ASUSさまより本日発表になったASUSの新型モバイルノートPC、ASUS Zenbook SORAをお貸しいただいたのでレビューします。ASUS Zenbook SORAはQualcomm Snapdragon X Elite(X1E78100)を搭載したモバイルノートPC。LPDDR5X・8533Hzの32GB RAMにPCIe 4.0×4接続の1TB SSDを搭載しハイエンドノートPCといっても過言ではない性能を実現した製品。AI・NPU性能は45TOPSで、バッテリー駆動時間は約21時間という圧倒的な利便性も確保している製品です。
今回発表になったのはQualcomm Snapdragon X Eliteに14インチ有機ELディスプレイを搭載したASUS Zenbook SORA UX3407RAと、Snapdragon Xに14インチTFTカラー液晶ディスプレイを搭載したZenbook SORA UX3407QA。今回は最上位にあたるZenbook SORA UX3407RA-HA32170GRをお借りしました。なおこのモデルは販売価格は22万円ほどを予定。値段もなかなか張る製品ではありますが、それだけの性能を実現しているモデルです。
ASUS Zenbook SORA UX3407RAのスペック
項目 | 内容 |
---|---|
型番 | UX3407RA-HA32170BE |
ディスプレイ | 14.0型 OLED (有機EL) グレア、1,920×1,200ドット (60Hz) |
CPU | Snapdragon® X Elite X1E-78-100 (最大3.4GHz, 12コア) |
AI機能 | Qualcomm® Hexagon™ NPU 45TOPS (Qualcomm® AI エンジン 最大計75TOPS) |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
RAM + ROM | 32GB LPDDR5X-8448 + 1TB SSD (PCIe 4.0 x4 NVMe/M.2) |
カメラ | 207万画素赤外線 (IR) カメラ、顔認証対応 (Windows Hello) |
グラフィックス | Qualcomm® Adreno™ GPU (CPU内蔵) |
外部ディスプレイ出力 | HDMI×1、USB-C (DisplayPort対応) ×2、最大5,120×2,880ドット |
Bluetooth | Bluetooth® 5.4 |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be (Wi-Fi 7) |
USB | USB4 (Type-C/PD対応) ×2、USB3.2 (Type-A/Gen2) ×1 |
オーディオ | ステレオスピーカー (1W×2)、アレイマイク、ヘッドホン/ヘッドセット・コンボジャック×1 |
バッテリー・充電性能 | 3セル/70Wh、約29時間駆動、Type-C/90W ACアダプター |
重量 | 約980g (本体のみ) |
大きさ | 幅310.7mm × 奥行213.9mm × 高さ13.4~15.9mm |
性能は山盛りでも重量は約980g。最薄部13mmの超薄型軽量な最強のモバイルノート
まずはパッケージから。本体内箱についてはお借りしたのは海外用パッケージだったため、ASUS Japan提供の写真を利用している点はご容赦を。パッケージは非常にシンプルなデザインで、製品名であるZenbook SORAの名称が印字されているだけのものになっています。高級感のある仕上がりでモバイルノートPCの新境地を切り拓くPCとしてふさわしいデザインになっていました。
パッケージ内にはほぼぴったりサイズでZenbook SORAが入っており、この紙の多いを外すと本体を取り出せる形に。同梱品はシンプルで電源アダプターのみ。その他にユーザーマニュアルと保証書、MyASUSアプリの案内が入っていました。
電源アダプターはUSB PDに対応したものが付属。20V=4.5A 90W出力と、PPSで最大90W出力に対応するようになっています。同梱品全体の写真からもわかるように電源ケーブルとこのアダプター部が別で用意されており、常に設置する場所に置くようなときには良さそうですが持ち運ぶのには正直向かない印象でした。
なお、実際に日本で発売される際には、上位モデルであるZenbook SORA UX3407QA(本レビュー機)には小型サイズの65W充電器Ultra Mini Universal Adapterが付属するとのこと。ACアダプターとそのサイズも極限まで小さくしているというのは嬉しいポイントかも。その代わり給電能力は65Wになるため、フルパワーで充電するためには別途100W出力に対応したアダプターが必要となりそうです。
