2020年9月30日、名古屋で愛された名門ホテル「ホテルナゴヤキャッスル」が51年の営業を終え、建て替えのため休業となりました。
最終日の朝のホテルナゴヤキャッスル |
最終日はあちこちで常連さんとスタッフさんとのやり取りが見られ、いかに愛されたホテルであったかをひしひしと感じつつ、特に地元で育った私にとってはとてもしんみりとした気分にさせられたわけですが、それから一夜明け、2020年10月1日。名古屋っ子にとって名古屋城と同じくらい馴染みのある建物、名古屋テレビ塔内に新しいホテル「THE TOWER HOTEL NAGOYA」が開業しました。
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未来の首都名古屋にそびえたつ名古屋テレビ塔 |
名古屋テレビ塔はアナログテレビの電波塔として1954年(昭和29年・初代ゴジラが公開された年)に作られた建物で、2011年のアナログ停波まで電波塔として活躍した建物です。
中心地栄にそびえたっていたこともあり、名古屋のランドマークとして長く親しまれていましたが、電波塔としては必要なくなったこと、運営費が赤字状態だったので解体もうわさされました。しかし、名古屋市が中心となって周りの公園エリアを商業施設等にするなどしてリニューアル、テレビ塔はレストラン・結婚式場を運営する愛知の会社に貸し出され、ホテル・チャペル・レストランなどの施設として生まれ変わることになりました。
タワーという狭い場所に作られている関係上、ホテルに使われているのは四階と五階の二階層のみ、部屋数はわずかに15室(そのうちL01はホテルのデザイン経緯などを掲示するために開放されているため、客室としては使われていない)というとても小規模のホテルで、雅叙園さん、東京ステーションホテルさんなどと並んでSMALL LUXURY HOTELSに登録されています。
客室は東側がスタンダード(24平米)で3室、北側がフォレストビュー(37平米)で5室、西側がパークビュー(41平米)で3室、コーナースイート(57平米)が2室、上階のテラススイート(80平米)が2室で合計15室という構成。
スタンダードとフォレストビューはバスがなくシャワーブースのみ、テラススイート(定員1-4名)以外は全室定員1-2名なので、MAXで34名しか泊まれないホテルとなります。
四階・五階と言っても普通の建物よりもは高いところにある客室 |
というわけで、今回は初日に一番お値打ちなスタンダードのお部屋に泊ったので、さっそくレビューをしたいと思います。
テレビ塔の横に作られたエントランス |
入り口にはメッセージが書かれています |
ホテルには専用のエレベータで上がります。
エントランスは有人で、10月中はホテルないしはレストランの予約がないと入ることができませんが、11月からはL01の部屋で一般向けにもなんらかの展示が行われるそうです。
二階はレストランとチャペル、四階がホテルのフロントとレストランとなります。
ソファとオブジェなどがあるちょっとしたスペース |
フロントの奥には4-5人程度が寛げるスペースがあり、オブジェや地元作家の絵などが飾られています。そもそも定員の極端に少ないホテルですので、大きなロビースペースは必要ないのだと思います。15時過ぎに行った際は西日が差し込み、ちょっと眩しいくらいですがとても気持ちの良い空間でした。
今回泊まったスタンダードツインのお部屋は東側なのでビルとオアシス21がまぁ少し見えるかな程度の眺望。一番お値打ちなお部屋になります。
シンプルなツーベッドのお部屋 |
地元作家の絵が飾られている |
バスはなくシャワーブースのみのシンプルな構成 |
<Nespressoはマスターオリジンが入り、紅茶はNINA’S、緑茶・ほうじ茶地元妙香園さんのもの |
冷蔵庫内の飲み物は無料(追加は有料) |
基礎化粧などはお願いしたら持ってきてもらえるタイプ |
部屋はとてもシンプルで、ラウンジがないためかミニバーの中の飲み物は無料。
ビール二種、コーラ、ジンジャーエール、ウーロン茶、ジュースが二種類という内容。
ネスプレッソは最近のエグゼクティブ系のホテルには多く見かけるようになりましたが、マスターオリジンのシリーズを置いているのは初めて。
カップはオリジナルのデザイン(これが存外可愛いのですが)、グラスは耐久性が高いと言われているフランスのシェフ&ソムリエのもの。
シャンプー等のアメニティは東京のマッシュビューティーラボが作っているエッフェ オーガニック。
据え置きボトルで置かれていますが、香りがとても強く、好き嫌いがはっきりと出るのではないかと思います。(これはマリオット・アソシアのTHANNもですが)
ホテルに着くと、ウエルカムドリンクとお菓子を出していただけるのですが、それがこちら。
茶菓とソフトドリンクのマリアージュ |
