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【ガジェ獣-Netac NV7000】中華製SSDだって性能は十分確保。PCIe 4.0接続で実測7000MB/sの読み込みを実現したNetacのSSD、Netac NV7000 2TBレビュー

写真の現像をしたり、動画の編集をしたりする中でネックになるのがストレージ。特にRAWファイルを大量に扱ったり、4K/120fpsのファイルをどんどん処理するという場面では、高速なストレージは必須に。デスクトップPCを利用している場合でも、ノートPC派という人のどちらでもそろそろストレージ埋まってきてません?
今回はほとんど日本語でのレビューのない中国・Netacの2TB・PCIe4.0×4のSSD、Netac
NV7000
を購入したのでレビュー。最新のPCIe
4.0接続に対応したSSDでありながら、AliExpressのNetacオフィシャルストアでは2TBモデルが2万円強で購入できるという安価な価格が魅力の製品。今回はチャレンジングにもメインPCのメインSSDとして徹底的に使っていきます。
本記事は完全に理解した星影さんが主催するガジェ獣2022アドベントカレンダー12日目の記事。昨日はグレ蔵さんによる今年買ったガジェット 12/11でした。明日は尊いブログさんです。中華SSDの人柱記事ってみんな好きですよね?
2023年4月4日追記:当方にて利用していたNetac NV7000ですが、利用開始後4ヶ月弱の2023年3月に一定の負荷を加える(データ転送が一定以上の速度になる)とすぐに接続が停止するようになりWindows 11が起動できなくなりました。メーカーともやり取りをしていますが、現時点ではおすすめすることができません。Samsung 980 Proといった大手メーカー製の購入をおすすめします。

中国のストレージ企業・Netacとは

Netacは中国・深圳に本社を構えるフラッシュメモリ・ストレージ専門の企業。中国語では深圳市朗科科技股份有限公司といい、1999年に設立後、世界初のUSBメモリを開発した(自称)企業。現在は深圳証券取引所にも上場している中国のフラッシュメモリメーカーとしては大手に位置する企業。
ただ、日本国内には正規販売代理店と呼べる企業はなく一部の製品がNetac Official StoreによってAmazonで販売されているか、楽天で販売されている程度。日本語でのレビューや製品情報は皆無に等しく、謎のメーカーの一つという状況。
一時期は中華タブレットメーカーとして一定の知名度を誇り、普通に日本国内に正規代理店(リンクスインターナショナル)のいるCOLORFULなどと異なり日本国内に代理店がいないことでかなり苦戦を強いられているメーカーという感じ。まだ実際の製品を触ってはいないにせよ、ものが良いのであればもっと日本国内で注目を集めても良さそうなもったいないメーカーにも見えます。
※一時期Netacの国内代理店にアイティーシーがいたものの、現在は代理店なし

Netacのフラグシップモデル・Netac NV7000

      
今回購入したのはPCIe 4.0×4に対応したNetacのフラグシップSSDであるNetac
NV7000。PCIe
4.0接続によって最大7200MB/sの読み込み速度と6850MB/sの書き込み性能を公称する製品。フラッシュタイプはTLCでDRAMキャッシュを搭載しています。
現在512GB、1TB、2TB、4TBモデルが販売中。1TBモデルが80ドルほど、2TBモデルが130ドルほどで購入可能でかなり安価に購入できるPCIe
4.0接続のSSDです。4TBモデルは値段が下がり切っておらず450ドルほどのため、コストパフォーマンスを追うなら2TBモデルがおすすめ。
私も多分にもれず2TBモデルを購入。AliExpressの独身の日セールに合わせて購入し、発送が遅延したことから3週間ほどで到着しました。配送はシンガポールポスト経由の国際eパケットライトで、郵便受けに投函。外装はきちんとプチプチで包まれたビニール袋に入っていたこともありほぼ無傷で到着しました。パッケージ内にはSSD本体のほかに取付時用のネジ、と説明書が付属します。

      

Netac
NV7000はあらかじめヒートシンクが本体に取り付けられた構造。このため、実際のチップやコントローラーを目視することは不可能。Netac
NV7000は5年保証を謳っていることもあり保証がなくなるのが嫌な私はヒートシンクを外すことはできませんでした。
ヒートシンクが巨大なこともあり排熱効率はかなり高そう。ノートPCへの換装時には間違いなくヒートシンクが邪魔になるため、基本的にはデスクトップPC向けの製品。マザーボード次第ではあるものの、グラフィックボードとヒートシンクが干渉してしまう可能性も購入時には考慮したほうが良いかも。保証無効を覚悟して外してしまうというのも方法の一つです。

今回はメインPCでこれまで利用していた1TBのSSDを換装するのが目的。早速用意した外付けアダプターに装着し、USB
3.0経由で接続します。なお、ヒートシンクが干渉するため、アダプターの蓋は閉められませんでした。
HWiNFO64での確認結果。何も情報がない(ケース内取付後)

こういった中華製のSSDを購入したときには、HWiNFOを使って少しでもチップセットの情報を得たいところ。ということで、調べてみた結果が上の通り。コントローラー情報すら出てこず、何も分からないという結果に。

なお、ロシアのレビューサイトでは内部チップについての調査結果が掲載されており、コントローラーはInnoGrit IG5236との情報が掲載されていました。ただし、Netacは過去の製品でチップを変更していることがあり、実際に現在販売されているバージョンが何を使っているかは未知数。ただし、レビューで掲載されているCrystal Disk Infoの結果がほぼそっくりなことを考えると現在もコントローラー部分は変更はないのかも。

