お花見の季節と思ったら雨が続き、自宅から出られず悶々とした日を過ごした方も多いかと。これから梅雨の季節を迎えていくこともあり自宅で過ごすということも増えていく季節かもしれません。せっかくなら屋内で過ごす場合でも映画やアニメなどを大画面で楽しめたら満足度も上げられるかも。今回はDangbeiから登場した4Kプロジェクター、Dangbei Mars Proをメーカーよりお借りしたのでレビュー。
Dangbei Mars Proは中国のプロジェクターメーカーのDangbeiから登場している高画質・高輝度を実現したプロジェクター。約170,000円という強気の価格設定で販売中の製品。レーザー光源を利用した明るく鮮やかな映像再現と、4K画質、付属のドングルを利用してAmazonプライム・ビデオなどのストリーミングサービスの高画質再生にも対応している製品です。
4Kの超高解像度に3200ルーメンの明るさ、Dolby Atmos対応の実力
Dangbei Mars Proの性能から確認。約17万円という価格で怖気づいてしまう面もありますが、その実力を知ったら納得できるもの。私自身が知っているプロジェクターの中でも最高峰の性能を持っていると言っても過言ではない製品です。
まずは、映像の解像度から。この解像度が細ければ細かいほど元の映像のディティールを再現できるわけですが、Mars Proは4K画質の投影に対応。もちろん入力解像度ではなく、出力する際のネイティブ解像度が4096×2160の4Kで、昨今増えてきている4Kのコンテンツであってもその魅力を十分映し出す事が可能です。
明るさは3200ANSIルーメンを実現。先日レビューしたEmotn N1が500ANSIルーメンだったことを考えると、その圧倒的な明るさが分かるかと。映像をより鮮やかに表現できるHDR 10+や、AIによるリアルイメージエンジンも搭載し、映像表現力をより高めています。
この明るさの秘訣が光源にあり、本機ではALPD・先進レーザー発光ディスプレイ技術を用いたレーザーを利用。一般的にレーザー光源を利用したプロジェクターは、長寿命性や消費電力の面で従来型のランプ光源に優れているのが特徴。そして、明るさと色再現性も高く、これが本機の3200ルーメンの明るさに寄与しています。
Mars Pro本体に4GB RAM・128GBストレージを搭載。Android OSを採用しており、Google Playサービスを利用してアプリをインストールしたり、プリインストールされている動画視聴アプリを利用してUSBメモリやネットワーク内の動画の再生にも対応します。
なお、日本向けのMars ProにはAndroid TVを搭載したドングル「Hako」を同梱。AmazonプライムビデオやNetflixといったストリーミングサービスについては、このHakoを併用することで簡単に楽しめるようになっており、購入品ですべて完結できるようになっています。
※Mars Pro本体でのGoogle Play利用に関してはメーカー側では非推奨となっています。(案内はしていますが)
ビッグサイズながらもアルミフレームが映えるデザイン
パッケージは外箱と内箱の2重構造。届いた時点で感じていましたが、なかなかの大きさで、自宅の中で持ち運ぶのも一苦労といった感じ。内箱には本体の一部がイラストとして描かれ高級感を醸し出しています。
本体は黒一色のデザイン。フレーム部分はアルミを採用し、天板や投影部分には鏡面仕上げを入れるなど黒色でもメリハリのあるデザインを実現しています。写真からもわかるように投影部も本体もなかなかの大きさ。この大きな筐体によって4Kという超高画質であってもスムーズに投影することが可能なわけ。
背面には三脚穴も準備。本体の重量が4.6kgと重量級なため、安物の三脚の場合落下してしまう可能性もあるため実際にどの三脚に載せるかというのは考えものですが、設置場所の柔軟性は確保できそうです。
端子類は写真の通りで、USBメモリなどを接続できるUSB端子が2つ、HDMIも2つ、そして音声出力用のS/PDIFと3.5mmステレオミニプラグ、さらに有線LANにも対応します。背面のグリル部分は音声再生用のスピーカーにもなっており、10WのDolby Atmos対応のスピーカーからリアリティのある音声を再生可能です。
