
夏の東京は年々暑くなっており、7月に入れば連日35度に迫るような日も珍しくなくなりました。そんな酷暑から逃れる方法として、エアコンの効いた部屋に籠もるのも一つの手ですが、せっかくなら涼しい土地そのものに移動してしまうというのも選択肢。標高が1,000m上がれば気温はおよそ6度下がると言われており、高原リゾートは真夏でもまったく別の環境を用意してくれます。
そこでおすすめしたいのが群馬県は嬬恋村、標高約1,800mに位置する万座温泉。日本で最も硫黄含有量の多い温泉として知られる一方、夏場でも東京より10度以上気温が低いという避暑地としての顔も持っており、標高の高さと澄んだ空気から「星に一番近い温泉」とも呼ばれる高地の温泉地。当ブログでは以前にも万座高原ホテルに宿泊した記事を掲載していますが、今回は友人たちと3泊4日という長めの日程で再訪してきました。前回は1泊での滞在だったため温泉と毛無峠を駆け足で回る形でしたが、今回は連泊だからこそできる過ごし方を存分に楽しめました。
温泉にひたすら入り浸る湯治的な過ごし方から、毛無峠・破風岳でのトレッキング、高原バーベキュー、そして最終日のワーケーションまで、避暑地の使い方を欲張りに詰め込んだ3泊4日になったのでそのレポートをお届け。真夏に涼しい場所へ逃げたい方、連泊でのんびり湯治をしたい方はぜひ参考にしてみてください。
上野から特急一本で2時間半。絶景を楽しめる草津志賀高原ルートで万座温泉へ



万座高原ホテルへのアクセスは、電車とレンタカーの組み合わせが便利。上野駅から特急「草津・四万」に乗り込み、長野原草津口駅まで約2時間半で到着できます。新幹線を使わずに在来線特急一本で向かえるため乗り換えの手間が少なく、朝ゆっくり出発しても昼過ぎには現地に入れるという行程が組めるのも嬉しいところ。上野駅の16・17番線は宇都宮線や高崎線の始発が並ぶ地上ホーム。頭端式ホームになっていて、上野駅がかつて東北方面への玄関口だったことを感じさせられます。

車内では上野駅で購入した駅弁を広げるのが旅の始まり。今回は東北6県の名物を詰め合わせた「東北福興弁当」を選びました。車窓を眺めながら駅弁をつつく2時間半こそが特急旅の醍醐味かと。作業をしようとPCを持ってきてもいましたが、ほとんど作業せず食事を楽しみつつ同行者とだら打おしゃべりをして過ごしていました。高崎を過ぎたあたりから車窓の緑が一気に増えていき、吾妻線に入る頃には完全に山あいの景色へと変わっていきます。



長野原草津口駅からはレンタカーに乗り換え。長野原草津口駅から徒歩5分ほど橋をわたった場所にレンタカー営業所があるため、特急を降りてそのまま車を借りられるのは便利なところです。万座温泉へのルートは有料の万座ハイウェー経由と、草津温泉から国道292号を登っていく草津志賀高原ルート経由の2通り。今回は無料で走れるうえ景色も楽しめる草津志賀高原ルートを選びましたが、これが万座への道中における最大の見どころと言っても過言ではありません。草津温泉街を抜けて国道292号をひたすら登っていくと、森林限界を超えた先には草木のまばらな火山性の斜面が広がり、日本の道路とは思えないような荒涼とした景色の中を走ることになります。

