【深セン訪問記】「反射ゼロ」の衝撃。INNOCNショールームで体験したAR低反射フラッグシップ「INNOCN GA27V1M MAX」と未発表クリエイター機「INNOCN 2722A」、そして日本市場への本気度を徹底取材

2026年はディスプレイにとって面白い年になっています。MiniLEDとOLEDの価格破壊が一気に進み、つい数年前までハイエンド機の専売特許だった「ローカルディミング2000ゾーン超え」「DCI-P3 99%」「4K 160Hz」といったスペックが、5万円台のモニターにまで降りてきました。在宅ワークの定着やクリエイター人口の拡大もあいまって、PCモニターは「とりあえず映ればいい」から「画質と機能で選ぶ時代」へと完全に移行した印象です。そんなモニター市場の変革期にあって、前回の訪問で注目したのがINNOCN。AcerやXiaomiのOEM/ODMで培った製造力を武器に圧倒的なコストパフォーマンスと色精度の両立を実現する深圳発のディスプレイブランドです。


2026年6月初旬、再び深圳のINNOCN本社を訪問しました。「深圳市世纪创新显示电子有限公司」の銘板が掲げられた創新展示厅の入り口は前回と変わらず、ショールームのレイアウトや古いライジングギア類もほぼそのまま。しかし、展示されているモニターの中身は全くの別物へと進化していました。AR低反射技術を搭載した新フラッグシップINNOCN GA27V1M MAX、MiniLED級の色精度をIPS構成で驚きの価格帯に落とし込んだ未発表のINNOCN 2722A、さらには裸眼3Dモニターまで。今回はその実機体験と、INNOCN担当者との日本市場に向けたディスカッションの模様をレポートします。
【ガジェ獣】INNOCN深圳本社インタビュー|OEM製造で培った技術力とコスパが魅力。AcerやXiaomi製品も手がける中国発ディスプレイブランドINNOCNの実力を徹底取材
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光を飲み込む新技術。QD-MiniLED 2304ゾーン+AR低反射+ATW広視野角を搭載したINNOCN GA27V1M MAX

INNOCN GA27V1M MAXは、2304ゾーンのローカルディミングに対応したQD-MiniLEDパネルを搭載した27インチの最上位フラッグシップモニターです。4K 160HzとFHD 320Hzを物理的に切り替えられるAIデュアルモード、HDR1000、0.5ms MPRTの高速応答に加え、USB-C 90W給電にも対応。背面の端子部にはType-C、DP、HDMI×2を備えており、デスクトップPCとノートPCの同時接続も可能な充実した構成です。そして何より、本機最大の特徴がAR低反射(アンチリフレクティブ)技術とATW広視野角技術の搭載です。

筆者はINNOCN GA27V1M(無印)を4ヶ月以上にわたってメインのサブモニターとして愛用しています。同じく2304ゾーンのQD-MiniLED、DCI-P3 99%、Adobe RGB 99%、sRGB 99%、ΔE 0.43(sRGB)という高い色精度は非常に満足できるレベル。ただ、明るい環境での映り込みだけは弱点として感じていました。INNOCN GA27V1M MAXはその弱点をAR低反射技術で正面から解消した上位版という位置づけです。



実際にINNOCN GA27V1M MAXと従来モデルを横に並べどれだけ反射のレベルが違うのかを試してみました。今のディスプレイの主流は写真の現像や作業を行うときに周辺光の反射の少ない非光沢タイプのディスプレイ。INNOCN GA27V1M MAXは光沢タイプでありながらこの反射を抑えるという仕様です。実際に、INNOCN GA27V1M MAXの画面をつけた状態で見てみると、写真でも分かるように全く周囲の様子を反射していないことが分かるかと。
スマートフォンの懐中電灯機能を使って光を当てて見たときに特にこの性能を実感。INNOCN GA27V1M MAXでは当てた光が小さい点にしかならず、ほぼ反射を抑えることが出来ていました。対して無印GA27V1Mでは当たった光がボワッと広がってしまい反射の範囲も広くなってしまっている感じ。AR低反射技術によって従来は反射や写り込みに弱く忌避されていたものの、色の表現力の高い光沢ディスプレイであっても反射を気にせずに使うことができるわけです。

