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【下田プリンスホテル】部屋から海を眺められる海辺のリゾート。若かりし頃の黒川紀章が手掛けた全室オーシャンビューの下田プリンスホテル宿泊記

 

暖かい季節であってもちょっと肌寒い季節でも、海を眺めていると落ち着くと感じる方は多いはず。東京から簡単にアクセスできるエリアでも、海を感じることができる場所は多いですが、特におすすめしたいのが伊豆エリア。明治時代にはすでに東京からアクセスできる避暑地としての地位を確立していた伊豆はその歴史に恥じることのない過ごしやすい気候と、美しい海を堪能することが出来ます。
今回はそんな伊豆半島は下田市、白浜中央海水浴場の眼の前に位置する下田プリンスホテルに宿泊してきたのでそのレポートをお届けします。下田プリンスホテルは1973年開業のリゾートホテル、設計は中銀カプセルタワービルや国立新美術館を手掛けた建築家、黒川紀章が担当。海に向かってV字型に開いたデザインと、ガラス張りの階段室と円筒形のエレベーターシャフトで無機質ながらも有機的なイメージのある特徴のある形状が魅力的なホテルです。

 

カモメのように海と対話するホテル。黒川紀章のメタボリズムを感じるデザイン

 

      
下田プリンスホテルは、下田市の白浜中央海水浴場の眼前に位置するリゾートホテル。伊豆急行線・伊豆急下田駅からは車で15分ほど、路線バスでも20分ほどでアクセスできる場所に位置しており、東京からのアクセスもしやすいホテルです。設計は中銀カプセルタワーを手掛けた黒川紀章が担当。中銀カプセルタワービルの翌年に開業したホテルで、当時の黒川紀章のメタボリズム建築の流れを組んだ無機物を多用しつつ、でも有機さを感じるデザインに仕上がっています。
陸側(ホテルエントランス側)から見れば、手前に突き出たガラス張りの階段室と、その両脇に円筒形で配置されたエレベーターシャフトの組み合わせで、なんとなく生き物ような、ロボットのようなそんな印象を与えるデザインです。

 

 

ホテルの内部は船をイメージした手すりや、幾何学的なデザインのライトなどもメタボリズム建築を感じさせる点かも。1973年の開業から50年以上経っていても、この特徴的なデザインも、ガラスを多用した窓も、廊下の雰囲気のどれも色褪せていないのはきちんと手入れがされている証拠でもあり、黒川紀章の当時のデザインの先進性も感じられます。

 

下田プリンスホテルは客室数は133室と、リゾートホテルとしては意外と小ぶり。このため、他のエリアのリゾートホテルやプリンスホテルと比べても共用部分はコンパクトになっているのですが、階段室やエレベーターホールの一つ一つのデザインが洗練されていて、狭さを感じさせないのもポイントかも。狭いのに圧迫感を感じさせないデザインには感服を受けます。

 

 

ホテル内には開業当時のパンフレットも展示されていました。まず黒川紀章の当時の写真がかなり若い(そしてイケメン)なことに驚かされますが、リゾートホテルブームの時期にこのコンパクトさと今でも色褪せないデザイン性を求めた設計ができたのは黒川紀章のセンスの高さと、資金力のあった西武グループだったからこそと思えるものです。
なお、下田プリンスホテルは他のプリンスホテルとは異なり開業当初は西武グループ傘下の鉄道会社である伊豆箱根鉄道がフランチャイズとして開業。この下田プリンスの土地は現在の伊豆急行線の免許を西武グループで獲得できなかった際に、伊豆急開業阻止のための実力行使として抑えた土地であり、当時から伊豆箱根鉄道が所有していたからなのではないかと思われます。(登記を取ってみたら借地でしたので、これは別でご紹介します)

 

