ここ最近のムーブメントの一つに「シェアリングエコノミー」というものがあります。個人間のものではメルカリやUber、Airbnbなどが挙げられますが、事業者が実施主体となるカーシェアリングもその一つ。日本国内では、まだまだ成長余地があるものの一つとして、自転車をシェアして利用する「シェアサイクル」が存在。私自身も以前あるシェアサイクルサービスで働いていましたが、今回日本初上陸の「黒船」、Mobikeが登場したので使ってみました。
Mobikeは中国Mobikeが運営するシェアサイクル事業。北京や深圳、上海を始め世界160都市で、500万台以上の自転車を運営する超巨大サービスだ。既に国内では、NTTドコモによる「ちよくる」を始めとするサービス、リレーションズ株式会社による大学内シェアサイクル「COGOO」、各自治体による運営のサービス(札幌市の「ぽろくる」等)がサービスを提供している中で、中国から黒船襲来といったところ。
今回は日本初のサービス開始都市として、北海道札幌市が選ばれ、昨日8月23日午前10時よりサービスが開始されました。今回は、実際にサービス開始初日の札幌のMobikeに試乗しその使い勝手をレポートします。一言で言えば、「最高」のサービスでした。
貸出作業は超シンプル。ノンストレスで即ロック解除
今回のMobikeの設置パートナーはサッポロドラッグストアや、セイコーマート、「白い恋人」でお馴染の石屋製菓など。早速、サッポロドラッグストアにあったポートの自転車を借りて行きます。
Mobikeのアプリから、「ロック解除」画面を出してQRコードをスキャン。
ハンドル部に貼り付けられているバーコード |
コードを読み取ると自動でロック解除(要・Bluetooth) |
各自転車がそれぞれSIMカードを搭載し、携帯電話回線で繋がっている |
貸出の際に利用するQRコードは、鍵の部分と、ハンドル部に貼り付け。このコードを読み込むだけで、一瞬で鍵のロックが解除され、自転車が利用可能になります。
あとは、スタンドを上げて自転車に乗るだけ。日本版のMobikeでは、前方に簡易のカゴを搭載しているため、カバン程度ならのせて走ることも可能。サドルの高さに関しても調整が可能で、必要に応じて修正できるのも嬉しいところ。
距離やCO2排出削減量、カロリーがわかるのも嬉しい |
実際の乗り心地に関しては、正直なところを言えばちょっとキツイところがいくつかあったようにも。今回走行したルートは、最寄りのポート間のみで短い利用ではありましたが、いくつか課題もありそうです。
良かったと感じたところ
- 貸出の操作が非常にスムーズで、ストレス無く借りれたこと
- 各ポートに設置されている自転車が多く、いつでも自転車がある安心感があったこと
- アプリの動作が非常にスムーズで、さらに移動距離なども簡単に確認できること
- 返却時の動作も、指定場所で鍵を掛けるだけで、ポートに戻す必要が無いこと
イマイチに感じたところ
- 自転車に変速などが無いため坂道ではかなりペダルが重いこと
- 前方のカゴの網目が大きく、小さいもの(スマホ)などを置くことが出来ないこと
個人的に感じたのは上の点でした。かなり好感をもっていますが、乗り心地や、坂道での利用に関してはイマイチに感じた面もあったのも事実。Mobikeの部品共通化や、メンテナンスフリーによる費用抑制の戦略の中では厳しい面もありそうですが、もう少し改善してくれると嬉しく感じました。
docomoのシェアサイクルやCOGOOに比べると貸出の手軽さは魅力
横浜国立大学や千葉大学など全国6大学で展開しているCOGOO |
NTTドコモが運営するbaybike |
私自身は、冒頭でも触れているように一時期シェアサイクルの運営に携わったりしてきた経験があり、全国各地のシェアサイクルはなるべく利用するようにしてきました。特に、今回比較対象として取り上げるのは、mobikeと同様に大掛かりなポートの設置が必要でない「COGOO(運営:リレーションズ㈱」と、全国でサービス展開をしている「Bike Share(運営:㈱ドコモ・バイクシェア)」。
比較対象の2サービスは、自転車自体の質はmobikeよりも圧倒的に上。COGOOでは、ブリヂストン製の上位モデルを利用し、3段変速も搭載。Bike Share(横浜baybike)では、電動自転車を採用したことで坂道の多い横浜地区でも、また移動距離の長くなるみなとみらい地区でも快適に利用できる工夫がなされています。それに対して、mobikeはタイヤ自体も簡素化していたり、変速は搭載していないなど、自転車自体は他サービスに比べると劣っています。
貸出・返却のスムーズさに関してはmobikeの圧勝。上にスマートフォン上での貸出画面を貼り付けていますが、COGOOが専用アプリ上での番号入力、baybikeに至ってはアプリも用意されずWEBページからの操作となり、直感的とはいえない印象。返却に関しても、COGOOでは自転車自体が携帯電話回線に接続するわけでないため通信エラーが多発。baybikeでは、専用ポートへの返却が必要になるのが煩雑。mobikeのようなシステムの利便性の高さを痛感しました。
今後の国内展開を期待したいサービス
今回実際にサービス開始初日に試してみたmobike。日本での初日ということで、世間の注目も集めながらの開始ながら全くトラブルもなく、スムーズに貸出、返却をすることが出来ました。私自身、運営に携わったりもしながらシェアサイクルを利用してきた身ですが、その中でも最も使い勝手に優れていたと言っても過言ではないレベル。
ポート不要で気軽に乗って、気軽に返却ができる新しい形のシェアサイクル、Mobike。これまでの日本国内のある意味ガラパゴス化してきたシェアサイクルに新しい風を吹かし、そして、便利なこのサービスがより広範囲で使えるようになってくれれば良いなと感じています。
招待コード利用でクレジットゲット
mobikeの会員登録の際に、招待コード”mobike00325WZh“を入力すると、mobikeを借りる際の「クレジット」をゲット可能。クレジットが多ければ多いほど、貸出の際に有利になるため、ぜひ、招待コードを使ってみてください。
また、日本国内での会員登録は全世界で有効。中国やその他のmobike運営地域に渡航する際にもぜひ、インストールし、利用してみてください。