AIによって仕事や日常の作業を便利に進めるようにする、というのは普通のサラリーマンをしていても感じる機会が増えてきました。私の職場でも前職でも、今の職場でも社内用のChatGPTが導入され、ちょっとした資料の要約や整理、もしくはアイデアをまとめる際に利用しています。また、WEB会議ツールであるMIcrosfot Teamsの文字起こしにもCopilotが利用されており、身近な場面でのAI利用はどんどん増加中。
Microsoft Teamsの文字起こしはかなり便利になっていますが、Copilotは議事録作成能力は皆無で仕事などの効率化の面では微妙。そもそもWEB会議ツールの文字起こしは、WEB会議の場面でしか利用できないため、メモを取りづらい対面の会議ではあまり役に立ちません。そんなときに便利なのがマイクを搭載してスタンドアローンで動作できる議事録作成ツール。超小型でいつでも利用できるAI議事録作成デバイスPLAUD NotePinをメーカーより提供していただいたのでレビューします。
PLAUD NotePinは、PLAUD AI社から登場している議事録作成デバイス。”Pin”の名前の通り洋服にくっつけておいたり、手首につけたり、首からぶら下げて目立たないように会議中は会議の内容を録音。その後、文字起こしと議事録作成を簡単に行えることで仕事や、ちょっとした打ち合わせの整理を徹底的に効率化できる製品です。28,600円で予約受付中です。
身につけ方は4通り。胸元につけておいたり、腕につけたり結構便利
PLAUD NotePinのパッケージ内容から。今回は早期予約限定特典のアクセサリーキットもセットになったバンドルセットを提供していただきました。本体だけでも利用できますが、アクセサリーキット内に含まれているリストバンド、クリップ、ネックストラップを組み合わせて使うことも可能です。
充電アダプターはUSB Type-C接続のものが付属。この充電アダプターにマグネットピンを取り外した状態の本機をピタッと合わせてあげれば充電が開始。結構強力なマグネットになっているため、ガッチリくっついてくれることで充電したつもりが出来ていなかったなんてことを避けることが可能です。
PLAUD NotePin本体は指先サイズのかなり小型なデザイン。このサイズなら全く目立たず、ただのアクセサリーくらいにしか見えないため会話を録音する上でもかなり便利。また、外出時の打ち合わせであっても荷物にならずに持ち運ぶことが可能です。通常のICレコーダーに比べても小さい、ということは誰がみても分かるかと。
重量は実測では22.8g。軽量な仕上がりになっているので、後述するようにピンマイクのようにつけても違和感ない重さに仕上がっています。スマートウォッチと比べても軽量なので、腕につけていても平気ですしね。
利用スタイルは3通り。手首にスマートバンドと同じような要領でつけて、移動中からつけっぱなしにして必要な場面ですぐに使うということも、胸元につけておいて打ち合わせの際の集音性を高める使い方も、ストラップのようにつけておくことも可能。ピンで襟やポケットに付けておくことも、後ろからマグネットで装着することも可能。録音の品質を考えると胸元につけるのが一番ですが、後述するように手首につけておいても十分な音質、精度で録音することができました。
私のお気に入りの使い方は手首。録音を開始するときには本体の真ん中を長押しするだけで、赤色のインジケーターが光り、少し振動して録音開始を教えてくれるのですが、これを確認しやすいのが手首につけている状態。録音をして整理したい打ち合わせというのは、どちらかといえばそれなりに重要な話をしているわけで、万が一録音出来ていなかったら困っちゃいますしね。
録音時間の長さと、すぐに使えるシンプルさが嬉しい
この小さい本体でありながら、連続録音時間は20時間とかなり長いのも魅力。また、スタンバイだけなら40日間バッテリーが持つため、とりあえず鞄の中に入れておいて必要なときにすぐに使えるようになっているのも嬉しい点。
録音品質を高めるために、本体内には2つの高忠実度なマイクを搭載。録音時にはビームフォーミング・アルゴリズムとAI音声拡張技術を組み合わせることでノイズを除去したクリアな音質を目指しているというもの。最近はイヤホンで通話やWEB会議に参加しても音声がクリアで驚かされますが、これと同じ技術が使われているようです。
