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季節は気がつくと秋。そろそろ心地の良い風が吹くようになっても良さそうですが、まだまだ夏日が続く不思議な天気になっています。ただ、北日本、特に北海道は秋真っ盛り。そろそろ紅葉も楽しめる季節になってきており、暑い関東を抜け出して涼しい北海道の秋を堪能しても良さそうです。今回は2023年10月頭に訪問した北海道は釧路、厚岸の旅をレポート。釧路湿原を走る釧路ノロッコ号や厚岸の道の駅、コンキリエで楽しむ牡蠣など道東の秋を楽しんできました。
北海道には何度か行ったことがあるものの、札幌や小樽・函館など比較的西側かつメジャーな場所にしか行ったことがありませんでした。道東にもぜひというあーる氏の推薦により、10月上旬に有給を取り、道東を釧路→屈斜路→網走と北上する三日間の旅行へ。道東旅行のルートは、釧路から屈斜路湖、そして網走へと北上する2泊3日のプラン。本記事では最初の釧路と厚岸の旅をレポートします。
ローカル線で楽しむ道東の絶景—釧路湿原ノロッコ号と根室本線の旅
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初日は釧路。羽田を朝に出発し午前9時台に釧路空港に到着。
この日の観光は、鉄道網の発達しているイメージはない地域ながらあえてローカル線の旅を選択。釧路駅を拠点に
– 釧路湿原をいくノロッコ号
– さらに牡蠣を求めてさらに厚岸に向かう根室本線
の2本をのんびり楽しみます。
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ホテルに荷物を置いたら快晴の釧路の街を眺めながら釧路駅に繰り出します。こう言ったら何ですが、かつて炭鉱で栄えた町のちょっとした侘しさがありそれもまた味かも。そんな侘しさをよそに駅の構内は駅弁を買う人たちで賑わっていました。特別コレといった名物はなさそうでしたが、北海道なんだからこういうのが美味に違いないという浅はかな考えでとりあえず牡蠣弁当を購入。
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駅のホームの看板もなんかレトロでイイですね。
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さて、駅弁を携えてノロッコ号に乗ります。ノロッコ号は釧路湿原を突っ切る観光列車で、窓に向かった座席が特徴。湿原を眺めながらビールと牡蠣で一杯やれるのも鉄道旅ならでは。最高。
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ノロッコ号出発から10分ほどで本格的に「湿原」になってきます。市街地のすぐ近くにこんな風景があるなんて、改めて北海道の特異さを感じます。生まれも育ちも東海地方な私にとって、日本の自然=山林、平地があってもほぼ水田、という感覚なので、湿原どころかそもそも「原」という概念が新しいですね。
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目的地の釧路湿原駅までは20~30分ほどだったでしょうか。ノロッコ号はこの後も湿原の奥の方、塘路駅まで走っているので続けて乗車する観光客も多いようでした。我々は後の旅程(牡蠣の旅)もありますので今回はここで降ります。他にも一定数ここで降りる人たちはいました。なおノロッコ号は本数が少ない・かつ要予約なので、アドリブでいったん降りて次の列車に乗って塘路駅まで行こう、というようなことはほぼできません。あらかじめ予定しておく必要があります。
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ログハウスのあるホームに降り、歩いて小高い丘にある細岡展望台に登ります。展望台に続く通路を進むにつれフェンスの向こうに姿を現す大湿原…そして展望台にたどり着いたときに広がる視界にはとても感動しました。
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目の前から地平線近くまで、途切れることない一つの原が横たわっているというのは本州ではなかなか味わえないスケール感です。こうやって撮ってみると、とてつもない開放感とともにむしろ壁のような圧すら感じます。ぜひ現地で堪能してください。(なお、同行者とのプチ喧嘩でやや機嫌の悪かった私はここで一気にテンションMAXになりました。(笑))