付属品は専用のリモコンの他にACアダプター、説明書と汚れなどを拭き取れるマイクロファイバークロス。Dangbei Mars Proはその高い映像再生を実現するため電力消費量はかなり多く、電源アダプターに記載のある出力は最大180Wでした。
今回は若干耐荷重に不安はあるものの、マンフロットのミニ三脚を利用して設置します。設置してみた感じは、バランスを崩すとひっくり返ってしまいそうですが、一時的に設置するくらいなら良い感じ。17万円のプロジェクターを載せっぱなしにするというのはなかなか不安になるため、使うときだけという感じなら大丈夫そうです。
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明るい部屋でも十分な明るさ。強力な台形補正も合わせて快適に使える
早速電源を接続してDangbei Mars Proを起動。静かにファンが回転しながらランプが点灯して投影されていきます。動作音は何も再生していない状態でも気にならないほどで、つけっぱなしにするというのはおすすめしないにせよ常用できる大きさです。
起動後はリモコンのペアリングから開始。投影された指示に沿ってリモコンを操作することで認証が完了します。なお、リモコンと本体の接続は赤外線を利用しており、TVスティックなどでよく利用するBluetoothではありませんでした。
言語設定を終えたら本体をネットワークへ接続。Mars Proは5Ghz帯での接続にも対応。接続するネットワークを選択してパスワードを入力することでそのまま接続処理が完了します。
セットアップ完了後に、自動的にフォーカスの調整と台形補正も実施。以前Emotn N1をレビューしたときには、斜めから投影して台形補正を行った際の画面端のピントズレが気になりましたが、本機の場合は斜めから投影してもほぼ長方形にすぐ調整できるだけでなくピントも揃えることができました。
本体の前面についているセンサーを利用して投影しているブロック状の画像から投影状況を自動的に認識することで、そのまま最適な角度にレンズを調整してくれるよう。四隅を手動で調整することも可能ですが、自動で出来る範囲でかなり正確に調整できるため、利用するときだけ出してくるような場面でもすぐにセットアップして利用できるのは魅力的です。
メインメニューには、最低限のアプリがプリインストールされており選択可能。Mars Proに搭載しているOSはAndroidベースのカスタマイズOSのようで、設定メニューなどはかなりカスタマイズされていました。
本体にインストールされているメディアプレーヤーアプリを利用することで、同一ネットワーク内のNASに入っている動画を再生することが可能。ドローンやアクションカメラのDJI Action 2で撮影した映像をそのまま再生できました。4K/120fpsの動画については若干カクつく場面があったため、4K解像度でも30fpsくらいまでが安定して再生できる範囲かも。
今回は壁に投影しているため、若干ザラザラしてしまいましたが、2K、4K画質ともに解像感の高い映像を投影。ディスプレイでは味わえない高解像度で、かつ、発色の良い大画面での映像を楽しむことができました。これなら、手元にあるNASを最大限に活かした環境を構築できそうです。
ストリーミングサービスにはAndroid TV採用のHAKO Miniを利用
Dangbei Mars ProにはAndroid TVを搭載したTVドングルの「HAKO mini」が付属。Mars Pro本体側にはGoogle Play開発者サービスが入っていないため、本機を利用することでGoogleのアカウントが必須のストリーミングサービスを利用可能にします。
なお、実際にはMars Pro側でも強引にGoogle Playなどをインストールする方法が本体に内蔵されている動画ファイルで解説されていましたが、本記事では割愛。私は試していないためそもそも挙動は不明ですが、ストリーミングサービスでのHD対応なども不安があるためHAKO miniを使ったほうが安心です。
※Mars Pro本体からのGoogle Playの利用も問題ないとのこと(メーカー広報より確認)
HAKO miniをMars Pro本体のHDMI端子に接続し、USB電源は別途用意することで起動。Mars ProについているUSB Type-Aでは電力が足りずHAKO miniを起動させることは出来ませんでした。HAKO mini利用時の電源の配置に関しては工夫が必要かもしれません。
