
2025年ももう6月。あっという間に半年がすぎてしまいました。日本国内を旅行することはそこそこしてきましたが、そろそろ海外にも足を伸ばしたい時期。今回は約1週間会社を休みシルクロードをたどる旅をしてみました。舞台はシルクロードの中継地点とも言える中央アジアのウズベキスタン。成田空港からタシケントへ飛び、キジルクム砂漠を横切る列車に揺られながら、歴史と文化の交差点を訪れました。
今回はタシケント、ヒヴァ、サマルカンドを巡った旅のうち、最初のタシケントとヒヴァ、そしてその道中で利用した夜行列車についてレポート。ウズベキスタンの首都、タシケントからヒヴァは直線距離で760kmほど。東京駅から函館までが直線距離で700km、山口県の徳山駅(周南市)までが750kmほどでかなり離れておりウズベキスタン国鉄の夜行列車を使って移動しました。
ウズベキスタン鉄道は公式サイトで予約。航空券はTrip.comを利用。SIMの調達も忘れずに

ウズベキスタン旅行の準備は、航空便と夜行列車の予約から始まる。ウズベキスタン航空のHY528便(成田→タシケント)は、Trip.com(携程旅行)で予約。今回は東京→ウズベキスタン→トルコ→広州(中国)→東京の旅程でしたが、Trip.comでスムーズにチケットを確保できました。遅延した際(今回は広州→東京が大幅に遅延)の連絡などを含めて、個人的にはTrip.comの対応は信頼できる印象があります。航空券は上記の行程で2名で52万円。なかなかの金額ではありますが、あらゆる場所を回ってこの金額なら十分かなという印象です。基本的に直行便を利用していますしね。
座席に関しては、ウズベキスタン航空は4日前から4時間前までならオンラインチェックインで指定が可能。私はオンラインチェックインを忘れていたので当日の割当でした。また、トルコ航空と中国南方航空も公式サイトからオンラインチェックインが可能です。イスタンブール→広州はイスタンブールについた際にオンラインチェックインをしてしまいました。

夜行列車056ЧА(タシケント→ヒヴァ)と056ЖА(ヒヴァ→サマルカンド)の予約は、ウズベキスタン鉄道の公式サイトを利用。一部表記が怪しかったり、なぜかトップページの検索ボックスが作動しない点はあるものの、意外とスムーズに予約することができました。ウズベキスタン国鉄は本数が少ないため直ぐに予約が埋まってしまうようで、発車60日前、または45日前の予約開始のタイミングですぐに予約するのがベターです。


タシケント→ヒヴァの区間では夜行列車は日によって1日1~2列車が運行。私が利用した金曜日は2列車運行されており、そのうちの21:24にタシケント南駅を発車する056ЧА列車には一等寝台(Sleeper)が1編成用意されています。編成内で10部屋、20ベッドしかないためいかに早く予約するかが重要というわけ。



寝台を選択したら乗車する人の情報を入力。Documentの情報の入力を求められるため、Foreign Documentを選択してパスポート番号を記入します。生年月日については月/日/年の形式で記載します。タシケント→ヒヴァのルクス個室は1人あたり約635,390 UZS(約6,000円)、ヒヴァ→サマルカンドは約469,600 UZS(約4,500円)でした。支払いにはStripeを利用したクレジットカードが利用可能。表示されている限りは手数料は取られずスムーズにチケットを発券することができています。チケットはメールでPDF形式で届いたためスマートフォンにDLしておいて、適宜印刷しておくとベター。私は印刷せずに乗り切りましたが、印刷したほうが万が一の際には安全です。