眼下には自分たちが登ってきた道が山肌を縫うようにヘアピンカーブを描き、その向こうには幾重にも連なる山並みが霞んでいくという構図。残念ながら往路はあいにくの曇天で、視界の大半が雲に覆われてしまうコンディションでしたが、最終日の復路は打って変わっての快晴。行きに見られなかった山々のパノラマを存分に堪能することができました。
峠道を登っていくと、標高が上がるにつれて外気温がぐんぐん下がっていくのが体感できます。麓では30度を超えていた気温がホテルに着く頃には20度前後まで落ちるという環境。最初は車のクーラーを使っていましたが、途中からは窓をあけて自然の風で十分涼むことができました。途中のガスが多い区間は窓を閉めて内気循環にしておくのがベター。また車で行く際に覚えておきたいのが、万座温泉にはコンビニが一切ないということ。飲み物やおつまみ、夜食の類は麓のスーパーで買い込んでおくのが鉄則になります。万座高原ホテル、プリンスホテルともに売店はあるものの営業時間が限られるため、酒盛りを予定しているなら登る前の買い出しは必須。この不便さも含めて俗世から離れた高原らしさかといえます。
1957年開業、西武による万座開発の先駆け。石庭露天風呂を擁する万座高原ホテル

万座高原ホテルは標高約1,800mの万座温泉に建つ高原リゾートホテル。開業は1957年と古く、万座温泉自体は昔からあったものの、西武鉄道グループによる万座温泉スキー場・万座高原ホテル・万座プリンスホテル・万座ハイウェーの整備によって温泉地としての開発が進んだという経緯があります。その先駆けとなったのがこの万座高原ホテル。
三角屋根が連なる外観は、スキー観光地のホテルによく見られる構造で、同じ万座温泉内にある万座プリンスホテルと比べるとリゾートホテルというより湯治場に近い素朴な佇まいです。建物自体は年季の入った箇所も見受けられますが、清掃や整備は行き届いており滞在中に不快に感じる場面はありませんでした。



館内は本館を中心に、こまくさ館・しゃくなげ館・りんどう館という3つの客室棟が連なる構成。本館2階にレストラン白根、1階にレストラン浅間と売店が配置されています。温泉は2か所あり、こまくさ館の1階に大浴場「百泉の湯」、しゃくなげ館のG階に名物の石庭露天風呂という配置。棟から棟への移動が意外と長いため、どの棟に泊まるかで温泉までの近さが変わってくるのは覚えておきたいところです。ロビーはフロントの前に赤い椅子とベンチが点々と置かれた、良い意味で昭和の温泉ホテルらしい空間。天井の低い落ち着いた雰囲気で、大きな扇風機が回っているのがいかにもエアコンのない山のホテルという趣でした。
なお万座温泉は冬になると万座温泉スキー場としても機能する土地で、万座高原ホテルはそのベースとしても使えます。標高が高く雪質にも恵まれるため、夏の避暑地としてだけでなくウィンタースポーツの拠点としても優秀。当ブログでは冬に訪れた際のレポートも掲載しているので、季節違いの万座が気になる方はあわせてご覧いただければ。
【万座温泉スキー場】標高1900mでパウダースノーと温泉を楽しむ。東京から3時間で行ける万座高原ホテルと万座温泉スキー場2023年レポート
3棟の中で最も広い26.5㎡のこまくさ館。エアコンなしでも扇風機で足りる高原の涼しさ



今回宿泊したのはこまくさ館の禁煙洋室。26.5㎡のつくりで、ベッド2台に加えてソファベッド2台を備えており最大4名での宿泊が可能です。今回は3名で利用し、部屋は1階の153号室をアサインされました。渡されたルームキーは棟名と部屋番号が刻まれたアクリル製のもの。3つの客室棟の中で最も広いのがこのこまくさ館で、しゃくなげ館とりんどう館がベッドの縦に並んだ合宿所のような構造なのに対し、こちらは一般的なホテルの客室に近い間取りになっています。万座プリンスホテルの東館ツインが20㎡ほどであることを考えると、同価格帯としてはかなり広めの部類かと。
窓際には丸テーブルと椅子、その隣にデスクが配置され、壁一面には細長いソファが造り付けられているというレイアウト。このソファがそのままソファベッドとして展開できる仕組みで、日中はくつろぎスペースとして、夜は寝床として使い分けられます。とはいえ3名での利用は洋室としてやや手狭に感じる場面もあり、ソファベッドを展開すると床面積がそれなりに埋まってしまうためスーツケースの置き場所には多少の工夫が必要という印象。ただ3名1室の素泊まりなら1人1泊7,000円弱という価格なので、十分に納得のいく水準です。