10月上旬は全体的に茶色いからか(笑)、ライオン・キングのサバンナ風景をかなり強めに連想してしまいました。観光的なハイシーズンは緑に覆われる夏だとは思いますが、これはこれでよい感じです。蛇行する川を観て、この川が湿原の維持に一役買ってるというブラタモリで得た知識も思い出します。生物学的にはもちろん地質的にも特徴的な場所なので、このあたりの知識はさらっと調べてから来るとさらに楽しいと思います。
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湿原の風景を堪能したのでまたノロッコ号にて釧路に戻ります。釧路湿原での滞在時間はおよそ1時間強だったと思いますが、展望台とその周辺の散策で退屈することなく過ごせました。次回は湿原の中に入ってカヌーなど楽しみたいですね。
厚岸へ牡蠣を求めて—根室本線の旅と厚岸漁港散策
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釧路駅に戻ったら、また鉄道に乗り込みます。今度の目的地は厚岸(あっけし)です。噂によると牡蠣祭りなるものをやっているらしい…牡蠣三昧するぞ!乗り込んだのは存廃論議真っ只中の花咲線の普通列車根室行き。日曜日の午後発の列車でしたが乗車率はそこそこといった感じ。1両編成ですが転換クロスシート車でしたので快適に移動することができました。
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車体のぼろさももはやかわいい、根室本線に乗って1時間ほど揺られます。北海道ならではの初見殺しな駅名たちを眺めつつ14時過ぎに厚岸に到着。さて牡蠣はどこかな…
と胸を高鳴らせる我々におしらせです。
【延期】「第61回あっけし牡蠣まつり」について
2023年9月26日(火)
10月7日(土)から10月15日(日)までの9日間の日程で開催を予定していました『第61回あっけし牡蠣まつり』は、今夏の猛暑の影響により、海水温が例年より高いため、牡蠣の産卵後の身入りが戻っておらず、牡蠣まつりを楽しみにしていた皆さんに、満足いただける充分な牡蠣を提供できなくなるおそれがあることから、『延期』することに決定しました。
https://www.akkeshi-town.jp/oshirase/3524/
えっ…。(この日は10月8日)(着くまで知らなかった)
牡蠣まつりはダメそうなので普通にお店で牡蠣を食べる&夕方まで適当に散策する方針に変更です(涙)。まあこういうのも旅の醍醐味ですね。地球温暖化をこれ以上進行させてはならない、そう肝に銘じました。
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ということで厚岸駅周辺を散策です。ぶっちゃけ、事前調査不足もありこれといった観光スポットには行けませんでした。(笑) と言いつつ、駅から厚岸大橋に向かってぶらぶら適当に歩くだけでも漁港の雰囲気を味わえて何気にいい感じのお散歩だったといえます。
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こちらは厚岸大橋でのワンショット。ちょうど夕暮れ時だったこともあり、夕焼けに照らされる漁港の雰囲気は抜群です。
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そしてよい偶然の出会いだったのがこちらの資料館。厚岸町海事記念館です。散策の道中にふと現れ、ノリで入ってみたのですが結構見ごたえがありました。漁業に使われた実際の船やその機材など、海と密接に関わってきた厚岸の歴史が詳細に展示してあり、大人がしっかり読んだり見たりすると案外1時間弱くらいかかります。しかも無料。
この近くに「厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ」もあり、厚岸の海産物を買っていくことができます。写真を撮り損ねてしまいましたが、まさに漁協の直営っぽい店で牡蠣の他に干物など日持ちのするものたちがお値打ちで売られていました。牡蠣醤油などを買います。おみやげ購入にはかなりおすすめ。
厚岸味覚ターミナル「コンキリエ」で堪能する厚岸の牡蠣。すべてが絶品の牡蠣づくし
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さて、いい時間になってきたので牡蠣を食べれるお店に向かいます。これをせずには帰れない…。今回向かうのはJR厚岸駅にもほど近い道の駅、コンキリエ。グルメを売りにしている道の駅で、じゃらん道の駅食事部門で14年連続1位という不動の地位を確立しているのですから驚きです。いくつかレストランが入っており、牡蠣はもちろんこれも厚岸の名物であるウイスキーなどが楽しめます。