そんな当時の伊豆戦争はとっくに集結(伊豆急の開業は1961年)しており、おそらく下田プリンスホテルの開業時には全力で戦っているという状況ではなかったはず。(ホテル伊豆急が同規模でオープンしていますが)総工費20億円をかけて当時竣工した下田プリンスホテルの開業セレモニーなどの写真も展示されていましたが、華やかなものでした。
現在は東海バス(現在は小田急グループ)のバスがホテルの入口の前にバス停を設置。おおよそ1時間に1本は伊豆急下田駅行きのバスも運行しており公共交通機関でもアクセスしやすくなっています。また伊豆急下田駅から無料シャトルバスも15時、16時に出ており(2024年3月18日現在)車がなくても簡単にアクセスできるので安心です。

圧倒的オーシャンビューの客室。常に海の波音を感じられるリラックスできる空間

 

今回は4階に位置するツインルームを利用。廊下部分は船のデッキのように上半分がガラス張りになったデザインで、夜は外の暗闇とほどよい照明が映え、昼間は自然光で優しい明るさに包まれた空間です。

 

 

 

下田プリンスホテルの標準的なツインルームは、35.6㎡と他の20㎡~30㎡台の一般的なホテルと比べて広め。ベッド幅97cmのベッド×2に加えて同じ幅のソファーベッドも備えており最大4人で宿泊できるようになっています。
対になったソファーベッドの先には全面窓のオーシャンビューが広がります。壁一面が上から下、両端まで窓になっているためびっくりするくらいの広い空間が魅力。海をすぐに一望できる景色はなんといってもこの下田プリンスホテルの魅力かと。

 

窓を閉めた状態では静かですが、部屋のどの場所からも打ち寄せる波を眺めていられるのがこの下田プリンスホテルの客室の魅力。ベッドにゴロゴロしながらでも、ソファーベッドに腰掛けて外を眺めながらぼーっとするのにも最高の景色です。

 

 

 

 

洗面所は全面がタイル張りの1973年の開業当初を思い浮かばせるデザイン。海を意識した青色の柄のタイルが一面に張り巡らせているのは、黒川紀章のこだわりが詰まっているのかと。客室自体は何度か改装が入っているのに対しこのバスルームは開業当初から変わらないデザインで、南国感を感じさせてくれるセンスの良さを感じました。

海を楽しむと書いて「楽海 らう」で大将の握るオリジナリティのある寿司に舌鼓を

     

 

チェックインしてからしばらくホテル内を散策したら夕飯に。下田プリンスホテルでは「メインダイニングルームかもめ」の他に寿司やの「楽海(らう)」も店を構えており、落ち着いたカウンターで味わうお寿司は格別です。
写真は大将が考案した「白浜寿司」。考案といっても、ネタを青唐辛子醤油につけたものを握ったもので、伊豆諸島の八丈島などで食べられている「島寿司」をヒントしたというもの。「他の場所でもあったら良いのに」との談でしたが、なかなか下田プリンスホテル内の店舗から広げるのは難しいかも。

 

 

      

 

この他にも揚げ物や巻物を食べつつお酒も嗜んであっという間に時間が経っていきました。鮨処 楽海はプリンスホテルの経営ではなくあくまでも大将が経営するテナント店舗。訪問時は空いていたこともあって大将から色々な話を聞けたのも面白いところだったかも。なお、宿泊者以外であっても利用することは可能なため、近くを寄った際には利用してみても良いかもしれません。

寿司処 楽海 (らう)の営業情報

  • 場所:下田プリンスホテル 2F
  • 営業時間:17:30~22:00 (当日 19:30までの予約制・ラストオーダー 21:30)
  • 定休日:毎週水曜日の他に指定日(公式サイトより要確認
  • 利用対象:宿泊者・外部利用可能
  • 予約:下田プリンスホテル代表(0558-22-2111)
      
楽海の前にはラウンジスペースも。以前は「ラウンジ
リーフ」として営業していたようですが、今は営業は行っておらずロビースペースのようになっています。訪問したのはひな祭りの前だったのでお雛様が飾ってありました。ちょっとした休憩にも良いスペースと言う感じ。

 

 

     

 