そして万座高原ホテルで押さえておきたいのが、客室にエアコンが設置されていないということ。用意されているのは据え置きの扇風機1台のみという構成で、真夏の宿泊としては一見不安になります。ただ標高1,800mという立地のおかげで夜になると窓を開けて寝られるほど気温が落ち込むため問題なし。日中に多少暑く感じる時間帯はあったものの、扇風機を回していれば十分にカバーできる範囲。
そもそも暑いと感じたら温泉に移動して裸でダラダラ過ごしていればいいわけで、部屋の空調に頼る必要がないというのが温泉宿の強みかと。避暑地に来ておきながらエアコンの効いた部屋に籠もるのでは本末転倒なので、扇風機で過ごす高原ステイが最高というわけです。なお、客室のベッドのマットレスはフランスベッドのHEC-230を利用。適度なクッション性としっかり体を支える硬さで身体を休めるには最適な寝心地を実現してくれます。



助かったのが水回りの構成。浴槽を設けずシャワーのみとする代わりに、洗面台とトイレがそれぞれ独立して配置されているため、朝の身支度や夕食前の準備で3人のタイミングが重なっても渋滞しません。洗面台は横幅にゆとりのあるつくりで電気ケトルとグラス類が並べられており、部屋飲みの準備スペースとしても重宝しました。ユニットバス型の客室ではこうはいかないので独立洗面台は嬉しいポイントでした。
コインランドリーにマッサージチェア。3泊4日の連泊で効いてくる館内設備



連泊を考えている方にぜひ知っておいてほしいのが、館内のコインランドリー。洗濯機は4.5kgで1回200円、乾燥機は30分100円という設定で、洗剤はフロントで1回分50円で購入できるため手ぶらで洗濯できます。設備は洗濯機が2台、乾燥機が2台という構成ですが、訪問時は洗濯機のうち1台が調整中となっており実質1台しか使えない状態でした。利用したのは滞在の中日で幸い先客はおらず、洗濯物を放り込んでから温泉に浸かりに行き戻ってきた頃に乾燥機へ移すという使い方ができたのも館内に温泉がある宿ならでは。硫黄の匂いが移りやすい温泉地でトレッキングもする滞在では、この設備の有無で荷物量がまるで変わってきます。


こまくさ館の廊下には有料のマッサージチェアが2台。お試し4分100円からVIPコース30分500円まで用意され、長く使うほど単価が下がる仕組みになっています。マッサージチェアはこまくさ館の廊下の奥と、しゃくなげ館の4階エレベーター裏にも位置しており合計3台。最近肩こりが激しい私は30分500円のコースを贅沢にも利用しましたが、温泉で身体がほぐれたところでマッサージというのは至高の時間といえます。
4つの源泉を8つの湯船で味わう石庭露天風呂。ぬる湯で語らい熱い湯で締める贅沢な時間


万座高原ホテルの温泉は名物の「石庭露天風呂」。しゃくなげ館のG階に位置し、8つの湯船(共用7湯・女性用1湯)が岩と緑に囲まれた庭園のような空間に点在しています。自社源泉を4種類も抱えており、それぞれの湯船に異なる源泉が引かれているという構成が最大の特徴で、しかも24時間入浴可能というのが連泊には効いてくるところ。まず姥湯は万座地内で最も湯量のある源泉で源泉温度は約76℃。pH約2.5の酸性泉で古い角質を溶かしてお肌がつるつるになり、空気に触れることで湯花ができて乳白色に変わっていくのが特徴です。
大苦湯は約70℃で姥湯と似た泉質ながら湯花が多く乳白色がより濃く、匂いが強めでヌメヌメとした感触があるのが違い。竜泉の湯は約80℃で、全国的にも数が少ない黄色い源泉です。万座温泉の中では万座高原ホテルにしかないという貴重なもので、硫酸塩の数値が高く塩分も含むことから傷の湯・美肌の湯と言われています。対する嬬取の湯は約90℃と最も高温で、他がpH2.3〜2.5前後なのに対しpH約1.5という強酸性。硫黄成分をほとんど含まないためお湯自体は透明で、湯冷めしにくい「熱の湯」として知られています。
この4源泉が、水晶の湯・早蕨の湯・琥珀の湯・紅の湯・竜泉の湯・嬬取の湯・三味の湯・白滝の湯という8つの湯船に振り分けられています。三味の湯のように姥湯と竜泉の湯をブレンドした湯船もあり、湯船ごとに色も温度も肌ざわりも変わってくるというのが石庭露天風呂の面白さ。案内板には温泉ソムリエ推奨として「姥湯→竜泉の湯→大苦湯→嬬取の湯」の順が示されています。なお石庭露天風呂は共用の湯船が大半を占める混浴形式のため、湯浴み着かタオルの用意が必須です。タオルであれば無料でチェックイン時に貸出、湯浴み着は売店で購入可能です。