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今回入ったのはビストリエというバーのようなお店で、景色を楽しみつつ牡蠣・ウイスキー・イタリアンをいただきました。いうまでもなく旨い…。さすがに都内のスーパーでパックで買うのとは全然違う(それはそう)。こういうのを楽しめるので今回鉄道旅を選んだのはやはり正解でした。牡蠣まつりを楽しめなかったのは残念でしたが、それと引き換えにいろいろな出会いもあったので結果オーライでした。
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生牡蠣以外にも牡蠣を使った料理がピザからグラタンからカレーからパスタから、これでもかとふんだんに用意されています。語彙力がなくて申し訳ないですが、どれもこれも絶品。日が暮れていく様子を眺めつつ牡蠣料理に舌鼓を打つ格別な時間を過ごすことができました。(ただ、それなりにいい値段がしたことも書き添えておきます…)
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大満足しつつ、夜の厚岸駅から釧路駅に戻ります。夜と言っても17時51分発の列車で釧路へ。こちらは意外と混雑しており2人で別々の席に座らないと座れない感じ。満腹、かつ、お酒も入っていたのでうとうとしていたらあっという間に釧路に到着しました。
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釧路駅に到着。こういう電光掲示板、当たり前ですが現地の地名が並んでるのを見ると遠くに来たんだという実感を味わえていいですね。先ほどの列車で釧路駅に到着すれば18時50分に釧路着。このため19時発の最終のおおぞらで札幌に向かうことも(札幌着は22時59分)、18時54分発の釧網本線の列車で川湯温泉に行くことも可能。(訪問時は網走行きだったものの、2024年3月のダイヤ改正で川湯温泉までに短縮)北海道を感じれるのも釧路駅の特徴かもしれません。
釧路市街を一望。「トップ・オブ・クシロ」の名の通りの眺めの釧路プリンスホテルに宿泊
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夜の釧路駅から歩いて向かったのが本日の宿である釧路プリンスホテル。だいたい徒歩15分ほどで到着できました。釧路市内には高層ホテルは2つあり、1つはANAクラウンプラザホテル釧路、もう一つがこの釧路プリンスホテルです。今回は上層階に宿泊したため部屋から釧路の市街地が一望できるようになっていました。
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釧路プリンスホテルは温泉大浴場などは設置されておらず、浴槽の類は部屋の風呂のみの典型的なシティホテル。洗面台は独立していて広々としていて、また、浴槽も足を伸ばしてお湯に浸かることができたので旅の疲れを癒やすのには十分という感じでした。
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今回は夕焼けの時間帯には厚岸にいたため眺められませんでしたが、朝明るくなってからの釧路の市街地と海を眺めるのも良い感じ。高層階(といっても15階ですが)の眺めを楽しみながら朝を迎えても良さそうです。
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朝食会場は17階にあるレストラン、トップ・オブ・クシロで。北海道の食材をふんだんにつかった朝食ビュッフェでお腹を満たして旅の元気をチャージできます。個人的にはこのご飯が美味しかった記憶。訪問時はなかった気がしますが、今はシーフードスープカレーなども提供されているようで、朝食ビュッフェの内容がパワーアップしているようです。
北海道の美味しいものと絶景を楽しむ鉄道旅。道東・釧路エリアを楽しんでみては
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今回は釧路湿原と厚岸の牡蠣を北海道でありながら鉄道で旅したレポートをお届けしました。釧路湿原ではノロッコ号に乗って大自然の中をのんびり移動。展望台からの広大な湿原の美しい景色を堪能。厚岸の牡蠣まつりの延期は残念だったものの、道の駅・コンキリエでたっぷり牡蠣の味覚を味わってきました。この旅行のレポートは次の屈斜路方面にも続きます。ぜひ、秋の旅行先に北海道は道東で大自然と秋の味覚を楽しんでみては。