現地での移動にはYandex Goのアプリが必須。事前に日本でインストールし、クレジットカードを登録します。また、Google Mapでも店や公共交通機関の情報を確認できますが、鉄道とバスについてはYandex Mapが正確。あらかじめ地図情報をダウンロードしておくと良いはずです。SIMについては、eSIMを用意しました。価格が安かったのはGlobalSIMで20GBプランを12ドルで購入。実際には約4日の滞在で4GBほどしか利用していなかったので、もう少し少なくても問題ないかもしれません。
なお、ウズベキスタンは30日以上ネットワークを利用する際にはIMEIの登録が必要です。30日以内の滞在だと割り切ったので今回はIMEIを登録せずに利用しましたが、何回も訪れるつもりならSIMは空港で購入し登録したほうが安全です。(UzIMEIで登録できますがウズベキスタンの電話番号が必須のため実質的には困難です)
本記事の旅程。ウズベキスタン航空と、寝台列車でヒヴァには5時間滞在の弾丸旅程
日付 | 出発時刻 | 到着時刻 | 便名/列車番号 | 種別 | 区間・詳細 |
---|---|---|---|---|---|
6月6日 | 11:05 | 16:10 | HY528 ウズベキスタン航空 | 航空券 | 東京 (NRT) → タシケント (TAS) |
6月6日 | 21:24 | 6/7 11:10 | 056ЧА急行 | 鉄道 | タシケント南 → ヒヴァ(07号車ルクス・1等寝台) |
6月7日 | 16:25 | 6/8 02:42 | 056ЖА急行 | 鉄道 | ヒヴァ → サマルカンド(07号車ルクス・1等寝台) |
6月7日 | – | – | – | ホテル | Bibikhanum Hotel(サマルカンド) |
今回の旅行はウズベキスタンだけでなくトルコも巡るハードスケジュールに。以下のスケジュールで、タシケントに飛行機でついたら一旦タシケント市内を軽く観光。その後、タシケント南駅から夜行列車でヒヴァに。ヒヴァに5時間ほど滞在したら再び夜行列車に乗って午前2時にサマルカンドに到着、というスケジュール。可能な限りロスタイムをなくして効率的に回ることになりました。
タシケント到着。バザールとトルコ料理で旅の幕開け



今回登場するウズベキスタン航空HY528便は、成田空港を午前11時5分出発の便。約8時間ほどのフライトでタシケントに16:10に到着します。デイリー運航ではなく毎週金曜日と火曜日に運行の週2便体制。それなりに搭乗率は高く3-3-3の配列のボーイング787で私の列もすべて埋まっていました。シートピッチは76cmとそこそこ。全体的に少し年季が入っている機内でした。なお、搭乗開始が少し遅れ離陸は約1時間ほど遅れて出発しています。

エンターテインメントシステムも提供されていたものの、ロシア系の映画と音楽のみが入っている感じ。フライトマップを眺めるのがベターという印象でした。なお、機内エンターテイメントは日本語には対応していまません。フライトマップも大手で一般的なPanasonic AvionicsのFlightPath3Dではなく独自のものでした。


機内食は離陸後1時間ほどで牛丼が、6時間ほどで簡単なサンドが配布されました。パッケージはウズベキスタン航空オリジナルでしたが内容的には日本積み込みなのかなという印象の内容です。飲み物はアルコールも提供しているとは思われますが、今回は大人しくオレンジジュースを飲んで過ごしました。



タシケント空港にはほぼ定刻の16:20ごろに到着。タシケント空港では国際線は基本的に沖止めの運用のようで、バスに乗って到着ターミナルに移動します。タシケント空港にはウズベキスタン航空の航空機が多く駐機しており、イリューシン Il-76なども見かけることができました。ウズベキスタン航空自体はほぼ西側の航空機に置き換えており長距離国際線ではボーイング787を、また、エアバスのA320、A321、A330なども運用しています。


