
当ブログでは様々なガジェットをご紹介しており、数年に1回は買い替えることもあるスマートフォンやタブレットから、一度購入すると10年以上利用することもあるオーディオ製品(TEAC UD301など)まで多くの製品をレビューしてきました。最近はPCのディスプレイもOLEDを搭載するような高性能なものまでご紹介しています。なかなか買い替えないものの、日常生活でよく利用するものの一つがテレビ。技術の進歩によって大画面の製品も手頃な価格で手に入れやすくなってきました。
今回は中国TCLから最新の4K液晶テレビ、TCL Q7Cシリーズの65インチモデル、TCL 65Q7Cをお貸し出しいただきましたのでレビューいたします。量子ドットMiniLEDの4Kディスプレイを搭載し、圧倒的な高画質を実現しつつ、地上波、BS/CS、4Kダブルチューナー、そして2.1.2chのHi-Fiスピーカーを搭載し映像はもちろんのこと音声も楽しめるテレビ。Amazonでは約16万円で販売中です。
※本記事はTCLの提供により執筆しています。製品の貸与を受けて執筆しています。
TCL 65Q7Cのスペック
項目 | スペック |
---|---|
画面サイズ | 65インチ |
ディスプレイ方式 | 液晶、量子ドットMiniLED、TCL全領域ハロー制御テクノロジー |
解像度 | 4K (3840 x 2160) |
アスペクト比 | 16:9 |
リフレッシュレート | 144Hz (VRR: 48-144Hz at 4K, 48-288Hz at 1080p) |
HDR対応形式 | HDR10+, Dolby Vision, HDR10, HLG |
画質向上テクノロジー | AiPQ Pro プロセッサー、プレサイスローカルディミング、TCL全領域ハロー制御テクノロジー |
ローカルディミングゾーン | 最大2000以上(98インチモデル対応) |
バックライト技術 | MiniLED、双方向23ビット制御、超高密度マイクロレンズ、Micro-OD技術 |
音響システム | 2.1.2ch Onkyo Hi-Fi、Dolby Atmos、DTS Virtual:X |
スピーカー出力 | 実用最大出力60W(サブウーファー+トップトゥイーター搭載) |
OS | Google TV(Google Cast、Google Assistant、Hey Google対応) |
ネット動画対応 | YouTube、Amazon Prime Video、Netflix、Hulu、Disney+、Apple TV+、U-NEXTなど |
ゲーム機能 | ゲームモード、ALLM、AMD FreeSync Premium Pro、TCL Game Accelerator(最大288Hz) |
接続端子 | HDMI 2.1 (eARC対応)、BS/CS 4Kチューナー×2 |
その他機能 | AirPlay2、音声検索、壁掛け対応、裏番組録画対応 |
TCLとは:世界シェア2位の技術力を持つ総合家電メーカー
TCLは1981年に設立された中国の家電メーカーで、テレビ市場ではSamsungに次ぐ世界シェア2位(2024年、OMDIA調べ)を誇ります。日本では新興ブランドのイメージがありますが、BCNランキングで2024年に1割のシェアを獲得するなど急成長中。その強みは、子会社TCL CSOTによるパネル製造からテレビ組み立てまでの一貫生産体制にあります。特に量子ドットMiniLED技術は、OLEDのコントラストとLCDの明るさを両立する革新技術として注目され、SamsungやLGと肩を並べる性能を実現しています。
量子ドットMiniLEDは、ナノレベルの量子ドット素材が光を効率的に変換し、DCI-P3カバー率約95%で10億色以上の色彩を再現。従来のLEDテレビと比べ、ピーク輝度(最大3000nits)とコントラストが飛躍的に向上し、長寿命も確保。TCL全領域ハロー制御テクノロジーは、最大2000以上のローカルディミングゾーンで光を精密に制御し、光漏れ(ハロー現象)を抑えた鮮明な映像を提供。こうした技術的背景が、TCL 65Q7Cを競合から一歩抜きん出た存在にしています。このモデルは、TCLの技術力を日本市場向けに最適化した2025年モデルとして登場しました。
設置は大人2人で可能。テレビスタンドに応じてVESAスタンドも検討を


