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【雑感】クラウドファンディングなんてクソ喰らえ。ただの金集めツールとしてのクラウドファンディングにノーを。クラウドファンディングに感じる違和感

1年に一回くらいは界隈をざわつかせる、ざわつかせ系ブロガーのあーるです。昨年は2月に開催されたブロガーズフェスティバルを踏まえて、収益だけのアフィブログと変わらないブログを目指す、読者置いてけぼりのブログが増えたよね、という記事を書きました。今年の5月のGoogleのアップデートではガジェットブロガーでも阿鼻叫喚が聞こえてきましたが、おかげさまか当ブログは順位を上げておりました。そういうことです。

さて、本記事ではガジェット界隈でも目にすることが多くなったクラウドファンディングについて書いていこうと思います。様々な企業や個人が、新しいアイデアを形にするために広く出資を募るクラウドファンディング。海外だけでなく今では日本でもMakuakeやCAMPFIRE、READYFORなどで裾野が広がってきました。

私自身も実は結構な数のクラウドファンディングに出資。ただ、ちゃんと満足の行く結果を得られたのは一部に留まり、プロジェクトが失敗したり、出資した店が閉店したりと結構いろいろな目にあっています。また首を傾げるクラウドファンディングも増えてきた印象。正直、もう私はクラウドファンディングはクソ喰らえと思ってくるレベルで嫌気が差してきました。

また、私事ではありますが私は一応ちゃんとした銀行の法人営業担当。自身で営業・渉外活動をするだけでなく、決算書の分析、お客様との対話を通じ審査もし、さらに、金融派生商品も提案するー一般的に言えば金融のプロです。そういった立場としても、クラウドファンディングの現状には色々思うところがありました。

本記事の執筆にあたっては、かえざくらさんの「何でもかんでも「クラウドファンディング」なことに思うこと」にインスピレーションを受けています。

2020年6月7日追記:事例を1つ足しています。また、本記事の公開に合わせてコメント欄を匿名可にしたので、本記事をきっかけにクラウドファンディングについて議論がなされることを期待します。

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ファンディング=出資。出資者に対する敬意と、それにあったリターンを

まずそもそも「ファンディング」って何だったか、皆様考えてみましょう。”funding”と辞書をひいてみると「資金、 基金、 基本金」(※1)と出てきます。例文の”suitable funding”は「相応の出資」と訳されており、造語である”Crowd Funding”は「群衆から集める出資金」とでも訳せば良いでしょうか。要は出資ですね。

株式投資をしたことがある方はおわかりですが、出資金というのは企業の事業を行うためのベースとなるお金。企業は企業活動を行うに当たり株券を発行し、 資本家が株券を購入して企業に対して資本金を提供します。この資本提供の対価として企業はその利益の一部を配当として還元したり、B to C企業なら株主優待として個人株主に還元します。

また、株主はその会社の資本を保有している事になり、その保有株数に応じて会社の基本方針を決める株主総会での議決権を得ることとなります。(種類株などの話はおいておきます。)このように、通常の企業活動での「出資」には配当というリターンと、その会社を保有することによる議決権を得るわけです。

対してクラウドファンディングを考えてみるとどうなるのでしょうか。クラウドファンディングで企業の資本金を集めるということはなく、よくある例でいえば画期的な新製品の開発やなにかプロジェクトを企画してその費用集めといったところでしょうか。前者はリターンとしては実際に完成した製品の提供と、事実上の予約販売、後者はプロジェクトの成果物の還元や、イベントへの招待などなどといったところ。

出資後はその開発プロジェクトなり、イベントにせよ当初掲げた目標の進捗状況について報告を出資者は受けることができます。ただ、時々不誠実な企画者は進捗報告を疎かにしたり、出資者からの問い合わせを蔑ろにしたりしている例も散見されます。

まずここで感じるのが、「出資」と言いながら出資者にはなんの発言権も与えられていないこと。その開発プロジェクトなりイベントなりに対して身銭をきって出資しているにも関わらず、ほぼ全てのクラウドファンディングで議決権に相当するものは与えられず出資者にはただただなされるかも不確実な進捗報告を見ることしかできないのです。

もう一つ違和感を感じるのが、そのリターン。クラウドファンディングによくある勘違いしたお礼メニューとして、感謝のメッセージや、名前の掲載といったものがありますがそれは出資に対するお礼ではなく、「寄付行為」に対するお礼です。「募金活動」を何が出資だバーカ現代らしく言い換えているに過ぎません。

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※1:Weblio英和辞典,https://ejje.weblio.jp/content/funding,2020-06-02閲覧

Indiegogoでの出資記録。SlimQ以外は何も届かなかった

出資して無事開店したものの、なんと2年で閉店したホタテ屋

私はこれまで複数のクラウドファンディングに実際に出資し、時にはプロジェクトが失敗に終わり(そもそも最初からそのプロジェクトがあったのか怪しいものもありました)、まあ時にはリターンを得ながらも結局店が閉店したりなんてこともありました。現時点で唯一リターンを受け取って問題なかったのは、小型サイズのUSB PD充電器のSlimQだけでしょうか。

というように、クラウドファンディングは「出資」と言っているだけあって、通常の企業への出資で言えば倒産といった失敗してなんのリターンも得られない可能性があるもの。そりゃ、出資なんですから当然です。ただ、個人的には失敗するかもしれないプロジェクトに出資してくれる人に対して、そのリターンで良いのか?と感じるわけです。