今回の滞在では、この石庭露天風呂に友人たちとひたすら入り浸っていました。1回あたり1時間ほど滞在し、湯に浸かりながらダラダラと他愛のない話を続けるという過ごし方。湯船が広く縁も低いため半身浴の姿勢が取りやすく、肩を出して座っていれば長時間でものぼせにくいというのが、この長居を可能にしてくれています。そして源泉ごとに温度が結構違うというのが、この過ごし方に効いてくるところ。ぬるめの湯船に陣取って延々と語らい、身体が冷えてきたら熱い湯に移動して締める、といった組み立てが1か所の露天風呂の中で完結してしまうわけです。
滞在の中日は終日ホテルから一歩も出ずに朝、昼、夕方、夜と入り続けましたが、同じ湯でも光の入り方で見え方がまるで違ってくるのが面白いところ。特に夜、標高1,800mの澄んだ空気の中で濁り湯に浸かりながら見上げる星空は格別でした。

一方、こまくさ館の1階にある大浴場「百泉の湯」も使い勝手の良い温泉。内風呂2湯・露天風呂2湯というこじんまりとした規模ですが、宿泊している棟の中にあるため移動が圧倒的に楽なのがポイントです。眺めは石庭とは異なり、石庭が岩と緑に囲まれた庭園の中に沈み込むような造りなのに対し、百泉の湯は一面の大きな窓や露天から景色をやや見下ろすような視界になっているのが特徴。同じ敷地の中で庭園型と眺望型の2つの温泉を行き来できるというのは、連泊するほど価値が出てくる構成でした。
強い酸性のお湯である点だけは注意したいところ。気持ちよくてつい長湯してしまいますが、肌が弱い方はピリピリとした刺激を感じることがあります。案内板でも初めから長湯せず、入ったり出たりを繰り返して徐々に身体を慣らすことが推奨されており、この入り方を守れば問題なく楽しめるかと。ちなみに酸性が強いおかげで保健所によるレジオネラ菌の検査が免除されているのだそう。また万座高原ホテルの宿泊者は坂の上に建つ万座プリンスホテルの温泉も利用可能で、プリンス側の大露天風呂「こまくさの湯」は高台から山の稜線を見渡せる眺望が売り。今回は高原ホテルの4源泉だけで満足してしまい足を運びませんでしたが、万座プリンス側の様子は過去の宿泊記で紹介しているのであわせてご覧いただければ。
【万座プリンスホテル】誕生日は万座で。道中の景色も、スキーも、硫黄含有量日本一の温泉も堪能できる万座温泉でのんびりと贅沢な週末を。万座プリンスホテル宿泊記
高原バーベキューに館内ビュッフェ、そして温泉上がりの部屋飲み。3泊の食事事情