通常購入される場合は設置作業をお願いすることになると思いますが、今回は配送のみの実施。65インチという超巨大サイズのテレビのパッケージをまじまじと眺めることになりました。パッケージはシンプルで型番は印刷されておらずTCLの65インチのテレビで共通になっている様子でした。開封はこのワイヤーを切ったら外側の箱が上に抜けるようになっており、その後中身のディスプレイを倒しながら取り出します。

私の自宅はテレビ台の横幅が小さく、本製品のようにスタンドが両端にあるタイプは設置が困難。このため、今回はVESAマウントでテレビを立てて設置できるスタンドを別途購入しました。こちらの組み立てについては本記事ではコメントしませんが、スタンドの組み立てに40分、テレビの設置にも40分という時間がかかった印象です。実際にテレビを持ち上げてスタンドに付ける作業は大人2人ないし、3人で行うことがベターでした。

本体の写真の前に同梱品を確認。中身はいたってシンプルで取扱説明書のほかに、リモコン、リモコン用の単4電池、電源ケーブル、保証書、ケーブル用のケーブルホルダー、ネジが付属します。電源ケーブルはそれなりに長さがあったため、取り回しはしやすい印象でした。


実際に設置をした際の様子がこちら。後述するように本製品はアンテナ端子や各入力端子が向かって右側に配置されているため、今までBlu-rayチューナーから30cmのアンテナ線で届いていたアンテナケーブルが届かず、急遽1.5mのアンテナ線を用意し直しました。本体が大きいので実際に購入する際には、アンテナ線からの距離は要確認です。


各端子類は画面向かって右側にまとめて集約。左から録画用のHDDなどを接続するためのUSB 3.0端子(5V/0.9A対応)、USB 2.0端子(5V/0.5A対応)、有線LAN、HDMI1(4K @144Hz対応・eARC対応)、HDMI2(4k@144Hz)、HDMI3(4K@60Hz)、BSアンテナ、地デジアンテナ、ビデオ入力、音声光デジタル出力端子を配置しています。外部スピーカーを接続する際には光デジタル出力が利用できます。本機は定格消費電力はそれなりに大きく270Wとなっていました。

2023年のベストバイガジェットの記事でご紹介したように、私の自宅ではトールボーイスピーカーのYAMAHA NS-F210をテレビ脇のスピーカーとして利用しています。このため、今回も設置する際には本機の光デジタル出力からアンプ(TOPPING MX5)に接続しています。ヘッドフォン出力、光デジタル出力の両方を問題なく利用できるのは高音質をより求める人にはグッドでした。
圧倒的な色表現力が嬉しい。極限まで絞ったベゼルが特徴的

TCL 65Q7Cの最大の魅力は、量子ドットMiniLEDとTCL全領域ハロー制御テクノロジーによる圧倒的な画質です。量子ドット技術は、ナノレベルの結晶が光を変換し、DCI-P3カバー率約95%で10億色以上の色彩を再現。従来のLEDテレビでは再現しづらい鮮やかな赤や深い緑が際立ちます。例えば、映画の飛行シーンでは、空のグラデーションや金属の質感が驚くほどリアル。夕焼けのオレンジや雲の白が自然に溶け合い、臨場感あふれる映像でした。
TCL全領域ハロー制御テクノロジーは、最大2000以上のローカルディミングゾーン(98インチモデル基準、65インチは未指定)で光を精密に制御。ハロー現象(光漏れ)を抑え、暗いシーンでの黒の沈み込みが抜群です。アニメのライブシーンでは、暗い客席とステージの照明のコントラストが鮮明で、スポットライトの輝きが際立ちました。AiPQ Proプロセッサーは、AIを活用して映像を最適化。AIモーションは動きの速いスポーツ中継で選手の動きをブレずに滑らかに再現し、AIカラーは自然な肌色や風景の色彩を忠実に表現。AIシーン機能は、ニュース、映画、アニメを自動判別し、最適な画質設定を適用します。

