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これまでに引き続き東京ゲームショウ2024でのブースのレポートをお届け。本記事では最近日本国内でのセールス活動を積極的に展開している中国のディスプレイメーカー、KTCのブースをレポート。OLEDを採用した超高画質なゲーミングディスプレイを多く展開しているメーカーで、技術力の高さとラインナップの多さに圧倒されてきました。
深圳で1995年設立の結構老舗のメーカーKTC
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まずはこのKTCについて解説。KTCは1995年に深圳で設立された老舗のディスプレイメーカー。深圳の法人名は深圳市康冠科技股分有限公司で、深圳証券取引所に上場する列記とした上場企業。年間売上高は115.87億元(2,348億6,849万円・1元=20.27円の場合)と日本で言えばスターツコーポレーション(2,334億)くらいの規模感。こう考えるといかに巨大な会社かというのがイメージが付きやすいかも。
従業員数は6,000人を超えており、多くの子会社も擁しているディスプレイに関する総合カンパニーといえるわけ。1,000人以上の研究開発エンジニアも抱えており2023年上半期までにグループ全体で1,511件の知的財産権を抱えているんだとか。日本ではこれまで進出していませんでしたが、これまでも日本や海外メーカーに対してのOEM・ODM品を多く手掛けているんだとか。会場で話を聞くと、J社やL社などにも製品を供給しているとのことで、知らないうちにKTCが製造した製品を使っているのかもしれません。
圧倒的な画質を実現するKTCのOLEDディスプレイ、G42P5
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展示されていた中で圧倒的な画質を実現していたのが、OLEDディスプレイのKTC G42P5。LG製のOLEDパネルを採用した41.5インチの4Kディスプレイ。OLEDパネルによる深みのある黒と色鮮やかな色彩表現が可能でsRGBカバー率は100%、Adobe RGBカバー率は99%という圧倒的な色表現力を実現した製品。リフレッシュ・レートは137Hzで応答速度は0.1ms GTGとゲーミングにおいても圧倒的な性能を実現しています。USB Type-C入力も備えていて90Wでの電源供給にも対応。高電力を必要とするゲーミングノートPCであっても十分な電力を供給することができます。
写真からどの程度伝わるかはなんとも言えませんが、映像の精細さと色鮮やかさに目を瞠るものがあったのがこの製品。会場の展示ではPS5と接続してゲームもプレイできるようになっていましたが、ヌルヌルさはもちろんのことこの色表現はゲームだけでなく画像編集や映画を見る際にも最高のクオリティを実現してくれそうでした。
KTC G42P5 スペック表
項目 | 詳細 |
---|---|
パネル | OLED |
サイズ | 41.5インチ |
解像度 | 4K UHD (3840 x 2160) |
リフレッシュレート | 138Hz |
応答速度 | 0.1ms GTG |
色域 | 100% sRGB, 99% Adobe RGB |
コントラスト比 | 無限大 |
端子 | HDMI 2.1 x 2、DisplayPort 1.4、Type-C (90W PD対応)、USB 3.0 x 2 |
スピーカー | 2x8W |
その他 | VESAマウント対応、リモコン付属、フリッカーフリー、ブルーライト軽減 |
OLED搭載のKTC G32P5やKTC G27P6など、黒の美しいディスプレイが登場中
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同じくOLEDを採用した31.5インチのUHDディスプレイG32P5も展示中。スペックはG42P5とは異なっており、こちらは解像度がUHD(3840×2160)と少し控えめ。リフレッシュレートは240Hzです。ただし、その分応答速度は優れていて0.03ms GTGというかなり速い応答速度を実現しているのも特徴。コントラスト比は1,500,000:1と非常に高いことで黒野表現力もかなり美しい印象でした。