使い方は非常に簡単。録音したいときには、PLAUD NotePin本体の真ん中を長押しするだけで録音が開始。終了するときも同じ操作で完了できます。録音開始/終了時には本体が振動し、録音中には赤色のインジケーターが録音中であることを示してくれるため、録音を開始しそびれるという心配もありません。
実際に多くの会議や打ち合わせで利用しており、前述のように対面のときにはリストバンドを使って手首につけておいたり、襟元につけて使うことがメイン。WEB会議の場合には、PCのスピーカーで相手側の声を聞こえるようにして利用しています。こうすると、自身の声ももちろん相手側の声もきちんと録音できるため、議事録を簡単に生成できるというわけです。
録音後のAIを使った議事録作成が便利。議事録と文字起こしにさらに質問をするAsk AI機能も使える
PLAUD NotePINがその真価を発揮するのは、この音声データを文字起こしし、議事録にしてくれるとき。録音してくれるだけであれば、ただの小型高性能なボイスレコーダーですが、文字起こしと要約、議事録作成までしてくれるのがAIを使っている本機ならではのポイントになるわけです。録音を終了して専用のアプリ”PLAUD”を開けば自動的にデータを転送開始。時間が長い録音の場合は、BluetoothでなくWi-Fiを利用する”高速伝送”モードも利用することが可能です。
録音データの転送後は、文字起こしとサマリーの作成が可能。無料プランの場合でも自動適応をはじめとした13種類以上のテンプレートの利用が可能。有料プランを利用している場合は、26種類以上のテンプレートに加えて、自身でプロンプトを作成して適用する”カスタムテンプレート”も利用が可能です。
文字起こしについては無料プランであっても毎月300分間の文字起こし利用が可能。有料プランを利用する場合は毎月1200分、20時間分の文字起こしが利用できるため、あらゆる会議を録音しても問題ありません。
実際の文字起こしはPLAUD AIのサーバー側で実施。文字起こしと要約を行う際にはPLAUD側のサーバーにアップロードして処理を行います。サーバーのセキュリティについては、当然個人情報保護のための施策とGDPRに準拠した取り扱いを行っているとのこと。ただ、ISMS取得などをしているわけではないため、どこまで重要な内容を記録するか、というのには注意も必要かも。
文字起こしと要約に関しては、その録音データの長さにもよりますが一定の時間がかかる印象。私の場合、比較的長い打ち合わせや記者発表会の録音をすることが多く、そうなると2時間ほどのデータだらけに。長時間のデータの場合、きちんと全部をまとめてくれるのかと、どれくらい時間がかかるのかが心配になるところです。
実際に録音をして文字起こしと要約を行ったものがこちら。この会議の場合は約40分くらいのものだったので5分ほどでこの会議の要約まで出てきました。2時間位の会議の場合は10分ほどかかっている印象で、少し時間がかかります。ただ、人の手で作成するのに対して圧倒的にスピーディーに作成してくれます。
実際に作成された議事録では、会議のテンプレートでならOverviewと、各項目に対しての詳細な会話内容を箇条書きで記載。また、文字起こしも表示して、該当部分の録音データを確認することも可能です。実際の議事録に関しては、何かをまとめてくれるというよりかは録音内容から話題となっている事項をピックアップしてくれる印象。その中で明確に結論が出ている内容は、その旨を記載してくれていました。
また、発言者識別機能も搭載。実際にデータを見てみるとWEB会議や、相手との距離が近い打ち合わせではかなり正確に発言者を区別。この発言者に名前をつけて要約し直すと、誰が何を話ししたのか、という観点で整理することも出来ます。相手との距離が遠かったり、参加人数が多いと少しこれは混ざってしまう印象もありました。
もう少し議事録の内容を詳細に確認してみると、結構具体的に内容を記載してくれている感じ。例えばこのレンタルサイトに関しての打ち合わせについては、箇条書きの中身は最終的に相手が発言した内容をピックアップしてくれている印象でした。これだけ箇条書きが残っていると、あとから見返したときにどんな話をしたのかを思い出すには十分。情報量が不足している場合には、文字起こし側を確認すれば良いというわけです。