画面を拡大してみても細部まで細かく描けているのがネイティブ4Kの魅力。そして、写真ではなかなか伝わりづらいものの、黒い部分ははっきり黒く映ることで本来の映像クリエイターが意図したままの情景を描くことができているわけです。この表現能力の高さは量子ドットMiniLEDディスプレイの本機だからこそと感じました。


特徴的なのが極限まで狭められたベゼル。TCL Q7Cシリーズはベゼルレスデザインを標榜しており、極限までベゼルを狭くするような工夫が取り込まれているのもポイント。上位モデルであるTCL C8Kほでではないにせよ画面の縁を極限まで減らすことで没入感の高い画面を実現しています。実際に映画などを楽しんだ際にもこのベゼルレスの実力を痛感。映像以外の他のものが一切入らないためその映像に没入することができました。

とにかく観ていて楽しかったのがライブ映像。私は宝塚歌劇(特に雪組)が好きでよく観ることがありますが、そのBlu-rayを購入して楽しむことも多くあります。65インチの大画面、黒色を黒色とはっきり表現できる高いコントラストはこのライブ映像を楽しむのにはピッタリ。推し活をしている方にもピッタリと言える性能でした。

テレビ単体での音質もTCL 65Q7Cの強みです。Onkyo 2.1.2ch Hi-Fiサウンドシステムは、サブウーファーとトップトゥイーターを搭載し、Dolby AtmosとDTS Virtual:Xに対応。実用最大出力60Wは、テレビスピーカーとしては十分なパワーです。ライブ映像では、オーケストラの響きや観客の拍手が空間に広がり、劇場にいるような臨場感を体感できました。Dolby Atmosは、音が上下左右から包み込むように聞こえ、映画の飛行音が頭上を通過する感覚がリアルでした。
低音はサブウーファーにより、アクション映画の効果音や音楽ライブのドラムが力強く響きます。ただし、超低域の深さは専用サウンドバーに比べるとやや控えめの印象。中高音はクリアで、ニュースキャスターの声やアニメのセリフが明瞭に聞こえます。
外部スピーカー接続も充実。光デジタル出力でYAMAHA NS-F210スピーカーとTOPPING MX5アンプに接続すると、Dolby TrueHD 5.1chのクリアな音質を堪能。HDMI eARCも利用でき、既存のオーディオシステムとの相性は良好です。テレビ単体でもニュースやバラエティ番組では十分な音質で、外部スピーカーなしでも満足度が高い印象でした。スピーカーは背面に搭載されていますが、音の広がりやステレオ感は十分に感じられました。
BS 4Kも地デジも日本のテレビに完全対応。USB HDD/SSDで録画も簡単に実現

海外メーカー製のテレビを購入する際に気になるのが、日本のテレビにどこまで対応をしているのかという点。Xiaomiなどの一部のメーカーはテレビを日本投入する際に割り切ってチューナーレステレビを投入していますが、TCLはダブルチューナーで日本のテレビに必要な機能をすべて対応させて投入。地上波デジタル放送はもちろんのこと、BS/CS、BS 4Kに対応しています。



番組表の取得にももちろん対応。日本語フォントも見やすく仕上がっており、見たいチャンネルを簡単に確認できる仕様に仕上がっています。あらかじめ背面のUSB端子にUSB HDD/SSDを差し込んでおけば録画用ハードディスクとして利用が可能。本製品以外で映像データを利用する、ということはできませんがTCL Q7C一台で録画まで完結させることが可能です。なお、本体には記憶領域は搭載していないので、録画機能の利用には外付けのHDD/SSDが必須です。


録画に関しても簡単に録画予約が可能。操作性は日本のメーカーのテレビと一切変わらない操作感で、番組表から録画したい番組を選択したら録画予約設定が表示。その番組だけを予約するのはもちろんのこと、連続予約や日時指定予約にも対応します。今回は1TBのHDDを接続したところ、録画可能時間は123時間8分でした。