まずはUSB
3.0接続のアダプターでの動作を確認。いったん2TBのシンプルボリュームを作成してCrystalDiskMarkで計測します。速度に関してはシーケンシャルライトで435MB/sという感じ。SSDの性能というよりは、USB
3.0と外付けアダプターの性能に依存している印象です。外付けアダプターでは性能を調べるのは困難なため、ここで一旦打ち止め。
MiniTool ShadowMaker無料版
MiniTool ShadowMaker無料版

実際に自作PCの内部に取り付けてその性能を確認するのが手っ取り早いものの、何度もPCケースの蓋をあけたくないため、さっさとNetac NV7000をメインのSSDにしてしまいます。今回はMiniToolが提供している“MiniTool ShadowMaker”の無料版を利用。
MiniTool ShadowMakerは、MiniToolが展開しているバックアップソフト。無料版でも通常のバックアップ機能やディスククローン機能が利用できるため、個人で利用する分には事足りてしまう印象。今回のSSDクローンにあたって、あちこちのソフトを試そうとしたものの、最近は無料でクローンできるソフトが減っており、MiniTool ShadowMaker無料版は数少ない貴重なソフトでした。ありがとうMiniTool…
ちなみに、前回メインPCのSSDを512GBから1TBにアップグレードしていたときは同じくMiniToolのPartiton Wizardを利用していました。ただ、Partion Wizardは有料版でしかクローンができなかったため、無料でできる本製品は結構嬉しいところ。
マザーボードとCPUを取り替えた時にもチャンスがあったにも関わらず相変わらずPC内の配線が汚いままでお恥ずかしいのですが、とりあえず換装完了。取り外せないヒートシンクは、マザーボードに標準搭載のそれに比べて大きく排熱効率も高そう、かつ、グラフィックボードとも干渉せずに取り付けられたのは良い感じ。
なお、これまで利用していたSSDのCrucial P1 M.2 2280(販売終了済み)についてはフォーマットした後、画像や動画の編集用ドライブとして利用するためマザーボードのPCIe 3.0スロットに接続します。

実測7000MB/sの読み込みに、6690MB/sの書き込み性能。速度は十分確保

こういったSSDによくあるトラブルとしてあり得るのは、実測値が公称値とかけ離れてしまうようなもの。Netac NV7000に関してはこの点は問題なくクリアしており、Crystal Disk Markで4GB設定でベンチマークしてみたところ、Readで7066MB/s、Writeで6692MB/sの速度を確保。ほぼ公称値と変わらないレベルを実現できており、PCIe 4.0接続のSSDとしての基本的なレベルを確保しています。

     

フォーマット後の再計測結果
数年前に購入していたCrucial P1 M.2 2280(販売終了済み)については、メインで利用していた際は空き容量がだいぶ低下していたこともありシーケンシャルライトがかなり落ちており、体感速度が落ちてしまっていました。
改めてフォーマットし直して接続することで体感速度も一気に回復。この状態で画像などのストレージとして利用し直すことで、今後の画像や動画の編集時の読み込みや書き出し自体も高速化できるはず。自作PCを使っているからこそできるストレージ換装は、Cドライブの容量と速度向上に加えてストレージ部分の性能向上も図れて一石二鳥でした。
      

きちんと計測しているわけではありませんが、Netac NV7000に切り替え後の速度向上を感じたのがAdobeのソフトウェアや、Microsoft Flight Simulatorといった読み込み量の多いソフトウェアの利用時。作業やゲームを開始する、というときに少し待たされる時間が嫌いな方には価値があるはず。

S.M.A.R.T情報などは不十分。実際の耐久性や今後の利用可能期間は未知数

当初触れたように私の場合はヒートシンク部分を取り外さずにテストしていることもあり、実際に利用しているコントローラーやチップ情報は不明。また、SSDの健康状態を把握するために利用するS.M.A.R.Tについても温度が54℃しか表示されないなど利用している上で不完全な部分が感じられます。実際に使っていく中で定期的にS.M.A.R.T.値や、定期的にベンチマークを取ってみての速度状態から寿命や性能低下については判断していくしかなさそうです。

万人向けではないけども、見た目の性能は確保したモデル

今回購入したNetac NV7000。所詮中国メーカーの山塞SSDと思って利用してみると、PCIe 4.0の実力を十分に満たした実測7000MB/sの読み込みと、6900MB/sの書き込み性能を実現した製品。あくまでも購入してすぐにメインPCのSSDの内容を移行、そのままメインで利用した状態とはいえぱっと見では十分な性能のあるSSDと言えそうです。

ただし、そもそも使用しているコントローラーやチップの情報が不明、また、S.M.A.R.T.情報も不完全と長期的に利用していく上での不安要素が大きいのも事実。そのため、万人におすすめできるものではありませんし、まして私のようにメインPCで利用するのはもってのほか。ただ、安い・速い・とりあえず使えるSSDが欲しいという方には価値のある製品なはずです。(来年末のガジェ獣で発狂している記事があれば、SSDが飛んだということです)
本記事は完全に理解した星影さんが主催するガジェ獣2022アドベントカレンダー12日目の記事。昨日はグレ蔵さんによる今年買ったガジェット 12/11でした。明日は尊いブログさんです。次回の当ブログは12月21日の担当。またお会いしましょう。

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銀行をやめて人材系のHRテックらしいメガベンチャーにいたかと思えば、今はSIerで企画とかしています