お電話ありがとうございます。東京中央銀行本店営業部のあーるです。 ©TBS |
お世話になっております。あーるです。公開から約3週間が経過した元政府系金融機関銀行員の退職エントリ、すでに多くの方に読んでいただきました。しかし、転職の相談については一切のご連絡も頂いておらず退職理由だけ読んで満足、というところなのかなとも。今回の記事では【続・銀行員の転職】と題して、実際の転職活動を振り返ってどう今の転職先に行き着いたのかを解説したいと思います。
なお、引き続き同じように銀行のマーケットの縮小やそもそもの営業のあり方に疑問を感じたり、未来のスキルアップに不安を覚える銀行員の方からの転職のご相談も募集中です。コメント欄からでも、Twitterでも、流石にブログには書けないもののMeetyでも探せば出てくるのでお声がけください。
みんなが欲しかった! 中小企業診断士の教科
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銀行員からメガベンチャーへ。すごいなビズリーチ!
出オチですが、今回の転職活動を一言で総括すれば「すごいなビズリーチ!」でした。もう銀行員が転職するならリファラル(友人などの紹介)か、ビズリーチ。それだけです。と、総括してしまっても何ら意味不明ですのできちんと解説します。転職活動に関しては、2021年12月に登録したエン・ジャパンが運営する「若手向けハイキャリア転職サイト」のAMBI、そして、2022年2月に登録したビズリーチ、そして常時開けっ放しにしていたLinkedinの3本、転職活動のきっかけになったWantedlyの4本で実施しました。
最終的に受け取ったスカウトの数で言えば圧倒的にAMBIでしたが、数は少なくても世間的にも、実際の勤務を見据えたときに質が良いものが来たのはビズリーチ、そして変化球(外資系フルコミットの電気部品商社等)が来たのはLinkedinという感じ。Wantedlyに関しては2021年の早い段階で一度スカウトを受けた会社から内定を頂いたものの、実質二卒扱い、かつ給与水準が折り合わなかったこともありパス。
そんな4本立ての転職活動で、届いたスカウトの質も、受け取ったスカウトの中からの志望度の高さも、そして内定への直結という意味でもビズリーチが圧倒的に満足度が高かったという感じ。CMの通り「すごいなビズリーチ!」でした。
銀行員の営業活動、例えば2桁億円の融資を通したは無意味
写真は本文とは関係ありません。というか成田担当してないんで |
転職活動を通じて感じたのが、銀行員として営業窓口をやっていて得られた成功体験、特に本部の役員会議に上がるような数十億円の融資審査、そして実行というのは無価値だったということ。本記事のきっかけになったあんちゃん(@monosoi_akarusa)の「銀行員にとっての転職」、そしてその続編「銀行員のスキルは転職後に役立つか」でも触れられているように銀行員としての仕事が他業種において役に立つかと言われたら役にたたないわけ。
先日何を思ったのか中小企業診断士試験を完全に勉強なしのポテンシャル受験したわけですが、財務会計以外は歯が立たなかったというのが本音。中小企業金融をやっていたはずなのに、「中小企業政策」すら分からずという具合で、「もしかして俺たちは勘で中小企業融資をしていたのでは?」と思ってしまうほど。銀行での法人営業の経験で得られる経験なんて所詮そんなもんで、近接しているように思える中小企業診断士ですら1/7科目くらいしか合格できる知識を身に着けられないわけです。
そんなレベル感なわけだから、銀行員として大口の融資を通したであったり、業況の厳しい先を伴走支援しながら融資を実行できるように持っていった、なんてことはスキルとしては無意味。同じくあんちゃんさんの【「銀行が取引先の経営改善」は現実的か】という記事がありましたが、上記の知識感と一般的に通用しないスキルセット、差し迫った状態でも無理と言えるかと。前職の商工中金も中期計画で謳ってましたが無理だと思って辞めたわけですし。
実際に転職の面接を受けていくと、カジュアル面談→1次面接くらいは営業のノリで通過できるわけ。しかし、2次面接以降で経験や自身のスキルを掘り下げていくと一気に壁にぶち当たります。特に刺さったのが某M社での「分析的な仕事はどのようなことをしましたか?」という問い。銀行員の方はぜひ胸に手を当てて考えて欲しいんですが、「分析的な仕事」ってしてます?