会議に関する議事録の場合は、自動的に会話の内容を踏まえてAction Itemもリストを作成してくれます。おそらく会話の中で出てきている「いつまでに~しましょう」というところからピックアップしているのだと思いますが、予想以上に正確。会議の後に「とりあえず、何から手を付ければ?」というのをすぐにピックアップすることが出来ます。
Pro版を利用している場合は、Ask AIという機能も利用可能。この機能では、文字起こしの内容と議事録の内容に対して質問を投げることで、AIでそれに回答してくれるというもの。AI提案やAction Itemsでもある程度書き出してくれていますが、例えば課題やすぐにやるべきことを聞くと、このようにピックアップしてくれるというわけです。これは正直便利だなと感じました。
記者発表会の内容のメモではちょっと苦手なところも。カスタムテンプレートも改善の余地あり
ただ、先日レポート記事を投稿したOPPOの新商品発表会の様子についてはちょっと違う印象。だいたい2時間ほどの発表会中、その声を録音していましたがこの中で取り上げた項目だけが記載されてしまい、レポート記事にするのにはちょっと足りない印象に。レポート記事を書くうえでは、このキーポイントについて話し手が話した内容が一番重要ですからね。
こういったときには、文字起こしの内容を見てそれをもとに記事を書くか、文字起こしを出力して必要な部分を別途GPTに流し込んで整理させてしまったほうが欲しい内容を抽出できる印象でした。インタビューであればPLAUD NotePinは良さそうですが、記者発表会レベルではちょっと役不足というところ。
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前述したようにPro版を利用しているとプロンプトを自身で作成して、それをもとに要約を生成させるカスタムテンプレート機能も利用可能。ただ、カスタムテンプレートの場合は、通常の要約モードで作り込まれているプロンプトが活かされず、AIがサボってしまう結果に。別途GPTを使って作り込んだプロンプトを使っても、標準で用意されているテンプレートほどの内容にすることは出来ませんでした。
面白い機能が、マインドマップの作成機能。議事録の見出しを単に図示しているだけで、特別に難しいことをしているわけではありません。ただ、長丁場で情報量が多い議事録であっても、マインドマップを確認すればどんな会話をしたのかをすぐに確認できるのは嬉しいところ。ドリルダウンして詳細も確認できるので内容を思い出す分には十分です。
文字起こしをしたり作成した要約したデータは、PLAUD AIのWEB版の外部共有用URLを作成し、他人に共有することが可能。また、録音データをエクスポートしたり、文字起こししたものや要約をテキストやマークダウン形式、WordやPDFで出力することも可能。議事録であれば、マークダウンで出力して、その後適宜で利用している進捗管理ツールのJiraなどに流し込んでしまっても良いかも。あとは外部ツールで編集できますしね。
会議や打ち合わせの際になくてはならないツールに。PLAUD NotePinなしでは仕事の進みがダントツで違う
普段の生活で打ち合わせをしたり、会議をする機会って意外と多いはず。特に副業とブログで取材も打ち合わせもかなりの回数をしていると、発言したり内容を考えることに必死でメモの内容が不完全になってしまうことも。対面の会議でメモのためにPCをずっと開いてるのは、そもそもカッコ悪いですしね。ただ手軽に会議の様子を録音できるだけでなく、その内容を文字起こしした上で議事録を作成してくれるPLAUD NotePinは会議の多い方にとっての救世主とも言える製品。
作成してくれた議事録を見返せばどんな話をしていたのかを簡単に確認できるだけでなく、AskAI機能で今後取り組むべき内容をピックアップしたり、文字起こしを参照して詳細な内容を見返したりと、できることの多さがポイント。打ち合わせの数が多い私にとっては、1ヶ月ほど使ってこれ無しでの生活が浮かばないくらい重要な製品になっています。ぜひ、会議の多い方こそ検討して欲しい製品です。