HAKO mini側はGoogle謹製のOSであるAndroid TVを採用。Androidスマートフォンとの親和性は高く、セットアップの段階からスマートフォンと連携してWi-Fiへの接続からGoogleアカウントへのログインまで一発で完了します。
Googleアカウントへログインすると、他のAndroid TVで利用していたアプリ等でインストールできるアプリが自動的に選択。必要なアプリを一部選択してしまえば、勝手にダウンロードしてインストールしてくれます。また、ソフトウェアアップデートも配信されており、アップデートされるのも安心。
あとはインストールされたストリーミングサービスを楽しむだけ。Amazonプライム・ビデオなどのストリーミングサービスでは、画面上に投影されたQRコードを利用してログインすることができるため、再ログインの手間も大幅に省くことができます。
各ストリーミングサービスでの操作画面はAndroid TVそのもののため直感的な使いやすさを実現。過去に見た動画を続けて視聴するというのも、もしくはレコメンド機能をもとに視聴することも、どちらも問題ありません。
Amazonプライムビデオで複数の動画を実際に視聴。HD画質での再生ができており、本機の高い映像投影能力を活かして映像を楽しむことが出来ます。Mars
Proの10Wの内蔵スピーカーでも意外とステレオ感と低音のある音を再生することが可能。本体のみで映像も音声も十分楽しめました。
Proの10Wの内蔵スピーカーでも意外とステレオ感と低音のある音を再生することが可能。本体のみで映像も音声も十分楽しめました。
HAKO Miniのリモコンには、YouTube・Netflix・Google Playへのショートカットキーも配置。ホーム画面を介さずに直接みたいアプリに飛べるようになっていま
す。YoutubeもフルHD画質ですぐに楽しめるため、その日の気分に応じて見るストリーミングサービスを選んで再生できます。
なお、Mars Pro本体のリモコンと、HAKO miniのリモコンのどちらも同じ赤外線方式を採用。このため、どちらかのリモコンで双方を操作できるためHAKO miniを接続している際は操作する機器にかかわらず同じリモコンで操作できます。いちいち機器によってリモコンを持ち替える必要がないのは利用体験的にはかなり良い印象でした。
Android TV採用のため、SolidExplorerなどを利用してNASや他のストレージの動画を再生することも可能。ただ、Mars Pro本体でも前述のようにNASからの再生には対応しているので、UIの好みで判断すれば良いかなと。
私の場合はAndroid版MX Player Proを愛用していることもあり、MX Playerでの再生もトライ。プリインストールされているプレーヤーに比べてデコーダーのモードを選択できたり、字幕等の表示も柔軟にできるため、サードパーティ製のアプリを使いたいという場合には重宝しそうです。
HAKO miniのWideVineセキュリティレベルはL1。このため、前で試したAmazonプライムビデオをはじめNetflixやその他のストリーミングサービスでもHD再生を問題なく楽しめるのは安心できます。
Android TVを採用しているため、設定メニューも通常のAndroid OSと同様のものを採用。Mars Pro本体側は日本語翻訳が微妙で、不自然な日本語も見かけましたが、HAKO mini側は自然な日本語で設定を変更することも可能です。
Mars Pro本体側のホーム画面には、HDMI接続している機器からの入力内容をプレビューする機能も搭載しており、一時的に画面を切り替えてHDMI入力に戻す際にも迷わずに操作できます。実用性は特にないものの、Mars Proのスペックの高さを感じる部分かも。
明るい4K画質の大画面を手軽に自宅に実現するプロジェクター
今回レビューしたDangbei Mars Proは、4K画質の投影に対応するレーザー光源のプロジェクターでした。価格は16万円超となかなかの価格ではありますが、自宅のNASやPCに保存してある高画質な映像を手軽に楽しんだり、Amazonプライム・ビデオなどのストリーミングサービスの動画を大画面で楽しめる製品。ホームシアターを日常的に楽しむのにはピッタリの製品、ぜひ、次のプロジェクターの候補にしてみては。