このAR低反射技術は、AppleのNano-textureガラスと同等の高度な表面処理なんだとか。強い光をパネル表面に当てても反射光が一点に集中せず拡散する仕組みで、ATW広視野角技術との組み合わせにより斜めから見ても色変化が少ないのも特徴。思い返せば5~6年前のノートPCの光沢ディスプレイは、明るい場所では自分の顔しか見えないような状態。だからこそアンチグレア(非光沢)パネルが広く普及ていましたが、今ではクリアな画質を維持しながら反射だけを消すARコーティングという次の段階に到達していました。

INNOCN GA27V1M MAXの端子類はHDMI×2、USB Type-C×1、DisplayPort×1の構成。ノートPCを利用する際には、そのまま90Wの給電と組み合わせて利用することが可能なのも嬉しいポイントです。また、USBハブとしても動作できるためノートPCとディスプレイで組み合わせて使うというときにも使い勝手の高い製品になっています。
GA27V1M MAXの価格は99,800円。無印GA27V1Mが実売76,490円で価格差は約14,000円。単純にAmazonや商品ページに記載されているスペックだけで比較しようとすると値段の安いGA27V1M(無印)に目が行ってしまいますが、個人的には実際の画面を見てしまうとMAXのほうが圧倒的に良いなと感じるクオリティでした。画像編集などで最良の画質のディスプレイを求めている方にはAR低反射技術によって高い色精度と見やすさを実現したMAXのほうが価格差を超えるクオリティを実現してくれるためおすすめです。
INNOCN GA27V1M MAXとGA27V1M(無印)のスペック
| 項目 | INNOCN GA27V1M MAX | INNOCN GA27V1M(無印) |
|---|---|---|
| パネル方式 | QD-MiniLED(IPS) | QD-MiniLED |
| 画面サイズ | 27インチ | 27インチ |
| 解像度 | 3840×2160(4K)/ 1920×1080(FHD) | 3840×2160(4K)/ 1920×1080(FHD) |
| アスペクト比 | 16:9 | 16:9 |
| リフレッシュレート | 4K 160Hz / FHD 320Hz(デュアルモード) | 4K 160Hz / FHD 320Hz(デュアルモード) |
| ローカルディミング | 2304ゾーン | 2304ゾーン |
| HDR | HDR1000 | HDR1000 |
| ピーク輝度 | 1200nits(APL 3%) | 1200nits(APL 3%) |
| 応答速度 | 0.5ms MPCS | 0.5ms MPCS |
| 色域 | sRGB 99% / DCI-P3 99% / Adobe RGB 99% | sRGB 99% / DCI-P3 99% / Adobe RGB 99% |
| 表面処理 | AR低反射(アンチリフレクティブ) | マット(非光沢) |
| 広視野角技術 | ATW搭載 | 非搭載 |
| 接続端子 | HDMI 2.1×2 / DP 1.4×1 / Type-C 90W / USB-A 3.0×2 / USB-B 3.0×1 / Audio out | HDMI 2.1×2 / DP 1.4×2 / Type-C 90W / USB-A 3.0×2 / USB-B 3.0×1 / Audio out |
| RGBライティング(背面) | 搭載 | 搭載 |
| VESA | 100×100mm | 100×100mm |
| 価格(Amazon) | ¥99,980 | ¥76,490 |
MiniLED級の色域をIPS構成で実現!4K 120Hz&FHD 240Hzデュアルモード搭載の未発表の「INNOCN 2722A」先行レポート

続いて紹介してもらったのがINNOCN 2722A(仮称・未発表)。「INNOCN for ART」と記載されているように、色性能に全振りしたクリエイター&ゲーマー向けの位置づけの4K 120Hz / FHD 240Hzのデュアルモードに対応したIPSパネルを搭載した27インチモニターです。注目すべきは、sRGB 100%、DCI-P3 99%、Adobe RGB 99%というMiniLEDやOLEDの上位モデルに匹敵する色域性能を、IPS構成で実現している点。INNOCNの担当者いわく、「Weapon(=武器)」となる戦略モデルなんだとか。
MiniLEDバックライトやOLEDパネルを使わないぶん製造コストが抑えられるため、先ほど紹介したINNOCN 無印GA27V1Mや、GA27V1M MAXよりも大幅に安い価格帯での投入を見込んでいるんだとか。MiniLEDやOLEDは高くて尻込みしてしまう、という人であってもINNOCN 2722Aなら購入しやすい価格になるんだとか。