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26.5インチのKTC G27P6もG32P5と同じくリフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.03ms GTGを実現したゲーミングモニター。26.5インチのQHD(2560×1440)解像度でOLEDを採用したことでコントラスト比1,500,000:1を実現している製品。会場で展示していたゲームのソフトはPS4のソフトを入れていたとのことで若干映像は粗くなってしまっていましたが、他機種同様の色鮮やかさ、特に黒の表現力の高さを実感できる製品でした。
32インチのGoogle TV対応のスマートスクリーンA32 Q8や移動式ディスプレイのA32Q8も展示
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個人的にいいなと思ったのがスマートスクリーンのKTC A32Q8。32インチの4K(3840×2160)ディスプレイでコントラストは3000:1、輝度は300cs/㎡、sRGBカバー率は99%、DCI-P3カバー率は95%とちょっと控えめの性能の製品。ただそれだけの性能であったら普通の製品ですがなんとGoogle TVを搭載しておりスマートテレビとしても使える性能を持っている製品。スマートTV自体は多く登場していますが、TVに求められる映像表現とPCモニターとして求められる表現力は異なっていることもあり、クリエイティブな作業には正直スマートTVは不向きでした。
GOogle TVを搭載していることでNetflixやYouTube、Amazonプライム・ビデオなどを直接ディスプレイから再生することが可能。PCに普段つなげているディスプレイでこういったものを見ようとするとFireTVスティックなどを接続して置く必要がありちょっと面倒ですが、内蔵してしまえばシームレスに利用できるというわけ。実際に画面の切り替えもスピーディーで結構ありなのでは?と思う製品でした。
KTC A32Q8 スペック表
項目 | 詳細 |
---|---|
パネルサイズ | 31.5インチ |
リフレッシュレート | 60Hz |
色数 | 10.7億色 |
傾斜角度 | -5°~15° |
コントラスト比 | 3000:1 |
輝度 | 300cd/m² (typ.) |
端子 | HDMI 2.0、DisplayPort 1.4、Type-C、USB 2.0 |
解像度 | UHD (3840 x 2160) |
色域 | 95% DCI-P3, 99% sRGB |
その他 | Google TV搭載 |
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なぜかブースで力説されたのがKTC A32Q7 Pro。一般的なご家庭では正直なところ活用するイメージが沸かないのですが、例えばジムや商業施設、会社でも便利に使えそうかもと思った移動式のディスプレイ。台座付きのディスプレイで台座ごと動かして、内蔵バッテリーで使いつつ搭載するGoogle TVで映像をそのまま投影したり、YouTubeの動画を再生したり、Google ChromeでWEBサイトを表示したりと使い方は色々な製品です。
画面自体は31.5インチのタッチ対応の4Kディスプレイ。画面の色表現力などは特に記載がなく、実際に見た感じとしても映像表現力よりかはその使い勝手に重きをおいている印象でした。画面を横向きだけでなく縦向きに変えて使うことも可能で、サイネージのような使い方もできる製品でした。
KTC A32Q7 Pro スペック表
項目 | 詳細 |
---|---|
パネルサイズ | 31.5インチ |
解像度 | 4K (3840 x 2160) |
色数 | 10.7億色 |
傾斜角度 | ±20° |
回転角度 | ±45° |
旋回角度 | ±90° |
昇降範囲 | ±20cm |
端子 | HDMI 2.0、USB 3.0、USB 2.0 |
その他 | Googleシステム搭載、WiFi 6対応、タッチスクリーン、ワイヤレス、内蔵バッテリー、AI音声制御、オクタコアCPU、8GBメモリ + 128GBストレージ、リモコン付属、TÜVラインランド認証(目の負担軽減) |
日本上陸したばかりのKTC、要チェックです
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今回レポートした日本に上陸したばかりのディスプレイメーカー、KTC。日本法人のKTC科技日本株式会社もすでに営業を開始しているようで、精力的に日本での販売を拡大しているようでした。実際に見てみるとOLEDを採用したディスプレイの映像表現力や、A32Q8のような製品の利便性の高さはかなり魅力的。今後の日本でのKTCの活躍、要チェックです。