完全ワイヤレスイヤホンはガジェット・オーディオの製品の中でも特に注目を集める分野。近時は製品ラインナップも充実してきており、高音質規格apt-Xに対応したモデルも一部の高級モデルを中心に登場してきました。ただ、いくら完全ワイヤレスイヤホンが増えてきたとしても、自分好みのイヤホンを使いたいというニーズも俄然存在するのも事実。今回はFiiOから登場し、日本国内でも発売となったFiiO UTWS1を購入したのでレビュー。
FiiO UTWS1は手元のイヤホンを完全ワイヤレス化できるBluetoothアダプター。Qualcomm QCC3020を採用し、最新のワイヤレス伝送技術であるTWS+に対応。既存のイヤホンをTWSイヤホンに変身させるだけでなく、apt-Xによる高音質、TWS+による安定した接続性能を実現したモデルです。
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意外と小さく、携帯性が高い本体。MMCXモデルと2ピンモデルの2種類
今回購入したのはFiiO UTWS1の2ピンモデルとJadeAudio名義で登場したイヤホン、JadeAudio EA3。JadeAudio EA3はFiiO FH1sとしてFiiOブランドでもチューニングを変更したものが販売中のイヤホン。セットで80ドルほどで購入しました。
今回購入したFiiO UTWS1は、2ピンプラグのモデル。日本国内ではMMCXモデルが発売されており、多くのメーカーのモデルで利用可能。EA3がMMCX接続だと信じていた私は、まんまと汎用性の低いモデルを掴まされました。なお、2ピンモデルも国内で登場予定です。
FiiO UTWS1の付属品はMMCXモデル、2ピンモデルともに充電ケーブルとキャリングポーチ、説明書とシンプル。完全ワイヤレスイヤホンによくあるようなケースでの充電式ではなく、microUSB端子の2股ケーブルなのは充電のしやすさではマイナスポイント。ただ、後述するようにバッテリーの駆動時間が長くそもそも外で充電をする必要もありません。
JadeAudio EA3は、オンライン専門の廉価版ブランドらしく必要最低限のものが付属しているという感じ。キャリングポーチはハードケースではなく、イヤーチップは2種類のものが各3サイズという感じです。
実際に手に持ってみると結構大きいサイズ感であることに気がつきます。通常のワイヤレスイヤホンなら指先のサイズなのにたいし、UTWS1はステレオのセットだと手のひらを埋めてしまうくらい。
ボタンのは位置はシンプルで、側面についているボタンのみという割り切った仕様。できることも、音楽再生時なら音量の変更と曲の先送り/曲戻し、一時停止/再生くらい。あとは、着信応答くらいといったぐらいです。
下部には充電用のmicroUSB端子が2つ。充電は2股ケーブルを利用するため、最近の完全ワイヤレスイヤホンのように専用ケースに入れるだけで充電できるというわけではなく、ケーブルを接続する必要があるのは面倒です。
FiiO UTWS1はイヤホンをつないで耳にひっかける構造。実際に耳にかけてみると、意外と耳にフィットして重さを感じないのが驚き。通常のイヤホンと同じ仕組みで耳に入り、耳たぶを挟み込む形で全体を支えるため、完全ワイヤレスイヤホンに比べて安定感も、耳への負担も少ないのが特徴。長時間着けて移動したときの疲労感は、FiiO UTWS1のほうが少なく感じました。
遮音性などのイヤホンの性能については、接続するイヤホンに依存する形。今回一緒に購入したFiiO EA3の遮音性は正直なところそこまで高くはなく、電車の中で利用した場合車内アナウンスは若干低減される程度という感じ。ノイズキャンセリングも搭載していないため、静かな環境をすぐに作れるわけではありませんでした。
接続元から左右それぞれに音楽を送る、TWS Plusに対応
FiiO UTWS1は、Qualcommが開発した完全ワイヤレスイヤホンの接続方法であるTWS Plusに対応。このTWS Plusの特徴は、スマートフォンやDAPから、左右のイヤホンに直接音楽を送ること。通常の完全ワイヤレスイヤホンは、左か右のイヤホンがスマートフォン等との接続の母艦となり、反対側に音楽を送る構造だったため、左右間での音ズレや音飛びの原因になっていました。