夕食は3泊それぞれで異なるスタイルになりました。初日は合流の関係で到着が遅くなったため、麓で買い込んでおいたもので車中のうちに夕食を済ませる形に。山の上には店が一切ないぶん、こういう日は事前の買い出しが効いてきます。そして2日目と3日目は、後述するビュッフェやバーベキューと温泉から上がったあと客室に集まってダラダラと飲むのが定番になりました。ワイングラス類はフロントに相談すれば貸し出してもらえるので、持ち込みのお酒を部屋で楽しむ予定があるならぜひ声をかけてみてほしいところ。山の上という環境が加わるだけで、部屋飲みもそれなりに特別な時間になってくれます。



2日目の夕食は万座プリンスホテル側で手配した高原バーベキュー。1人7,300円(飲み物は別)という価格で、屋外のテラス席にウェーバーのガスグリルが1組ごとに用意され、自分たちで焼き上げるスタイルです。スペアリブ、牛肉、鶏肉、ソーセージ、そして大ぶりの海老と、肉も魚介も揃った内容。野菜も嬬恋らしいキャベツをはじめ、とうもろこし、ズッキーニ、なす、かぼちゃ、舞茸と充実しており、この価格帯としては十分に満足のいくボリュームでした。


グリルは鉄板側と網側に分かれており、トングや軍手も一式用意されているため手ぶらでOK。準備や片づけはホテル側で実施してくれるので、ただフラッと行って焼いて食べるだけ。夏とはいえ標高1,800mの夕暮れは涼しく、火の前に立っていてちょうどいいくらいの気温で、キンキンに冷えたグラスで飲むエビスビールが進みます。丸ごと焼いたキャベツの甘さと、香ばしく焦げ目のついたとうもろこしは特に印象的。夏に屋外でバーベキューをして汗だくにならないというのは、高原ならではの贅沢かと。


3日目は万座高原ホテル館内でのビュッフェ。海老の香草焼きや枝豆、海老と帆立、黒きくらげの入ったとろみのある中華風スープ、洋食の前菜盛り合わせ、コロッケ、カレーライスと、好きなものを好きなだけ取り分けられるスタイルです。前夜がガッツリとしたバーベキューだったこともあり、量を自分で調整できるビュッフェは連泊3夜目としてありがたい選択肢でした。朝食も3日間ともブッフェ形式で、高原の野菜を使った小鉢類が並びます。ランチは万座プリンス側の食事処を使う日もありましたが、基本的にはホテルの敷地内で完結する滞在でした。
毛無峠から破風岳へ。小串鉱山の遺構と「この先危険」の看板が待つ稜線トレッキング

滞在2日目には車を走らせて毛無峠へ。万座温泉から20分ほどの道のりで、県境の細い山道を抜けた先に、木がほとんど生えない荒涼とした尾根線が広がります。ここで有名なのが「この先危険につき関係者以外立入禁止」と書かれた白い看板と、その隣に立つ「群馬県」の県境標識。足元には「毛無峠」と刻まれた石碑も置かれています。この一帯にはかつて小串鉱山があり、最盛期には人口1,500人を数えたという場所。硫黄を産出していた鉱山でしたが、災害や日本の経済構造の変化に翻弄され昭和46年に閉山しました。


現在も斜面には当時の遺構が点々と残っており、硫黄鉱山の影響で草木の育たない禿山の景観と相まって「日本のマチュピチュ」とも呼ばれています。ラジコン飛行機の聖地としても知られる場所で、訪問時も機材を広げた方々の姿がありました。そんな毛無峠から先は破風岳への登山道。標高1,999mの山頂までは片道30〜40分ほどで、往復1時間程度の初心者向けコースです。ただし目の前の斜面を九十九折にひたすら登っていく形状のため、それなりに勾配がありますし、標高が高いぶん息も上がりやすく登りごたえは十分。駐車場から山頂までの標高差は約180mほどでした。
訪問時は霧がかかっており、稜線が雲に隠れたり現れたりを繰り返す幻想的なコンディション。振り返って眼下を見下ろすと、先ほどまで車を停めていた毛無峠の駐車場が遥か下に小さく見えるようになります。なお標高2,000m付近は風が非常に強く体感温度が一気に下がるため、夏の装備で登ると確実に寒い思いをするので防風用の上着は必携。足元もサンダルではなくスニーカーかトレッキングシューズを用意しておきたいところです。高地のため紫外線も強く、帽子とサングラス、日焼け止めもあわせて持っていきたいもの。