実際にMacBook Proと並べて同一画像を表示してテスト。若干MacBookのほうがりんごの赤色の彩度が高く感じるもののの、十分な色表現レベルを実現している印象。これだけの色性能をMiniLEDなしのIPSディスプレイで達成していたのは率直に驚かされました。筆者が愛用しているINNOCN GA27V1M(無印)のAdobe RGB 99%・ΔE 0.43の色精度を体験してきた延長線上にある、INNOCNの色に対するこだわりがここにも表れている印象でした。




デザイナーやクリエイターにとって実用的な独自機能も充実していいるのもポイント。OSDメニューから操作できる「A4サイズガイド表示」機能では、画面中央に白い長方形の枠が表示され、実際にA4用紙を当ててみるとガイドと実物のサイズがぴたりと一致。さらに画面の端にセンチメートル単位の目盛りを表示するルーラー機能、半円形の分度器と十字線をオーバーレイ表示する機能も搭載しています。黄金比(Golden ratio line)や三分割法(Rule of Thirds)といった構図支援モードもあり、デザイナーやイラストレーターにとって実用的な機能を多く搭載していました。



INNOCN A722Aのもう一つのポイントがPCとの強力な連携性能。「VIEW MORE WIDGET」という専用ソフトウェアをインストールすれば、モニター本体のジョイスティックを使わずにマウスからOSD設定を変更できます。どういう仕組みか分かりませんが、HDMI接続であってもモニターを制御することが可能でした。CAD/CAMモード、アニメモード、Innocnモードといったアプリケーション別のプリセットや、Macの色域規格に合わせたDisplay P3やHDTV Videoなどのプリセットも用意。ただし現時点ではWindows専用で、Mac対応は将来のアップデートで予定されているとのこと。

接続端子はHDMI×2、DisplayPort×1、USB Type-C×2を搭載。USB Type-C接続の場合はPCへの90Wでの給電にも対応します。4K 120HzとFHD 240Hzのデュアルモードに対応するため、ゲーミングでも快適にプレイできるのもポイント。写真の編集やデザイン作業時には4Kモードで、ゲームプレイ時にはFHDの高リフレッシュレートというように用途に応じて利用することが可能。MiniLED級の色域をIPSの価格で手に入れて、しかもゲームまでカバーするという欲張りな一大。正式発表と価格が非常に楽しみな製品です。
| 項目 | INNOCN 2722A(未発表・仮称) |
|---|---|
| パネル | IPS |
| サイズ | 27インチ |
| 解像度 | 3840×2160(4K)10bit |
| リフレッシュレート | 4K 120Hz / FHD 240Hz(デュアルモード) |
| 色域 | sRGB 100% / DCI-P3 99% / Adobe RGB 99% |
| 給電 | USB-C 90W |
| PCツール | VIEW MORE WIDGET(Windows専用・Mac対応予定) |
| 主な機能 | A4サイズガイド、ルーラー、分度器、黄金比、三分割法 |
4K 190Hz・HDR 1400nitsを維持したまま裸眼3D表示を実現した「INNOCN 27E6V-Pro」



ショールームにはもう一台、異彩を放つモニターが展示されていました。Mini LEDと液晶樹脂レンチキュラー方式を組み合わせた裸眼3DモニターINNOCN 27E6V-Proです。2304ゾーンのローカルディミング、SDR 700nits / HDR 1400nits / 3D表示時650nitsの輝度、3840×2160の4K 10bit解像度に190Hzのリフレッシュレートという山盛りの仕様を実現した製品。裸眼3D表示時でも4K 190Hzのスペックを実現したハイスペックな製品です。
画面下部に4つのレンズ状のセンサーを横一列に配置しており、このセンサーでユーザーの視点位置を追跡。実際に獅子舞の3Dデモ映像を体験したところ、獅子舞が立体的に映し出されて驚き。専用のメガネなどを利用せずに裸眼でそのまま3D映像を楽しめるため、VRグラスのように重いものを利用することも、なにか特別な機械を用意する必要なく3D映像を体感することが可能。

