvoiが展開するスマートウォッチ。AMOLEDディスプレイによる高解像度・高輝度な画面表示と、TNディスプレイによる最低限の時計の画面の2種類を使い分けることで健康測定のセンサーをすべて利用しても丸2日利用できる電池持ちの良さを実現した製品。現在Amazonなどでは2万円台で購入可能です。
 

TicWatch Pro 3 Ultra GPSのスペック

チップセット:Qualcomm® Snapdragon Wear™ 4100 Platform
メモリ・ストレージ:1GB RAM, 8GB ROM
バッテリー:スマートモード:72時間・省電力モード:45日間
バッテリー容量:最低577mAh
Bluetooth:5.0
測位システム:GPS+Beidou+Glonass+Galileo+みちびき
センサー類:心拍数測定センサー・SpO2センサー・加速度センサー・気圧計
防水防塵性能:IP68
充電器:Input:5V1A(USB type A)・Output:5V1A(pogo pin * 2)
寸法:47x48x12.3mm
重量:41g
色:シャドウブラック
素材:ステンレススチール+ファイバーグラス

高級感と見やすいAMOLEDディスプレイ、そしてTNディスプレイを併存

      

 

パッケージは前作のTicWatch Pro 3 GPSと大幅に変わることはない印象。同梱品は本体の他には充電アダプターとクイックスタートガイドのシンプルな構成です。なお、電源アダプターの端子はUSB
Type-A、TicWatch Pro 3 GPSと同じアダプターで互換性もありました。

 

TicWatch Pro 3
GPSは1.4インチ・454×454の高解像度ディスプレイと、低消費電力のFSTNディスプレイを採用。画面の外周部のベゼルはスポーティーな見た目を意識しつつ、通常の腕時計と変わらないサイズ感と高級感を実現しています。

 

側面部は物理キーを2つ配置。上側が電源キー、下側がマルチファンクションキー。マルチファンクションキーについてはその挙動をアプリ側で制御することが可能で、通常はTicExcerciseの運動計測モードの選択画面が出てくるようになっています。なお、両方とも回転させることが可能ですが、特に何も起きないため純粋なボタンとして動作します。

 

      
前作であるTicWatch Pro 3
GPS(右)とも比較。前面部の構造は基本的に同一で変化はなし。背面部にはUltra
GPSのほうがロゴマークの印字が増えているものの、センサー類は同一です。
せっかくなので競合にもなりそうなAmazfitのスマートウォッチとも比較。左からAmazfit T-Rex 2Amazfit GTR 3 Pro、TicWatch Pro 3 Ultra GPS(本機)、TicWatch Pro 3
GPSで、この4機種の中では本機はスポーティーなデザインと、フォーマル/クラシックなデザインの中間という感じ。
Amazfit T-Rex
2のようなアウトドア向けな構造ではないものの、画面部が若干縁に比べて凹んでおり簡単に傷が付きづらい構造になっていたり、また、ベゼル部に数字の目盛りが入っているあたりはスポーティーな感じ。画面はフラットな構造なため、画面保護フィルムや保護ガラスも簡単に貼り付けられるのも本モデルの嬉しいポイントかも。

 

     

 

バンドも合わせたTicWatch Pro 3 Ultra GPSの重量は70g。前モデルのTicWatch Pro 3
GPSが61g、頑丈さを追い求めているAmazfit T-Rex
2が62gであることを踏まえると結構重い部類。ただし、つけ始めてみるとちょうどよい大きさも相まって手首にしっかりフィットするため重さが気になることはありませんでした。

明るく大きな画面で通知や必要な情報を素早く確認

 

1.4インチの大型AMOLEDディスプレイによって、時計として利用する際には大きく、かつ明るい画面で時刻を簡単に確認可能。直射日光下などのディスプレイにとって視認性の確保が難しい場所でも問題なく文字盤を確認することができます。
    
文字盤はあらかじめメーカー側でプリセットしているものに加えて、Google
Playストアからダウンロードしたサードパーティ製の文字盤を適用することが可能。個人的には上の写真の2種類が好みではありますが、よりデジタルなものから、シンプルなものなど必要に応じて選択可能です。

 

     
文字盤から横にスワイプすることで、TicWatchシリーズに搭載されている健康管理機能TicHealthの画面へ遷移。その日の活動時間・歩数・エクササイズの時間を対目標比でどれだけこなしたかを一目で確認可能。
      
健康状態の常時監視機能についても同じ画面で確認。運動状況はもちろんのこと、心身の状態についての監視をする「疲労・エネルギー計測機能」も搭載。どういうロジックで計測しているのかは非開示ですが、自身のフィジカルの状態についてよりわかりやすく表示してくれるというもの。数週間分のデータを記録してみた感じでは、脳疲労に関しては体感と同じ印象。エネルギーについてはよくわからないという感じ。あくまでも参考指標と思う程度が良いかもしれません。

