毎日一時間強電車に揺られて通勤していると感じるのが、完全ワイヤレスイヤホンを使っている方が日に日に増えていること。以前はネックバンド型のBluetoothイヤホンが多かった印象でしたが、今ではすっかりAirPodsに代表されるワイヤレスイヤホンが市民権を得ています。当ブログでも非常に多くの種類のワイヤレスイヤホンをレビューしてきておりますが、今回はインナーイヤー型の製品である
Movboi TicPods 2をお借りしてレビュー。
TicPods 2はGoogleからも出資を受けているAI技術に強みを持つIT企業Movboiが放つ完全ワイヤレスイヤホン。Movboiは最大30日間のバッテリー持ちを実現したスマートウォッチTicWatch Proなどは有名です。本モデルはapt-XとAACに対応し高音質化を志向しつつ、ジェスチャーでの操作にも対応した製品。現在各種通販サイトで12,000円ほどで購入可能。
インナーイヤー型でもコンパクト。耳元にスタイリッシュにフィット
パッケージデザインは特にノーコメント。付属品は最小限に抑えられており、説明書、クイックスタートガイド、充電ケース、USB Type-Cケーブルのみ。わざわざACの充電器が付属している必要もないため、特に不便はありません。
ケースはインナーイヤー型のワイヤレスイヤホンにしてはなかなか小ぶり。簡単につまめるサイズ感のケースの中に本体がぴったりサイズで収納されています。ケースのふたを開けると自動でイヤホンがペアリングモードに切り替わり、接続可能に。また、新しい機器とのペアリングもケースのボタンを押してモードを切り替えるようになっているのは注意が必要。
イヤホン単体のバッテリーは30mAh。1回の満充電で4時間の利用が可能で、390mAhの充電ケースを合わせることで合計20時間の再生に対応。バッテリーが長時間持つため通勤だけでなく外出する際にも持っていけます。
本体はプラスチック製で軽量に仕上がっており重量は両耳あわせてわずか9g。耳につけてた際の重さを感じずに済みます。ただ、その装着感に関してはちょっと微妙な印象も否めませんでした。
一応耳にははまるものの、ランニングをするとどんどん耳の中でずれてしまう感じ。また、歩いている際でも少し動く感じが気に障ってしまい、耳にはまって固定されるカナル型のほうが性に合うなと言う感じ。もちろん、カナル型が苦手という方にとっては逆に良いかもしれません。
「AI企業」らしく機能は豊富。ただ、機能の実用性は△
TicPods 2とスマートフォンのペアリングは、ケースに入れた状態でケースのボタンを押すことでモードを切り替えられる形。通常のワイヤレスイヤホンの場合、本体のボタンを長押というのが通常ですが、それに比べると意外と分かりやすく、失敗しづらかったため意外と良い感じ。
専用の”Movboi”アプリを利用するとアプリ上からケースや本体のバッテリー残量の確認、さらには本体の音の調整、翻訳機能などを利用可能。通常のワイヤレスイヤホンに比べて、専用アプリでできることの種類は多い印象。ただし、どこまでその機能が使えるかというのは正直微妙でした。
設定画面に表示されている機能を確認してみると、装着時と外した時を自動で認識する”インナーイヤーヘッドホン型再生”機能が登場。イヤホンを外した際にボタンに触れて誤作動したり、音楽がだだ漏れになってしまったりというのは防げるのでこの機能は良い感じ。
今回レビュー機を接続したところ、オンラインアップデートが降ってきていたので実施。特になにかが変わったかというとそうではないですが、頻繁にアップデートをしているのは好感が持てます。
アプリを入れた状態では、様々なジェスチャーも利用可能。左耳のイヤホンの根元部分をスライドすることで音量の調整をしたり、よくあるようにタッチで曲飛ばしができたりします。ただ、アプリがインストールされていないと使えず、かつ、認識精度に難があり実用性には乏しいのが本音。認識しないなら誤作動したほうがマシです。
TicPods 2は高音質オーディオ規格であるapt-Xに対応していますが、標準ではSBCで接続されてしまい、アプリ上からapt-Xを有効にしないとapt-Xでは接続できない仕様。辛口な書き方をしてしまいますが、apt-X対応機同士なら当然第一選択肢はapt-Xなわけで、わざわざ自分でONにしないといけないというのはいただけません。
イコライザー機能はONにすると本体内のアンプのゲインも変わるようで音量が一気に倍に。中身としては、中華メーカーによくあるなんちゃってイコライザーで、音質の劣化と強引な低音か中音域の強調という感じで個人的には利用価値は感じません。解像度がかなり落ちている印象です。
肝心の音質に関しては、おそらくイヤホンから出ている音自体はそれなりにバランスが取れているドンシャリだとは思われるものの、耳孔にスピーカー部がしっかりフィットせず低域が全部落っこちて中高域が解像度荒く聞こえるようなサウンドに。個人的に本機を使っていて一番きつかったのがこの音で、装着感が悪く聞こえづらいので音量UPとすると確実に難聴になる音という感じ。
個人的に面白いなと思った機能は、翻訳機能。GoogleのPixel Budsも同様の機能を搭載していましたが、片方のイヤホンを相手に渡し、2人で使えば音声翻訳をイヤホンで完結できるもの。Mobvoiお膝元の中国語を拙い発音で吹き込んでみましたが、それなりに認識&翻訳してくれた印象。ただ、中国人ネイティブのスピードにどこまでついていけるかは未知数です。
次回作に期待を込めて。発想は面白いイヤホン
今回レビューしたTicPods 2。デザインや操作の方法といった発想はなかなか良い感じのモデルでした。ただ、音質、フィット感、実用性といったところでは個人的には及第点に及ばない製品だったのではないかと感じます。というか、すでに型落ち品をレビューしているというのも印象が良くないですね。
現在そんなMovboiでは最新の完全ワイヤレスイヤホンMobvoi Earbuds Gestureを開発しクラウドファンディング中。バッテリーはケースを含めて50時間に伸び、カナル型になったことで装着感もアップ、さらに頭を振ってのジェスチャーにも対応したモデル。正直ちょっと微妙だったTicPods 2ではなくカナル型のMovboi EarBuds Gestureも良いかもしれません。