到着ターミナルはかなりこじんまりとした構造。到着のみの建物になっており、ワンフロアで入国審査、手荷物受取、税関検査を終えることが可能です。入国審査は非常にスムーズでターミナルに入った20分後には手荷物受取場に入ることができました。両替についてはあらかじめ日本でUSドルを用意しそれを両替所で両替。SIMを現地調達する場合には到着ターミナルにUcell、Beelineのカウンターがあるため購入可能です。旅客は瞬時に入国を終えることができましたが、荷物はやけに時間がかかり結局空港を出発できたのは17時半ごろでした。
タシケント南駅から発車する夜行列車は21時24分発。遅くとも21時には駅に到着したいことを考えると市内観光できる時間は3時間ほど。タシケント空港から市内へはバスもありますが、スピードと快適さを優先してYandex GOを利用します。タシケント空港の到着口は車両の乗り入れ制限があり一応白タクのYandex GOは侵入できないため駐車場を抜けた表通りまで徒歩で移動。タクシー自体はすぐに配車され20分ほどでチョルスー・バザールに到着できました。


チョルスー・バザールは、タシケントの中心部に位置する歴史ある市場。18:00頃の到着でしたが、残念ながら店じまい後。市場の建物内は、青と白のタイル装飾が施され、果物やスパイスの残り香が漂います。アーチ型の天井には、シルクロードの交易を象徴する幾何学模様が描かれておりなかなか見応えがあります。特に何も買えなかったのでバザールの建物の向かいにあったスーパーで水を購入してさっさと退散しました。



次に、タシケントの地下鉄でテミール広場へ移動。ソビエト時代のアールデコ調の駅構内は、大理石の壁と豪華なシャンデリアが特徴です。旧ソ連製の車両は、青と灰色の配色に特徴的な外装で歴史を感じさせます。地下鉄の各駅は、ソビエトのイデオロギーを反映した装飾で知られ、テミール広場駅は労働者や農民を讃えるモザイクが印象的でした。地下鉄については、また再度乗車するのでその際にレポートしたいと思います。

テミール広場は、タシケントの中心地として賑わい、周辺のモニュメントが夜の照明に映える。広場の中央には、ウズベキスタンの独立を記念するアミール・ティムール像が立ち、観光客と地元民が共存する活気ある空間でした。夕飯はテミール広場近くのSailgokh Streetにあるトルコ料理店の露天で軽く済ませて再びYandex GOでタシケント南駅に移動しました。移動自体は20分ほどで到着できたため、タシケント市内で意外とのんびりすることができた印象です。
ウズベキスタン国鉄の夜行列車056ЧА急行。タシケントからヒヴァへ1049kmの移動

今回乗車する列車、夜行列車056ЧА急行はタシケント南駅(Toshkent-Janubiy)から発車。タシケント南駅は市街地から離れており、アクセスは基本的にタクシーまたはバスを利用します。プラットフォームは3面5線のそこそこの規模。以前レポートした中国の夜行列車と同じようにウズベキスタンでは駅へ入る際に荷物検査があるため、入口は写真右手前の入口のみを利用していました。


荷物検査自体はそんなにならばず、切符を見せて荷物をX線検査装置に流して終了。言葉が通じない外国人はあまり真面目に検査されずあっさり駅舎内に入れます。駅舎内にはほぼ空調は設置されておらず6月で昼間は25℃ほどになるタシケントでは、駅舎内はそこそこ暑くなっている感じ。独特の匂いが駅舎内に広がっていました。簡単な売店が駅舎内にあるのでトイレットペーパーや、パン、ジュースに水はここで購入可能。価格はそこそこしますが、利便性は抜群です。


タシケント南駅のトイレは男性用が全て和式(トルコ式)で、アシスタントトイレのみ洋式。トイレットペーパーはなく、売店で購入したティッシュペーパーが必須でした。写真では分かりづらいですが、基本的にウズベキスタンのトイレは不潔。トイレットペーパーは流せないのでトイレ横のゴミ箱に入れる必要がありますし、洋式トイレの便座は何故か濡れて汚れています。後述するように列車内のトイレもキレイとは言えないため覚悟が必要です。