クラウドファンディングは株式のように会社法によって出資者の権利が保証されているわけではありません。また、製品の予約販売のように「出資」を謳っているため商品が提供されなかったとしても債務不履行になるわけでもないわけ。通常の出資に比べて「出資者」の権利は保護もされていないわけ。極論を言えば悪意のあるプランナーが企画をでっち上げて逃げることも可能。

そんなクラウドファンディングのリターンは、個人的にはもっと大きく、かつ、権利の行使が可能なものであるべきなのではないでしょうか。製品開発であれば、実際に製品開発の現場との対話を確実に行える場を作るであったり、店を出すというプロジェクトならば当然決算書、確定申告書は出資者に開示しその後の状況報告を行うのが筋ではないのかと思います。

現在の溢れているクラウドファンディングは、あくまでも製品やプロジェクトに対してお金を出させて、あとは完成品を、もしくは特典をプレゼントするだけ。これでは健全な「出資」ではないでしょう。

ただの輸入品に「出資」?情弱ビジネスはやめにしよう

ここ最近のクラウドファンディングで多いのが、海外の製品を日本で販売する輸入物。海外で行われているクラウドファンディングを海外のメーカーがそのままmakuakeで実施したり、日本の正規代理店が行うくらいなら良しとできますが、問題と感じるのが全く関係ないパターン。上のスクリーンショットのような、ただの輸入販売品をクラウドファンディングで販売するという例が後を絶ちません。

上の体温計であればほぼ同様のものがAliExpressで非常に低価格で販売中。これをクラウドファンディングを利用して「出資」を集め、さらに元値よりも高い価格で販売することの必要性は一体何なのか。ただただ、海外通販などに疎い人間に高値で実質並行輸入品を販売するためのツールでしかありません。

Makuakeを見てみると非常に多くの製品が登場していますが、この中で海外のメーカーが製造しているものを単にOEMにするか、そのままのブランド名で、もしくはノーブランドで販売だけをするクラウドファンディングがどれだけ多いことか。クラウドファンディングという体裁を利用して、このような情弱ビジネスを展開することは如何なことか、また、それを放置するプラットフォームにも大いに問題があるのではないでしょうか。

その出資に価値があるのか、その答えを示せないクラウドファンディング

企業ではなく個人の企画のためモザイクを入れています

クラウドファンディングが一つのブームになっていることから、何を勘違いしたのか自身の人生や、コンテンツに価値があると思った人/グループによるクラウドファンディングが後を絶ちません。上のスクリーンショットであれば、YouTubeチャンネルを大きくするためにカメラや編集機材を買いたいというもの。なぜ、赤の他人がYouTuberになるための資金を提供する必要があるのでしょうか

特にCAMPFIREに多いのが個人ベースで何かをしたいので支援を下さい!というプロジェクト。ただし、「プロジェクト」と言いつつ、実際にしていることはただお金を集めるだけ。具体的に何をどのように実施し、どのような成果、もしくは社会的な価値を提供していくのかが一切示されていないプロジェクトが非常に多いのではないでしょうか。
当然そういったプロジェクトは出資自体も少ないため前述してきたものに比べれば可愛いものですが、勘違い系クラウドファンディングが乱立することも、さらなる勘違いを生む原因となり問題なのではないでしょうか。原因は、クラウドファンディングという言葉で称賛する雰囲気を作ってしまったことにあるのでしょうが、少しでも手数料収入を極大化したいプラットフォーム側にも責任があると感じています。

こういうのも最高ですね。この記事で取り上げてきた問題点のうち、①出資者の権利が守られていないこと、③出資に価値があることを示せていないの2つも満たしているプロジェクトでした。

このような投稿もありましたが、仮に「失敗」とするのであれば当然返金するべきでしょうし、今回の場合は投稿を読む限りそもそも下着制作にすら至っていない=集まった資金が事業以外に使われていることが想定されます。金融機関の融資であれば、資金使途違反で最悪期限の利益を切られる可能性があるもの。それを出資者側も「良い話」としてしてしまうのでは不健全でしょう。

「失敗」と書いたのは、そもそもプロジェクトページの中身が全く実態がない内容であり、当初から資金の持ち逃げを企図していたと言われても反論できないものであるから。「失敗」ではなく最初から存在していなかったプロジェクト、つまり「詐欺」であり、企画者は民事上、刑法上相応の報いを受けるべきと考えられるわけです。

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健全なクラウドファンディングのために。「出資」する側も権利意識を持つべき

過激なタイトルで書き始めた本記事ですが、私あーるがここ最近特に乱発気味のクラウドファンディングに対して思っていたことを書いてみました。当然、クラウドファンディングの意味を履き違えたり、情弱ビジネスを展開したりするクラウドファンディングの実施主にも問題はありますが、それを助長しているのはそれに出資してしまう出資者や、ろくな審査もせずに掲載してしまうプラットフォーム
本記事を読んでいる方は基本的に出資者になる側だと思いますが、出資者側も権利意識と、そのプロジェクトに意味があるのか、それをしっかりと検証のうえ出資するということが必要になってくると思っています。
何でもかんでもお金集めはクラウドファンディングではなく、クラウドファンディングが合うものにはそれを、通常のエクイティ・ファイナンス、もしくは銀行融資が適切な場面では銀行融資というように、健全な金融リテラシーがオンラインでも醸成されていくことを最後に願って本記事を終わりとしたいと思います。

1 コメント

  1. 私もクラウドファンディングでイノベーションを起こすような商品が見たくてMAKUAKEを見たら、ただの通販サイトでウンザリした者のひとりです。
    Kickstarterのような審査も無い。新しい分野でもない。見てて吐き気がします。

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銀行をやめて人材系のHRテックらしいメガベンチャーにいたかと思えば、今はSIerで企画とかしています