今回お借りしたのはアイスランドグレー色のモデル。本体外装はASUSが開発したセラミックとアルミニウムを融合させて高い硬度、耐摩耗性、耐食性を備えつつ、100%リサイクルできるという”セラルミナム”を利用。18,000回以上同じ場所を擦っても摩耗しないという耐摩耗性や、MIL軍用規格に準拠した耐衝撃性、そして指紋がつきにくく、簡単に拭き取れる清掃のしやすさも実現しているとか。実際に触ってみても、手触り感の良さと汚れの柄なさが嬉しいところです。
背面は左右にステレオスピーカーを搭載。また、ゴム足部分については上下ともに一直線のストレートのタイプになっています。排気口は長方形型のものがヒンジよりに配置されているスタイルでした。日本での販売を前提とするモデルのため、PCリサイクルのシールも貼付されています。
本体の横幅は309mmほど。A4の紙を一回り大きくしたくらいの大きさに仕上がっています。厚みは最薄部で13mmほどになっておりかなりの薄型。リュックやトートバッグにPCを入れて持ち運ぶ身からすると、この薄さはかなり使い勝手が高くなっている印象。とにかく持ち運びがしやすい大きさ、薄さに収まってくれています。
本体右側にUSB Type-A端子(Type-A Gen2)を搭載。左側にはHDMI端子とUSB Type-C(USB 4・PD対応)を2端子搭載します。USB 4端子は映像出力に両方とも対応。データ転送速度は40Gbpsまで対応。USB Type-Aは10Gbpsでのデータ転送に対応し、外部ストレージを利用する際も高速なデータ通信が可能です。
本体重量は実測値では990g。公称値が約980gのため概ね誤差の範囲内かなと。本機のバッテリーは70Whの大容量バッテリーを搭載。バッテリー駆動時間は約29時間と脅威のバッテリー持ちを実現できているんだとか。14インチディスプレイにロングバッテリー、そして高性能なQualcommのCPUを搭載して1kg未満というのは個人的にはかなり嬉しい軽量さです。
キーボードはバックライト搭載のキーボードを搭載。キーピッチは19mm確保したフルサイズキーボードになっており、キーサイズの違いによる打ち間違いを避けられるデザインです。打鍵感は個人的には少し軽めという印象。サクサクどんな場所でもキーボード入力ができる印象を持ちました。Microsoftが掲げるAI機能を搭載したCopilot+ PCのため、十字キーの横にCopilot+ボタンを備えます。
バックライトの明るさはF4キーで調整が可能。明るすぎても見づらいので、適度な明るさに調整できるのも使い勝手に寄与します。
USB Type-C端子はどちらも最大90WのUSB PD入力に対応。付属の充電器でなくてもUSB PD対応の充電器(写真ではAOHi MagCube 140W)であれば90W入力での充電が可能です。
画面の上部のベゼルには207万画素のWEBカメラを搭載。Windows Helloにも対応しており、ログインの際の認証は顔認証で実施することが可能です。かなり精度が高く、PCを起動して顔を見せれば明るさが良ければ1秒もかからずに認証が完了してログインすることができました。
想像以上にサクサク動作。Qualcommプロセッサーでも何でも使えて利用感もOK
ASUS Zenbook SORAはQualcomm Snapdragon X Eliteプロセッサーを搭載。QualcommのSnapdragon搭載のPCは数年前から話題となっていましたが、正直どこまでの実力があるのかは私にとっては未知数でした。ただ、実際に利用してみると良い意味でこの不安を払拭してくれるモデルという感想。なんでもサクサク動作します。
Windowsのセットアップに関しては、他のPCと同じ流れで進めていく事が可能。Windows 11ではクラウドとの融合が強化されており、Microsoftアカウントにログインしてしまえば、クラウド上のバックアップから一部のアプリや設定について引き継いでセットアップすることが可能。Wi-Fiの接続キー情報などをそのまま復元してくれるため個人的には重宝しています。
Snapdragonシリーズは、Armアーキテクチャを利用したArmプロセッサと呼ばれます。これは、Windowsで一般的なInelプロセッサやAMDプロセッサのようにx86(x64)アーキテクチャを利用したものと異なり、独自の命令セットを持ったシステムになっています。Windows OS自体もArm版Windowsを搭載しており、x86系に対して一定の互換性を持つものの、一部のソフトウェアを利用することはできません。