通常のワイヤレスイヤホンの接続イメージ(左)・TWS Plusでの接続イメージ(右) |
TWS Plusなら左右のイヤホンに直接音楽データが伝送されるため、接続の安定性が向上し、左右での音ズレも防げるわけ。また、片側が反対側に音楽を送るという負荷がかからないため、バッテリーの節約にもつながるのもポイント。なお、バッテリーの持ち時間は連続再生時間で8時間(公称)で通勤や通学で時間がかかっても帰宅まで充電不要なレベル。
私の場合、Snapdragon 765Gを搭載したXiaomi Redmi K30 5GがTWS Plusに対応しており、早速試しに接続してみました。なお、Snapdragon 855を搭載していてもGalaxy S10は非対応だったりと、メーカーによっても対応/非対応が分かれるのには注意が必要です。
TWS Plusでの接続は、通常の完全ワイヤレスイヤホンと同じような手順でBluetoothのメニューから接続。左右のどちらからでもペアを選択でき接続が可能。接続後はスクリーンショットのように左右それぞれのバッテリー残量が確認できるようになるのもグッド。
FiiO UTWS1はTWS Plusを使用しない場合でも、左右両方からペアリングが可能で、母艦となる方をバッテリーの減り具合に応じて入れ替えることが可能。こうすることで、どちらか片方のバッテリー消費だけが増えてしまうことを避け、両耳の利用可能時間を伸ばせるわけです。
TWS Plusで接続している際は、デベロッパーオプションでBluetoothオーディオコーデックがaptX TWS+となっていることで確認可能。ただし、私の場合Redmi K30 5Gからストリーミングの音楽をFiiO UTWS1で再生しようとした場合、TWS Plus非対応のFiiO M6から音楽を再生する時よりも音飛びが激しくなってしまう結果に。原因は不明ですが、TWS Plusが必ずしも安定するかは機器同士の相性もあり一概には言えなさそうです。
ワイヤレスだから劣化する、というのは感じさせない音。
今回は誤って2ピンモデルを購入してしまったため、私のメインイヤホンであるFiiO F9 Proや、18種類の音質を試せるLZ A4を接続して試すことができないのが残念。あくまで試聴対象となるのは今回UTWS 1と一緒に購入したJadeAudio EA3の有線接続との比較になってしまうのをご了承いただければ。
有線接続と比較して感じるのは、解像度や音場は若干狭くなるものの有線接続と比較して十分遜色ないクオリティを実現できていること。人によって完全ワイヤレス化に伴う音質劣化の妥協点は異なるとは思いますが、個人的には完全ワイヤレス化のメリットのほうが大きいと思えるレベル。
FiiO M6やGalaxy S10と通常の完全ワイヤレスイヤホンとして接続している分には、音飛びなどはランニング中でも発生することがない安定性も確保。手元のイヤホンを首の後に回り込むケーブルもなくワイヤレス化できるというのは音質劣化を超える恩恵を受けられると感じます。
ミニマルに散歩やランニングをお気に入りの音で連れ出す。FiiO UTWS1だからできるわけ
現在は新型コロナウイルスの影響により気軽に外出ができる状況では決してありません。なので、今回のようなイヤホンをメインで使える通勤や、お出かけという場面が消え去っているわけですが、三密を避けた散歩やランニング、もしくは生活必需品の買い出しの際にイヤホンが欲しいという需要はあるはず。
FiiO UTWS1ならお気に入りのイヤホンをMMCX接続、もしくは2ピン接続で完全ワイヤレス化して、かんたんに楽しめるようになるわけ。全くケーブルなしで、財布とスマホ、そしてUTWS1でミニマルに過ごせるなら8,000円は高くはありません。
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