ラウンジスペースの奥から海側に出られるようになっており、夜風にあたっても気持ち良い感じ。伊豆半島という立地のせいもあってしっとりとしつつ、でも軽やかな風が心地よい場所。真っ暗闇なので海は当然見えませんが、建物に目を向けてみるとここにも黒川紀章のこだわりを感じます。
下田プリンスホテルは、各部屋を少しずつずらした配置になっており、それぞれの部屋のベランダから隣の部屋が見えないようになっていますが、夜になると外観でも特徴的な姿を照らしてくれます。各部屋とメインダイニングから漏れる光が、白いコンクリートに映えて無機質ながらなにか整った印象を作っているのが面白いところでした。

全室オーシャンビュー。日の出とともに目覚める朝は格別なはず

 

 

下田プリンスホテルに宿泊したら、早めに就寝するのがおすすめ。全室が東向きのオーシャンビューの客室のため、朝になると日の出が近づくとともに徐々に明るくなる海の様子を楽しむことが出来ます。波の音を聞きながら太陽が登っていく様子を見れるのは、なかなか格別です。

日の出の様子を自室から眺めるのも気持ち良いですが、温泉大浴場から眺めるのもおすすめ。今回の宿泊時には私は日の出の直前から温泉に入り、広い窓から日が昇る様子を眺めて浸かっていました。下田プリンスホテルの温泉大浴場は露天風呂のない内湯のみのものですが、大海原を目前にして浸かるのは最高でした。

温泉の営業時間は12:00~24:00と4:30~10:00と夜も朝も入りたいと思ったタイミングで入浴できるのもポイント。私は1日目の夜だけでなく2日目の朝とチェックアウト前にも温泉を堪能してしまいました。タオル類は備え付けられていないため、宿泊者は部屋から持参する必要があります。ただし、男性側にも化粧水やヘアトニック、綿棒、櫛は用意されています。
朝食はメインダイニングルームかもめで。和食のほうが多めで、地魚をつかった焼き魚からお刺身まで伊豆らしい海鮮を朝食から楽しむことが可能です。洋食も意外と豊富でエッグベネディクトなども用意されていて、欲張りな方にはピッタリでした。

 

チェックアウトまでの間は部屋から海を眺めながら本でも読んでリラックスるのもよし、ソファーベッドに横になって窓から吹き込む潮風を感じているのもよしと思い思いに過ごせます。チェックアウト時間は基本は午前11時と余裕があるため、入浴後に一休みしてゆっくり身支度をしてから退館できました。

 

 

      
時間に余裕があるときはホテル眼前の白浜中央海水浴場に出てみるのもおすすめです。ホテルの眼の前に広がるビーチはなんとホテル宿泊者専用。冬場は海に入るというわけにはいきませんが、ちょっと海辺を散歩してみると日光を浴びながら海風を感じられます。

 

      

 

ホテルから白浜までの間にはウッドデッキも整備されており、この上を歩く分には砂が靴に入り込むこともないのも嬉しいところ。ウッドデッキから昼間のホテルの外観を見てみるとこれもまた壮観。海に向かって翼を広げたカモメの姿をイメージしたV字型の外観が、ダイナミックさを感じさせます。
記事冒頭でご紹介した建築家、黒川紀章の「青い大自然のドラマに –
戦いを挑んだ」「海と対話するホテル」というのを感じさせるデザインでした。なお、ウッドデッキの中央にはリクライニングチェアも設置されているので、日光浴をするのにも実は最適でした。

 

 

 

海を感じる週末ステイに。東京から簡単にアクセスできる海辺のリゾート、下田プリンス

 

今回訪問した下田プリンスホテルは全客室がオーシャンビュー、かつ、眼の前に白浜中央海水浴場が開けた圧倒的なロケーションが魅力のホテルでした。波の音を聞きながら部屋のソファーで横になったり、夜になったらお寿司に舌鼓をうち、そして朝は太陽の光で目を覚ますー。そんな海を存分に感じられるのが下田プリンスホテルのポイント。
下田プリンスには東京、池袋から出ている特急踊り子で簡単にアクセスできる下田からバスでアクセスすることができ、思い立ったらすぐに行ける立地なのも嬉しいところ。メタボリズムを感じる黒川紀章による建築を楽しめる下田、ぜひ、訪問してみては。

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銀行をやめて人材系のHRテックらしいメガベンチャーにいたかと思えば、今はSIerで企画とかしています