ホームでは、ソビエト時代を思わせる重厚な列車が待機。おおよそ発車の40分前くらいからホームへの改札が始まり、プラットフォームへ移動します。なお、プラットフォームの高さが低いため駅舎から一つ線路をまたいで列車の待つホームに移動する際にはそのまま線路を渡ってしまいます。このあたりはなかなか珍しい体験かと。
ウズベキスタンでは列車は定刻よりも早く発車してしまうこともあるらしく、今回の列車は21:24タシケント南駅発車ですが余裕を持って10分前には車内に乗り込んでおくとベターです。各車両に車掌がおり、乗車する際には車両の前でも車掌による切符の確認があります。
意外と快適な一等寝台車両。2人用の鍵付き個室にエアコン、電源も完備



21:24発の056ЧА急行は、ウズベキスタン鉄道の主力夜行列車。タシケント南駅を21:24に発車しサマルカンドやウルゲンチといったウズベキスタンの都市を抜けてヒヴァを目指す列車です。ヒヴァ到着は11時10分で13時間46分のロングラン列車。直線距離は760kmほどですが、実際に走行する距離は1049kmと非常に長く、ウズベキスタンの大地を走破する列車になっています。
07号車ルクス(1等寝台)は、2人用の個室で設計された快適な空間です。車両は1970年代にロシアのTver Carriage Worksで製造された寝台車を基盤に、1990年代以降にウズベキスタンで改修されたもの。他の方のレポートなどと比べると車両自体の改修はその後も実施しているようで、今回乗車した車両には謎のビデオサービスにエアコン、テーブル、110VのAC電源(日本型のコンセントも利用可能)にUSB電源(Type-A・C)も完備。かなり近代的な夜行列車になっていました。エアコンは停車中はオフになるようで、タシケント南駅発車までは車内は蒸し風呂。また、途中駅でも徐々に気温が上昇するのは要注意です。

ルクス個室は、青いシートカバーが使い回しだが、配布されたシーツは毎回交換され、清潔感を保っていました。ベッドは適度な硬さで、幅約70cm、長さ約190cmと大人が足を伸ばしても問題なく寝ることができるスペースを確保できます。柔らかさもそこそこで寝る場所としては十分。テーブルにはお茶のパックも置かれていますが、コップは用意されておらずお茶を楽しみたい場合にはコップの持参がマストです。なお、お湯は車端部に給湯器が用意されており適宜確保することが可能です。

トイレは各車両の車端部に2つ設置。現代的な真空式になっており理論上はトイレットペーパーも流せるようになっています。実際には写真のようにゴミ箱が配置され、ここにトイレットペーパーが捨てられていました。清潔なデザインですが、あきらかに和式型の利用(トイレの便座部に足を乗せてスクワット姿勢)の痕跡があり便座はあまり清潔ではありませんでした。またトイレットペーパーは1ロールしか用意されておらず道中で紙切れになるのも注意。トイレットペーパーの持参はマストです。
洗面台もトイレ内にあり石鹸も用意。洗面台自体は大きくなくここで顔を洗ったり歯を磨くというのは難しい印象です。なお、車掌室の隣に洗面台が別途用意されており(使ってよいのかはわかりませんが)ここなら顔を洗うことも余裕そうな印象です。寝台列車にシャワーを用意するのは日本と欧州の一部くらいなので当然シャワーはありません。

列車は定刻に静かに発車。広軌の線路は滑らかなはずですが、保線の精度が高いは訳では無いようで意外と横揺れする印象。また、ブレーキも日本の寝台列車のように丁寧ではなく加速しては減速というようなキビキビとした運転で前後にもそこそこ揺れる印象です。車内を1号車方面に向かって散歩したり、車掌に聞いてみましたがどうやら食堂車はないようで、食事は始発か途中駅での購入が必須でした。



9時間のロングフライトで疲れていたこともあり、あっさりと眠りにつくことができました。体感ですが9時間ほどは途中で目覚めつつも眠ることができた印象。スマートウォッチ上では眠りの計測はできていませんでしたが、旅の疲れを癒やしてくれます。目が覚めたときには列車はブハラも過ぎてひたすら砂漠の中を走っておりのんびり車窓を眺めるのも旅情があり良い感じでした。Bog‘otあたりから徐々に草原地帯になり、ウルゲンチの街に向かって行きました。
ヒヴァ到着。日帰り観光にも嬉しい荷物の預かり所も用意