獅子舞の映像に関しては3Dでの表示を前提とした専用コンテンツ。3Dコンテンツなら立体感のある映像を楽しめるのは当たり前ですが、こういった3Dコンテンツは世の中にそう多く供給されているわけではないのも事実。INNOCN 27E6V-Proでは2Dコンテンツを3Dに変換する機能も搭載しており、この問題を解決。FPSゲームを3D変換しながらプレイしてみましたが、若干違和感があるものの、全体的に立体感があることで没入感の高い仕上がりになっていました。現時点では市場投入の時期や価格は未定。投入が楽しみな製品です。
INNOCN 27E6V-Proのスペック
| 項目 | INNOCN 27E6V-Pro(裸眼3Dモニター) |
|---|---|
| 方式 | Mini LED + 液晶樹脂レンチキュラー方式 |
| サイズ | 27インチ |
| ローカルディミング | 2304ゾーン |
| 輝度 | SDR 700 / HDR 1400 / 3D表示時 650 nits |
| 解像度 | 3840×2160(4K)10bit |
| リフレッシュレート | 190Hz |
「Amazonの商品説明だけでは技術の価値は届かない」。INNOCNが語った日本市場への想いと、ティア1を目指すClimbing Spirit

ショールーム見学後は、INNOCN担当者との日本市場に向けたディスカッションも実施。議論の中心となったのは、AR低反射のような革新的な技術をどうやって消費者に伝えるかということ。INNOCN側の担当者も、Amazonの商品説明テキストだけでは技術の価値が消費者に伝わらないことを強く認識しており、価格を伝える前に実機で低反射の良さを見せれば間違いなくそちらを選ぶだろうという自信を見せていました。だからこそ、レビューやYouTube動画、実機を試せる場所を通じて技術の違いを体験してもらう機会を増やしていきたいとのことでした。
INNOCNのブランド精神は「Climbing Spirit」。現在はSamsung、LG、Dellのようなティア1のブランドではないけれど、革新を続けて登り続けるという目標なんだとか。いつかティア1になることを全員が夢として共有しているという担当者の言葉には、単なるスローガン以上の熱量がありました。ショールームの廊下には「不忘初心 砥砺前行」「协作之心」「付出之心」と書かれたポスターが掲げられており、このClimbing Spiritの根底にある企業文化を象徴しています。
今回のショールームで体験したINNOCN GA27V1M MAX、INNOCN 2722A、INNOCN 27E6V-Proの3モデルは、それぞれAR低反射、クリエイター向け色精度、裸眼3Dという全く異なる方向性の技術進化を示していました。一つのメーカーがこれだけ多方面に技術を展開できるのは、OEM/ODM事業で培った深い製造力と、260項目以上の国家特許に裏打ちされた研究開発力があってこそ。INNOCNが次に何を仕掛けてくるのか、引き続き注目していきたいところです。
スペックのその先へ。「コスパブランド」を超えたINNOCNの現在地と、INNOCN GA27V1M MAXレビューへの期待

今回のINNOCNショールーム再訪を通じて、同社が「コストパフォーマンスが高いだけのブランド」から、AR低反射技術のような独自の付加価値で正面から勝負するフェーズへと完全に移行したことを実感。どのメーカーでも今ではMiniLEDは当たり前になってきていて差別化が難しくなっている今だからこそ、さらに技術に磨きをかけるINNOCNの挑戦は一利用者としても楽しみになるところ。
改めて今回紹介した製品を振り返り。INNOCN GA27V1M MAXは、AR低反射+ATW広視野角+QD-MiniLED 2304ゾーンの組み合わせで、ショールームで最も印象に残ったモデルでした。INNOCN 2722A(未発表)は、MiniLED級の色域をIPS価格で実現し、デュアルモードと構図支援まで備えた万能機で、クリエイターとゲーマーを両立させたい方への一つの回答になりそうです。そして裸眼で3Dを楽しめるINNOCN 27E6V-Pro。INNOCNの高い技術力を活かした製品郡でした。ぜひ、今後のINNOCNの製品展開に注目してもらえれば。
【INNOCN GA27V1M】QD-MiniLED 2304ゾーン・4K 160Hz&FHD 320Hzデュアルモード・DCI-P3 99%・ΔE 0.43の色精度で写真編集とゲームを両立するゲーミングモニター、INNOCN GA27V1Mレビュー【PR】
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