ドリンクをお持ちしますと言われたので、紅茶かコーヒーとクッキー程度が出てくるのかな?それにしては注文を聞かれなかったなと思ったのですが。
えぇ、きちんと説明を聞いておけばよかったのですが、美味しそうだったので、そっちに気を取られて全然説明は聞いてなかったですね(苦笑)
一番右のパート・ド・フリュイがとても美味しかったです。
ちなみに、これ、グラスはすべてリーデルでした。
世界一の高さを持つ駅、名古屋駅方面もしっかりと見えます |
さて、このホテルで一番期待していたのは、22時から26時まで、テレビ塔の展望台が宿泊者専用のラウンジになるという点。
眺望が良くなくてもいいやと思えたのはこれがあるからです。
なんと、展望台だけでなく、その上のスカイバルコニーまで使えるということで、夜風に当たりながら360度名古屋の夜を満喫できます。
久屋大通はもちろん、真下なのでまっすぐと見渡せます |
この時、部屋からドリンクなどを持ち込んでもOKとのことで、ゆっくりと夜景を見ながらお酒を楽しむこともできます。
夜の10時から朝の2時までなので、もちろん、体力的にちょっと…という部分もありますが、なにせ、ベッドまですぐの距離ですから、寝るギリギリまで夜景を楽しむことができました。
展望台ではお酒と軽いおつまみ(ナッツ・チョコレート等)を購入することができ、またネスプレッソコーヒーは無料で提供されます。
宿泊客のみなので、とても広々とした、贅沢な空間ですので、これだけでもまぁ、泊まった価値はあったなぁと思えます。
食器の彩もとてもおしゃれ |
恐らく、現在販売されているプランはすべて朝食付きなのではないかと思うのですが、朝食。
レストランに行くと、メニューが用意されています。
トマトジュースと水用のグラスもリーデルが使われています |
まず、トマトジュースが出されましたが、おそらく生絞りで甘みがあり、トマトジュースが苦手な私も美味しく飲めました。
そして朝食。
地産地消名古屋コーチンの卵焼きや、地元であがったヒラメ。飛騨牛のローストビーフに郡上肉味噌と本当に一品一品が美味しく、食が進みます。
焼き物もどれも本当に美味しく驚かされる |
これだけかと思いきや、焼き物でサバ、あつみ豚ロース麹焼き、愛知県産の鰯の干物まで出てきて、しし唐の入った生湯葉と豆乳の冷製スープも…
名古屋コーチンの卵かけご飯 |
そして、お米は地元で作られたホーロー・バーミキュラで炊きあげられたもの。岐阜県産の龍の瞳でしたが、お米のチョイスは個人的には今一つだと思うのですが(龍の瞳は粒を大きく見せるため精米が浅く、雑味が残りやすい)、炊き具合が最高でした。えぇ…卵かけご飯に。
正直、これはずるいなぁと思うのですが…卵はおひとり様三つも出てきましたが、そこまでは食べられませんでした。とはいえ、硬めのお米の炊け具合と卵が恐ろしい相性で攻めてくるので、ついつい食べ過ぎてしまいます。
そのこだわりが、実は醤油…
5種類の醤油から好きなものを選べます |
今回は山川醸造さんの卵かけトリュフの醤油を選びましたが、卵の味が引き立って、するすると食べられてしまいます。次回は他のものも試してみたくなります。
そんなわけで、朝食は東京ステーションホテルとどっちがいいかと悩むレベルでとても満足できるものでした。
で、よくよく考えると、このホテル、結構随所にこだわりが感じられるんですよ。
ネスプレッソにマスターオリジンを入れていたり、グラスがシェフ&ソムリエないしはリーデルだったり。
タオルはオリジナルロゴ入りの今治タオルで、これも触り心地は抜群。
今治タオルは珍しくないですが、触り心地はとても良かった |
ホテルロゴの入ったガルニエ・ティエボーのバスローブ |
そして、なにより個人的にはまったのがバスローブ。
フロントに購入できないか聞いたほど(専用品のため販売はありませんでした)
フランスのGarnier-Thiebaut社製とのことで、同じシリーズのものを調べて買おうと思います。
まず、駐車場はありませんし、車寄せさえありません。
また、全般的に部屋が狭いため、バスルームがない部屋が半数以上です。
部屋が狭いことに起因するのか、デスクも乏しく、お仕事ができる環境ではありません。
フィットネスルームはありますが、まぁ、ありますというだけと思って良いレベルの設備で、もちろんプールなどもありません。
ただ、使われているもの随所にこだわりが感じられ、居心地も良く、貸し切り状態の展望台はリラックスして夜景を楽しめますし、朝食は最高です。
私自身は名古屋の近くに住んでいるので、そこまで名古屋市内に宿泊することはないのですが、間違いなくリピートするだろうと思います。
人気が出すぎて、部屋が取れなくなってしまっても困りますが…。
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