ヒヴァ駅には11:10の定刻から20分ほど遅れて11時半頃に到着。ヒヴァ駅は2018年に開業したばかりの新しい駅。2017年に観光振興を目的にシャヴカト・ミルジヨエフ大統領の指示で建設が開始され、ホラズム建築の電灯を反映した色鮮やかなタイルとアーチ装飾のある駅舎で外観はかなりきれいになっています。タシケントからヒヴァに伸びる鉄道は現在も工事が続けられており、最終的にはウズベキスタン高速鉄道も乗り入れを予定。ただ、この乗り入れについてはまだ目処は立っていません。
プラットフォームはタシケント南駅と同様に低床ホーム。このためスーツケースなどを持っている場合には、そこそこの高さを飛び降りる形になるので荷物の扱いは注意が必要です。車掌によっては下ろすのを手伝ってくれますが私は自力で下ろしました。


通常ウズベキスタンの鉄道駅では列車到着後は駅舎に入らずに、駅舎脇の広場になっているスペースから駅の敷地の外に出るようになっています。ただ、手洗いを使いたい場合や荷物を預けたい場合には人の流れに逆らい、駅舎入口に立っている係員に伝えて駅舎に入れて貰う必要があります。英語は通じませんでしたが、荷物を指さすとすんなり駅舎内に入れてくれました。
駅舎の中にはタシケント南駅も含めて多くの駅に荷物預かり室があります。駅舎の係員に声をかけてあけてもらい、荷物1つにつき1万スム(約113円)を支払えばそのまま預かってくれました。一応荷物預かり室は施錠されますが、どの荷物が誰のものかというのは識別しないので貴重品は入れないほうがベターです。

ヒヴァ駅からヒヴァのメインの旧市街であるイチャン・カラへは徒歩約30分の距離。歩けない距離ではありませんがカメラを持っていたことや、夜行列車の疲れ、そしてヒヴァの暑さを考えれえばサクッとYandex GOに乗ってしまったほうがベターです。駅前の表通りに移動してYandex GOに乗り込んでイチャン・カラの中心にあるJuma Mosque方面にタクシーを走らせます。
ヒヴァのイチャン・カラ。シルクロードの要塞都市

ヒヴァのイチャン・カラは、数百メートル四方の城壁に囲まれた世界遺産。16:25発の列車に乗るため、15:45までの約4.5時間で観光します。イチャン・カラの中には多くの見どころの建築と、博物館がありますが今回は一番のメインどころを中心に散策。暑さと疲れもあってレストランに寄ったり、カフェに寄り道しながらのんびり以下の施設を巡りました。
観光地 | 営業時間 | 備考 |
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Kunya Ark(クフナ・アルク) | 8:00~18:00 | 17世紀のハーン宮殿 |
Juma Mosque(ジュマモスク) | 8:00~18:00 | 210本の木柱 |
Islam Khoja Minaret | 8:00~18:00 | 47m、登頂可 |
Sultan Restourant | 10:00~22:00 | プロフ、ラム串、ビール |

イチャン・カラの門内は自動車の乗り入れが禁止。このため、Yandex GOを手配するときの正解は西門のチケット売り場前を目指すことになります。私はそれを知らずにジュマ・モスクのそばを指定したため、南門の脇から裏道で近づいていく結果に。Yandex GOの運転手は言葉が通じないこともあってか、Yandex GOアプリで示された通行可能な場所の最奥部まで車を突入させてくれますが、大人しく西門を示すほうがスムーズに入場できるかもしれません。

最初に立ち寄ったのは47mの高さを誇るヒヴァのランドマークともいえるIslam Khoja Minaret。青と緑のタイルが陽光に映え、1908年の建設はヒヴァの近代化を象徴している建物です。入口のおじさんに入場料の10万スムを支払い狭い螺旋階段をひたすら登ります。段数が多いこととその狭さ、一段一段の高さもあって登り降りはかなり大変ですが頂上からの眺めは圧巻でした。