実際にあれこれインストールして利用してみたところでいえば
- インストールできたソフトウェア
- Adobe Lightroom
- Adobe Photoshop
- LibreOffice
- Explzh
- Google Chrome
- OpenVPN Connect
- Irfan View
- Steam
- インストールできなかった/正常に動作しなかったソフトウェア
- Adobe Lightroom Classic
- SoftEther VPN(クライアント)
- PC Mark10
という結果に。Adobe製品はLightroom Classicなど一部のソフトウェアがインストールできなかったものの、かなりの製品のインストールに対応していたのが驚き。LibreOfficeやExplzといった圧縮/解凍ソフトウェアについても対応しています。
VPNに関しては無料で利用できるもののうち、OpenVPN Connectには対応したもののSoftEther VPNはドライバーをインストールすることができませんでした。企業でよく利用されるVPNクライアントであるCisco AnyConncetもARMベースのPCについても対応しているようで、オフィスワークに必要なソフトウェアの大半を利用できそうな印象。
なお、Qualcomm自身もArm版Windowsでの相性については改善をしていく必要があると認識しているようで、オフィスワークでは必須となるプリンターや各周辺機器についてもベンダーとの協業を進めているとのこと。これによって、より多くの機器で問題なく利用できるようになっていくとか。
Adobe Lightroomでの写真現像もレスポンスよく動作。どんな作業でも余裕の動作を実現
ブロガーという立場だと、どこかに取材に行った際の帰りに撮影した写真をPCに取り込んで編集する、なんてことも多く発生します。Lightroomでの写真の取り込みと、その場でのRAW画像の編集という流れを踏むことに。2024年に大型のノートPCをCore Ultra 7搭載のXiaomi Redmi Book Proに買い替えたように外出先での画像編集はCPUパワーがないとスピードが落ち、作業効率を下げる原因になってしまいます。
実際に数枚のRAWデータをSDカードから取り込み、Lightroom上で編集。色や明るさを修正したうえで書き出しも実施。書き出し速度もなかなかスピーディーでSONY α6000で撮影したRAW画像1枚程度であれば数秒で完了。Snapdragonだからといって処理速度に不安があるということもなく快適に作業をすることができました。
32GB RAMを搭載していることも作業環境の余裕に貢献。Google Chromeで複数タブを開くなんて程度では余裕。Google Chromeで複数タブ&複数プロファイルを利用しつつ、VS CodeとLibreOfficeで作業、さらにはAdobe Lightroomを利用するという何でも使う状態であっても余裕のRAMを実現していました。
Wi-Fi 7対応でネットワーク接続も高速。内蔵ストレージも余裕のあるスピードを実現
Zenbook SORAはWi-Fi 7に対応。トリプルバンドに対応していることで高速、かつ、安定したインターネット接続を実現しています。搭載しているネットワークアダプターはQualcomm FastConnect 7800。最大5.8Gbpsでの通信に対応したアダプターで、ルーター側が対応していれば有線LAN以上の速度を出すことが可能。実際に私の自宅のWi-Fi 7ルーター・TP-Link Archer BE450と利用したところ実測値で960Mbpsの高速通信を確保することができました。
内蔵SSDには1TBのMicron 2500(MTFDKBA512QGN-1BN1AABGA)を搭載。シーケンシャルリード/ライトでそれぞれ6,700MB/s、3,666MB/sの速度を実現。このPCをゲーミングPCとして使う方はいないと思いますので、それ以外の作業で利用するのであれば写真や動画を扱っても十分な高速さを実現します。
CINEBENCHのスコアはCPU(Multi Core)で844pts。CPU(Single Core)で102ptsという結果でした。Ryzen 5 7640HS搭載のHONOR MagicBook X14ではSingle Coreで97ptsのため、これと比べても十二分な性能を確保している印象。PCMark 10はArmプロセッサで利用できないという表示となり計測できませんでした。