 

TicWatch Pro 3 Ultra GPSはWear
OSを搭載していることから、Googleアシスタント機能にも標準で対応。TicWatch上から検索をしたり、声だけでアラーム/リマインダーの設定や、スマートホーム機器の操作まで幅広く操作をすることが可能。通常のスマートウォッチではカバーできない範囲までGoogleアシスタントなら対応できるため高い利便性を確保しています。
     

 

なお、前作であるTicWatch Pro 3でバグとして問題になった「OK
Google」でGoogleアシスタントを起動できなかった問題も解消。Wear
OS側の画面をONにした状態には限るものの、「OK Google」で自動的にGoogleアシスタントを起動することが可能に。スマートホーム機器の操作もできるため、TicWatch Pro 3 Ultra
GPSに対して手がふさがっているタイミングであっても自宅のエアコンをつけたり、電気を操作したりと様々な操作が可能です。

 

     

 

文字盤からのスワイプ操作で、スマートフォンで再生中の音楽の操作画面も表示可能。曲送り/戻しからボリューム操作までスマートフォンを開かずにできるのは便利。また、天気予報もアプリを開かずに確認できるようにすることも可能です。
     

 

この「タイル」はGoogle
Play側で設定可能。標準ではTicHealth、天気予報、次の予定、TicPlusですがGoogle
Fitの項目を表示させたり、Googleニュースの内容を表示させることも可能。アプリにいちいち遷移することなく必要な情報にアクセスできます。

 

 

      
Wear
OS搭載のスマートウォッチ利用時の最大のメリットは、スマートフォンに届くすべての通知を確認し、そのアクションもすべて行えること。フルカラーのAMOLEDディスプレイによって、アプリのアイコンから通知内容もはっきりと読みやすく表示し、通知の確認を即座に行えます。
最近ではAmazfitシリーズなどの独自OSのスマートウォッチでも、LINEを始めとするコミュニケーションツールでの簡易返信に対応。ただし、あくまでもあらかじめ決めた文字と顔文字を送れるだけでした。TicWatchであれば、簡易返信もその場で文字を打ったり、音声入力で文字を入力して送ることも可能なため、スマートフォンをカバンからいちいち出すことなく返信まで終えられます。

 

 

日本でのGoogle Pixel Watchの発売にあわせて、スマートウォッチでのGoogle
Payのクレジットカード決済も解禁。現時点で対応しているカードはエポスカードやSONY
Bank Walletなどの一部のカードに限られていますが、Apple
Watchユーザーが当たり前のように利用しているスマートウォッチでのクレジットカード支払いについに対応しました。
Google
Payに追加しているカードのすべてが自動的にTicWatch側で利用可能となるのではなく、一度TicWatch側での有効化作業を行う必要があるのは要注意。追加時にはスマートフォンの画面で登録するカードを選択し、本人確認の認証を実施して初めて使えるようになるもの。一度再認証のプロセスを挟むため、準備には一度手元にカードを用意する必要ことは留意が必要です。
現時点でTicWatch Pro 3 Ultra GPSに入れられた私のカードは以下の通り
・EPOS GOLD(VISA)
・SONY Bank Wallet(VISA)
VISAタッチ決済に対応したカードの中で利用者の多いものは、セゾンカードと三井住友カードと思われ、現時点で未対応なのが残念。セゾンはスマートフォン側でもQUICPayのみの対応のため当面は厳しそうですが、三井住友カードはVISAタッチ決済に対応しているため、スマートウォッチでの決済にも対応してほしいところ。

 

TicWatchに搭載しているTicHealthでは、標準設定で個人の運動履歴も確認。基本的に1時間に1回は歩いたりして動かないといけない、というアラートが用意。ついつい仕事中でも、自宅でもPCの前でダラダラとしてしまうこともあり定期的なアラート機能は意外と体を動かす意識付けにもなるかなという印象です。

24時間健康状態を確認。高い精度の測定結果を一元管理可能に

    

 

    
TicWatchシリーズに搭載している、Movboi独自の健康管理システムであるTicHealthを利用することで運動状況、睡眠状況といった基礎的な活動の記録はもちろんのこと心拍数や血中酸素飽和度も24時間監視することが可能。結果は常にTicWatch上で上のように表示して、「本日のデータ」としても、一週間分のデータとしても確認できます。

 

     

 

     

 