ウズベキスタンはイスラム教のスンニ派が人口の90%を占めるイスラムの多い国。ただし、旧ソ連の構成国だったこで国家としては世俗国家となっています。イスラム教においては飲酒は禁止されていますが、レストランではお酒を出しているお店も多く、今回寄ったSultan Restourantでもビールを堪能することができました。
ヒヴァのプロフと、ラム串も注文。サマルカンドでもプロフを食しましたが、ヒヴァのプロフは油を使いながらもあっさりとした重くない味になっている印象。真ん中にどーんとにんにくがのっていることで実現する香ばしさのある味も魅力的。このレストランにはしっかりとした窯も用意しており焼き立てのジューシーな串を楽しむことができました。

レストランで食事を楽しんだら一度イチャン・カラの西門へ移動。南門側にはイチャン・カラ内の各施設に入るための共通チケットを販売しておらず、一度外に出てチケット売り場に向かいます。共通チケットは外国人は20万スム。ウズベキスタンではどこの観光施設も外国人とウズベキスタン人では値段が異なっており、外国人のほうがかなり高い価格設定に。インバウンドに苦しめられている観光地でも同じような価格設定でよいのではないかとも感じます。



チケットを購入して訪れたKunya Arkは、17世紀のホラズム・ハーン国の宮殿。青と白のタイル装飾が施された門は、シルクロードの交易の繁栄を象徴しているんだとか。見どころはこの非常に繊細に描かれたタイル。このタイルをびっしりとはめた建築は圧巻でした。ペルシャやロシアの影響を受けながらもヒヴァ・ハン国の首都としての繁栄を感じることができます。



次に、Juma Mosqueへ。10世紀に起源を持ち、18世紀に再建されたモスクは、210本の木柱が支える独特の空間。各柱には12~15世紀の彫刻が施され、職人技の変遷を垣間見ることができます。光が柱の間を柔らかく差し込み、木の温もりと石の冷たさが調和しているのが特徴。石造りの建物が多いヒヴァの中でも木をふんだんにつかったこのJuma Mosqueはなかなか印象的でした。

どの建物もそんなに長い間滞在はせず、旅の疲れもあったのでこの3箇所を回ったあとはカフェで一休み。その場で絞った新鮮なフルーツジュースやコーラを飲んで暑さの中歩き回った疲れを癒やしました。ヒヴァ観光は実はここまでで終了。共通チケットではより多くの場所を訪ねることができるのですが、今回はここで時間切れです。
夜行列車056ЖА急行。ヒヴァからサマルカンドへ



カフェが南門側に位置していたのと、ヒヴァ駅からも近いこともあり南門からイチャン・カラを抜けてYandex GOを配車。2重の城壁を抜けた場所でのんびり到着を待ちます。南門側は人が少ないこともあって城壁をのんびり眺めることが可能。見張り台になっている部分が多く、いかに大きな城壁だったかを見渡すことができました。



ヒヴァ駅は新しい駅なこともあって駅前からイチャン・カラ方面に向かっては広い緑地帯を持つ街路が整備。駅前には駅開業時に建てられたと思われる立派なホテルもあってウズベキスタン政府の観光への力の入れ具合が伝わってきます。現在は1日3本程度しか列車が来ないこともあり、ヒヴァ駅へ入るのは非常にスムーズ。荷物検査でも全く並ばずにすぐに駅舎に入ることができました。

駅舎で預けていた荷物を受け取って、手洗いなどを済ませたらプラットフォームに向かいます。16:25発の056ЖА急行は、056ЧАと同型の車両を使用。07号車ルクス個室は、タシケント発の列車と同等の設備で、青いシートカバーと清潔なシーツが用意されていました。今度はサマルカンド(午前2時42分着)へ移動します。日中の暑さのなかの観光の疲れと列車の程よい揺れもあって18時頃には眠りにつくことができ、深夜着の移動でも休息を取りながら移動できました。