とにかく長持ちするバッテリー。丸一日持ち運んでも半分以上のバッテリー持ちを実現
今回のレビューでは2週間ほどの期間ではあったもののいろいろな場所に持ち運んでそのバテリー性能などを徹底的に検証。利用していてつくづく感じたのが、本機を使う分ならモバイルバッテリーなしで何でもできそうという印象。Armプロセッサを利用したPCは省電力性に優れるというのは教科書的な知識では分かってはいたもののここまでとはと感じるものでした。
Orefolderに執筆したポータブル電源をオリエンテーリング大会で利用した際の記事では、埼玉県の奥地まで家から1時間半ほど電車に乗り続け、到着した会場でも空いている時間はカフェなどで作業をしていました。写真の状態は家から電車に合計1時間半ほど揺られて、到着した会場近くで利用したときのバッテリー残量。1.5時間利用してもバッテリーの残量が88%と、12%しか減っていませんでした。
長寿命&急速充電対応の固体電池ポータブル電源YOSHINO B300 SSTを冬のイベント本部で試してみた
最終的にまたその後2時間ほど電車に揺られたり、乗換駅で作業をして帰宅。カフェでの作業時間を含めるとおおよそ4時間今日作業したわけですがバッテリー残量は64%という結果に。4時間で36%しか減らないという結果はなかなか衝撃。Windows上で算出されていた推定残り時間は5時間37分。Webブラウザでブログを書き続け、画像を参照したりクラウドのデータを編集してこのバッテリー減り具合のためオフィス用途では9時間以上、つまり丸一日バッテリーだけで余裕といって過言ではなさそうです。
14インチの画面で使い勝手の高さが嬉しい。テーブルに収まるサイズながら大画面を実現
ASUS Zenbook SORAは14インチのディスプレイを搭載。解像度1,920×1,200、アスペクト比16:10、有機ELのディスプレイでコンパクトサイズながらもウインドウを半分ずつ利用しても情報量を確保することで使い勝手の良い大きさに仕上がっています。画面占有率は90%ほどで上下左右のベゼルを極限まで減らしているのも嬉しいポイント。これによって本体サイズ自体は13.3インチのノートPCと同レベルに抑えることができているわけです。
横幅がかなり抑えられていることで、移動中に膝上で利用する場合や、新幹線や特急列車のテーブル上で利用する際の機動性も向上。新幹線の座席であれば、少しはみ出してしまうくらいの状態であればコップを置きながらPCを置いて利用することができるくらいの大きさ。移動中であっても作業効率を落とすことなくオフィスワークを進めることができます。
前述したようにディスプレイは有機ELを採用。鮮やかさや黒の表現力の高さは圧倒的。DCI-P3カバー率は99%で色の再現力も高く、写真の現像を行っているときも自宅のモニター(sRGBカバー率・Adobe RGBカバー率99%のINNOCN 27C1U Super)と遜色ないレベルで画像を確認して現像することができました。
この色表現力の高さはDisplayHDR™ True Blackを取得するお墨付き取得しています。また、有機ELを利用することでブルーライトの放出量も通常の液晶ディスプレイよりも約70%削減できているんだとか。TÜV Rheinland のフリッカーフリーやブルーライトが軽減されている旨を証明する各認証も取得していて、長時間利用しても目に優しいディスプレイになっています。
どこにいても最高の作業環境とコンパクトさ、そしてバッテリー持ちを実現した超軽量ノートPC。Zenbook SORA
今回レビューしたASUSのQualcomm Snapdragon X Eliteを搭載した超軽量ノートPC、ASUS Zenbook SORA(UX3407RA)。13.3インチサイズのノートPCの大きさに14インチの有機ELディスプレイ、32GB RAM、1TB SSD、約29時間の駆動時間を実現する70Whの大容量バッテリーの高性能さを実現しながら約980gという超軽量さを実現したモバイルノートPCでした。
ASUS Zenbook SORA UX3407RAは1TBストレージモデルが224,800円、512GBストレージモデルが214,800円で販売。ノートPCの中でもなかなか値が張る製品ではあるものの、これ一台があれば写真の編集も含めたクリエイティブな作業も、ブラウザを使った作業も一通りカバー可能。長時間の外出であってもポータブルバッテリーや充電器なしで丸一日使えるバッテリー持ちも確保。外出の機会が多い方には最高の製品なはずです。