結局役に立たない銀行員の経験。気がついたらポテンシャルで転職だ
この某M社は最終的にお見送りされています。この質問を受けたのは2次面接で、それまでは比較的穏やかに論理テストを交えた質問を受けたり、これまでの営業活動で何を工夫したことで復活新規をやっていたのかの言語化をしていたんですが、ここでひっくり返りました。
もう一度胸に手を当てて考えてみましょう。例えば2桁億円の融資を役員会に上げたとき、もしくは、要管理先スレスレの要注意先の底辺みたいな会社に3,000万円の融資をしようとしたとき、あなたは何かを分析してそれをもとに融資判断をしましたか?おそらくお作法に則ってSWOT分析をして、お馴染みの事業性評価シートを埋め、当社と一緒に作ったバラ色の収支計画にストレスをかけて、他行も対応継続をするので資金繰り償還可能とでも書いていませんか?
ここまで考えが至ったらもう分かるはずです。銀行員は所詮金が戻ってくるかどうかをそれっぽく資料に落とし込んで、なんとなく収支計画にストレスかけて、資金繰り表も組んで、あとは勘で償還見通しを判断して融資しているだけです。ここまで自身の融資業務から得られたスキルを言語化できたら、このスキルが他の業種に即戦力として役に立つのか、という答えが出るはず。役に立ちませんね?
そんな役に立たないスキルを積み重ねている銀行員に与えられている選択肢は2つ。1つは最後まで銀行と心中することー私の退職エントリにあるように外部環境も悪くなりつつ、かつ、自社の収益向上に向けた実効性のある取り組みのない銀行で働き続けるか、それともあんちゃんさんの記事にもあるように銀行の営業としてのポテンシャルを売りにして転職するかです。
法人営業窓口として当たり前にやってきたこと。これを棚卸
銀行の営業として培った営業マインド、これは転職先における即戦力とはなりえません(一部のオープンハウス等では約立つかもしれませんが)が、転職先における業務を身に着けてオンボーディングできれば一定の力になれるはず。自身の担当先がどんなことをしていて、何が強みで、どうやって金を生み出しているのか、それくらいは取引先のことを理解し、その理解の上で顧客と対話をし、数字のために努力する、銀行員として当たり前にやっていることは意外と世の中の人にはできないもの。同じことを転職先の対社内、対社外に向けてできれば若手なら十分戦えます。
実際に転職の面接を受けていたときも、問われているのは銀行員として何をやってきたのかではなく、何を考えながらどう工夫して、それに対して必要な資料があればそれをどう調べ落とし込んでいたのか、というプロセス面。特に、大きな目標に対してそれを細分化していき、個々に対して具体に落とし込みそれを一つ一つ潰していく、というのを普段の業務でどう当てはめ、工夫していたのかを言語化していければ一定程度の転職は可能なはずです。
上記のような営業窓口としてやってきたことをいくつかのエピソードを浮かべつつ深掘りして言語化する棚卸しをしておけば、転職活動には挑めるはず。職務経歴書は深掘りした内容を完結に書いて、ビズリーチに登録。これは良いな、というスカウトを受けつつ自らにあった会社を探して行っていただければと思います。
事業づくりは、仲間づくり。いっしょに銀行員の転職考えてみません?
ここまでダラダラとあーるの転職活動と、それを通じて気づいた銀行員のスキルについて振り返ってみました。あとから振り返って書いているからこそ自身のスキルについてあれこれ書けるわけですが、銀行員は扱う数字が大きいこともありどうしても自分の仕事にプライドを持ってがんじがらめになりがち。ただ、本質的にはスキル、と言い張れるほどじゃないよね?と気づいていただけたかも。
現在はメガベンチャーと呼ばれる会社で働いていますが、転職してみると銀行員としての営業に対してのマインドは役に立っているな、と感じる場面も多くありました。加えて退職エントリにあるような無駄なKPIを追うこともなく、本質的な課題に対してのびのび取り組むことができています。間違っても決算書の郵送受領件数や、提携コンサルへの取次件数を追ったりしません。
銀行の法人営業をしていて、謎のKPIを追ったり、そもそも銀行の将来に対して不安を覚えるここまで読んでいただいた読者の方。ぜひ、銀行員の転職、そして今後のキャリアについて考えてみませんか?ぜひ、Twitterからメッセ送っていただければ。
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オレたちバブル入行組 [ 池井戸 潤 ]
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