サマルカンド到着の20分ほど前には車掌が現れて使用したシーツや枕カバー類を回収。日本の夜行列車のように一列車内で一度でも寝台が使われたら再販売するのではなく、区間が被らなければ同じ寝台を再販売するスタイルのようで、利用したリネンを回収したあとは新しいリネンを車掌が設置していきました。サマルカンド駅への到着は定刻より9分遅れた2時51分。ウズベキスタンの鉄道は比較的時間に正確で、1000kmの行路でも最大30分ほどの遅延に収まるようです。



サマルカンド駅は深夜にも関わらず夜行列車の利用者が待合室にいるため、いくつかの店も営業し、待合室も人がそこそこいる状態でした。列車到着後は駅舎に入らずにそのまま出口に向かうのですが、サマルカンド駅の場合真ん中のホームに到着した際には地下通路を通って駅舎に一旦入る形。手洗いなどを済ませ、通信環境などを確認してから駅舎を出ました。
深夜でも安心して移動できる治安が嬉しい。ビビハニム・モスク周辺の道路は注意

Yandex Goで今回の宿であるBibikhanum Hotel(ビビカナム ホテル)へ移動。ビビハニム・モスクからレギスタン広場方面へつながる道路である【ウーリツァ・タシュケンツカヤ】は歩行者専用道路のため自家用車であるYandex GOもタクシーも乗り入れ不可。荷物を持って坂を登ることにはなりますが、下の大通り沿いの停車場に停めてもらうのがベターです。下手に裏道から近づこうとした結果、かなり狭い住宅道路を走ってもらうことになりました。(帰りが大変そうなドライバーにはチップを多めに払いました)
結果として午前3時半ごろのサマルカンドの街を少し歩くことになりましたが、ウズベキスタンの治安はかなり良く車でも問題なく走行し、ホテルへたどり着くことができました。この治安の良さは嬉しいところ。予め午前3時過ぎ着とホテルに伝えていたので、従業員の方が暗いフロントで待ってくれており無事にチェックインすることができました。


ホテルの眼の前にビビハニム・モスクがあることで最高の立地と、中庭とレストランからの景色が楽しめるホテルなだけあって調度品もきれい。もともと部屋が空いておらず4ベッドルームを予約していましたが、当日はツインルームを手配してくれたのも嬉しいところ。ベッドは少し固めですが旅の疲れを癒やしてくれるのには十分すぎる柔らかさです。
水回りも一通り確認。洗面台とトイレは同じ室内ではあるものの距離が離れた構造で気にならない使い勝手を実現。トイレの流す水圧は低め。ここもトイレットペーパーを流すことはできません。シャワーブースも非常に広くゆったりお湯でシャワーを浴びることができました。若干シャワーの水圧は低めですが問題ないレベルでした。ランドリーサービスも提供していて、一着につき1万スム(約113円)なので溜まった洗い物も選択してもらえます。
ウズベキスタンの夜行列車を使って世界遺産を便利に、効果的に回る旅

今回利用したウズベキスタン航空とウズベキスタン鉄道の夜行列車は、日本から遠く離れているように感じる中央アジア・ウズベキスタンの世界遺産を効率的に回るためのベストな方法でした。ウズベキスタンの首都タシケントから世界遺産のイチャン・カラを擁するヒヴァまでは1,049kmというロングランな寝台列車で横になり眠りにつきながらゆったりと砂漠を走り抜けるのは旅情も抜群。サマルカンドも同日に訪問なんてこともできるので効率よく訪問していくことができます。
次回以降の記事では、青の都とも呼ばれるサマルカンドや、タシケントへのウズベキスタン鉄道の高速鉄道「アフラシャブ号」についてもレポート。まだまだ日本からの知名度が低いものの、成田空港からの直行便で快適に行けるウズベキスタンをぜひ旅行先として検討してみては。