リモコンも日本向けのデザインになっているのもポイント。チャンネルキーはもちろん、地デジ、BS/CS、4K切り替えボタンに、録画リストや番組表ボタン、青/赤/緑/黄色のキー、字幕の表示/非表示ボタンまで録画機能付きのテレビに必要なボタンを一通り網羅。後述するGoogle TVで利用する音声入力ボタンとマイクもリモコンに搭載しており、音声操作も簡単に呼び出すことが可能です。
Google TV対応でYoutubeもAmazonプライムビデオも、LAN内のNASからの動画再生もバッチリ

TCLはみMiniLEDに強みを持つテレビメーカーという顔に加えてグローバルNo.1のGoogle TVブランドという顔も持っています。(市場調査会社OMDIA調べ・2021年~2024年のGoogle TV出荷シェア)その実績の通り本機はGoogle TVで利用できる多くのアプリをTVスティックなどを用意せず本体のみで簡単に利用することが可能です。Youtubeはもちろんのこと、AmazonプライムビデオやNetflix、Disney+やABEMA TVなどのストリーミングサービスも直接楽しむことが可能。今までのテレビのようにいちいち入力切替ボタンの操作は不要です。



YotubeやAmazonプライムビデオなどのメジャーなストリーミングサービスはリモコンのサービスボタンから一発で呼び出しが可能。あとは、そのままストリーミングサービスでの動画再生を楽しむだけです。もう一つ特徴的なのが、音声入力で簡単に再生したい作品を見つけられること。音声入力ボタンからGoogleアシスタントを呼び出して作品名を入れればその結果を簡単に提示。あとは、自身が契約しているサービスで再生するだけと再生したいものを探すところから、実際に再生するまでを簡単に実現できます。



Google TVのポイントは、自身で好きなアプリをインストールできること。TCLで標準で用意しているアプリでもDLNAサーバーからの再生が可能ですが、VLCなどをインストールすれば自宅NASに直接アクセスしてそのまま再生したい動画を再生するなんてことも可能です。マルチメディアを全力で楽しみたい、という場合にはGoogle TVの拡張性が威力を発揮してくれました。



Google TVに対応しているため、Google Homeにも登録して利用することが可能。テレビをつけたり消したりという操作は、いちいちリモコンを触らなくても音声でGoogle Home端末から呼び出してしまうことが可能でした。設定を工夫すれば、一日の決まった時間に自動でテレビを点けるようにしたり、夜は自動で消すようにしたり、なんて設定も可能です。逆にこのテレビから自宅のスマートホーム機器を操作することも可能。映画を見るときには少しリビングの明かりを暗くする、なんて操作もテレビに声をかければ操作できるわけです。
なお、Google Homeから電源がオフの状態でも操作を可能とするためには、設定画面かで「電源と省エネ設定」を開いて「待機モード」を「ネットワーク常時待機」または「スクリーンレス」に設定しておく必要があります。デフォルトの設定はテレビの電源を切るとGoogle Home上からは操作できなくなってしまったので、要注意でした。
大画面テレビの新基準。ミニLEDとベゼルレス、そしてGoogle TVを手頃な価格で

今回レビューしたTCLの65インチテレビ、TCL 65Q7Cは量子ドットMiniLED、TCL全領域ハロー制御テクノロジー、AiPQ Proプロセッサーによる圧倒的な画質とOnkyo 2.1.2chの立体音響、144Hzのゲーム性能、Google TVの利便性のすべてを兼ね備えた新時代のテレビでした。映画、アニメ、スポーツ、ゲーム、日常のテレビ視聴まで、あらゆるシーンで高い満足度を提供してくれます。もちろん、地上波デジタル放送やBS/CS、4K放送に対応し番組の録画も本体で完結することが可能です。
私の自宅はリビングがそこまで広くなくソファーからテレビの距離は1m強という環境。それでもこのTCL 65Q7Cはこれまでにない新しいテレビの体験を実現してくれました。TCL Q7Cシリーズは65インチモデルの本製品(約16万円)の他に20万円ほどで購入できる75インチモデルやスリムな55インチモデル、85インチ、98インチモデルも販売中。リビングの広さに合わせて最適なサイズの製品を選んでいただければ。