     
毎日のデータはすべてスマートフォンのMovboiアプリにも自動で転送。アプリ上からは、1日毎、もしくは週や月間での平均値を確認することもできるため、運動量や睡眠が平均的にどのように推移しているのかという情報も簡単に確認できます。
この各種測定結果の同期・表示機能はAmazfitシリーズやGoogleのPixelWatchでも実装していますが、TicHealthの特徴を強いて挙げるなら、平均値に近い表示方法をしてくれていること。心拍数も血中酸素飽和度も、運動中ならさておき平常時は平均値の推移が重要。分かりやすいグラフで推移を示してくれるため自身の健康状態を簡単に把握できます。

 

     

 

心拍数や睡眠状況、歩数といった健康状態やアクティビティの状況はTicHealthアプリからGoogle
Fitに接続して同期することが可能。TicWatch側にGoogle
Fitをインストールして、そこで計測してしまう事もできますが、TicHealth側で繋いだほうが2重でデータを取得することもないためおすすめです。
Androidユーザーの場合は、基本的にGoogle
Fitに情報を集約することで、AmazfitシリーズやTicWatch、さらにはRIVERSONG等のメーカーのスマートウォッチで収集した情報を一元管理することが可能。他メーカーから乗り換えてきた場合でも安心して利用できるのは嬉しいところ。

100種類以上の運動計測に対応。GPSと心拍数測定を併せて高精度な計測を実現

TicWatch Pro 3 Ultra
GPSでは100種類以上の運動計測に対応。GPS・北斗・Glonass・ガリレオ・みちびきの5種類の測位衛星システムに対応することで、運動中の効果の記録を詳細に計測することが可能です。

 

 

     
運動計測時には心拍数と血中酸素飽和度もモニタリング。前述した位置測定の結果と、心拍数等のデータから運動の効果を計測していきます。運動モード時にはTNディスプレイ、AMOLEDディスプレイの両方で運動の状況をすぐに確認可能。
なお、運動を記録するTicHealthアプリはバックグラウンド動作での計測にも対応。そのため、必要に応じて他のアプリを立ち上げてマップを見たり、SNSの返信をしたりすることもできます。

 

 

      

登山の計測であれば、上のように実際のルートと高度、ペースに心拍数の推移を計測。これによって、実際に消費したカロリーを正確に記録することが可能です。Wear
OS版のヤマレコ等を組み合わせることで、ルート案内を同時に行いながら計測することもできるのもWear
OSの魅力。もちろん、この結果もGoogle Fitに転送できます。

健康測定を行いながらも24時間以上のバッテリー持ちを実現

 

 

Wear OS搭載のスマートウォッチも、AppleのApple
Watchもどちらも利用する上での最大のネックはバッテリー持ち。Apple
Watchでさえ、24時間フルに利用するというのは困難と言われるほどで、毎日充電をするのが必須どころか一日の途中で充電を気にする必要がある場合もあるほどです。
    

 

TicWatch Pro 3 Ultra
GPSは、すでにご紹介したようにAMOLEDとTNディスプレイを組み合わせることで、普段は消費電力の少ないTNディスプレイを、腕を傾けたときには情報量の多いAMOLEDを表示することで消費電力を大幅に削減。
使い方にもよりますが、24時間の心拍数・血中酸素飽和度測定を利用しながら使っていても24時間問題なく動作させることが可能です。上のグラフでは就寝時はほぼバッテリーが減らず、運動測定モード時の15時台は消費増となったものの翌24時でも残量を確保。毎日充電をすることは変わらないものの、旅行中等でも安心して利用できるのはかなり心強い印象です。
なお、バッテリー残量が10%を切ったあたりで自動的に低消費電力モードへ移行。Wear
OS部分をOFFにしつつも、睡眠計測と心拍数測定は継続してくれるため最低限の健康管理も可能なのも、データの連続性を確保する上では嬉しいポイントでした。

クレジットカード決済から健康管理をこなしつつ、電池持ちも確保した最強のスマートウォッチ

 

今回レビューしたTicWatch Pro 3 Ultra GPSは、Wear
OSを採用したスマートウォッチの中でもQualcomm Snapdragon Wear
4100を採用し、王道とも言える性能を確保した製品。それでいながら、AMOLEDディスプレイとTNディスプレイの2層式ディスプレイを採用したことで、あらゆる計測機能を有効化しつつも24時間以上のバッテリー持ちを実現したことで、スマートウォッチのネックである電池持ちを改善した製品。
GoogleによるスマートウォッチであるPixel
Watchが国内発売となり注目を集めており、私もすでに保有していますが、かなりバッテリー持ちが厳しく実用性には疑問符がつくものでした。1日1回充電すれば問題なく利用できる実用性の高いスマートウォッチを求めるならTicWatch
Pro 3 Ultra GPSがかなりおすすめ。値段も2万円台と購入しやすいのも魅力的です。

 

 

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銀行をやめて人材系のHRテックらしいメガベンチャーにいたかと思えば、今はSIerで企画とかしています