今回の登山ログはヤマレコで記録していますが、使用した端末はタフネススマホのBlackview Fort 5。IP68・IP69KとMIL-STD-810Hに対応したルギッドスマホで、多少雑に扱っても気を遣わずに済むのが山では心強いところです。破風岳は電波状況も含めてガジェットの実力を試すのにちょうど良いコースなので、機材込みで山行の様子が気になる方はあわせてご覧いただければ。以前スマートウォッチのAmazfit T-Rex 3で同じコースを歩いた記事や、嬬恋プリンスホテル宿泊時に登った記事もあります。
【Blackview Fort 5】Helio G100搭載でAnTuTu58.8万点超えのタフネススマホ。IP68/IP69K・MIL-STD-810H・5000mAhバッテリー搭載のルギッドスマホレビュー
【Amazfit T-Rex 3】ヤマレコからGPXファイルを取り込んで等高線マップに表示できるスマートウォッチAmazfit T-Rex 3で毛無峠から破風岳へ登山してみました
東京から車で3時間・嬬恋プリンスホテルでデジタル・デトックスを実践:本白根温泉・地元食材フルコース・破風岳登山と部屋飲みでSNS疲れを解消してきました
3連休は通信が混み合うものの平日は快適。ワーケーション拠点としての万座高原ホテル

最終日は移動を午後に設定し、午前中を丸ごとワーケーションに充てました。客室にはデスクが備えられておりノートPCを広げての作業に不足はなく、丸テーブルとソファも合わせれば作業できる面が複数あるため、3人が同じ部屋にいてもそれぞれ自分の場所を確保できたのは助かったところ。気になる通信環境について正直に書いておくと、3連休の期間中はWi-Fiがやや遅めでした。宿泊者が集中する時間帯はどうしても混み合うようで、大きめのファイルを扱うような作業には向かないという印象です。
一方で連休が明けて平日に入るとこれが一変し、通信は安定して客室からTeams会議に参加しても映像・音声ともに問題なくこなせました。平日にリモートワークを組み込むという使い方であれば、十分に実用的な拠点になるかと。チェックアウトを15時に延ばしてもらえたため、昼を跨いだ作業まで部屋で完結させることができました。標高1,800mの涼しさの中でエアコンに頼らず仕事ができるうえ、作業に疲れたら温泉に浸かりに行けるという環境は都内のオフィスでは絶対に得られないもの。避暑と仕事を両立させるという意味では、かなり理想的な形かと。
帰路も草津志賀高原ルートで。踊り子と共通運用のE257系で上野へ戻る

作業を終えたらチェックアウトして、再び草津志賀高原ルートを下って長野原草津口駅へ。山を下りるにつれて外気温がじりじりと上がっていき、駅に着く頃には完全に真夏の空気に戻っているというのが、標高1,800mで過ごした4日間との落差を実感させてくれるところ。草津志賀高原ルートの場合は草津温泉の温泉街を通過するため、道の駅も道中にあり利用が可能。万座高原ホテルの売店でお土産を買うこともできますが、道の駅の豊富な品ぞろえの中からお土産を購入しても良い感じです。


長野原草津口駅のホームに降りると、「草津温泉下車駅」と書かれた黄色い看板が出迎えてくれます。吾妻線の1番線に停まっていたのは特急「草津・四万」に使われるE257系。この形式は現在も伊豆方面の特急「踊り子」で活躍しており、運用の巡り合わせで踊り子用の編成がそのまま草津・四万に入ることもあるとのこと。実際に乗り込んでみると車内には「伊豆navi」の広告や下田の風景写真が掲げられたままで、群馬の山あいを走っているのに伊豆の気配が抜けないのが面白いところでした。
帰りの車内では駅弁の代わりに買い込んだサンドイッチとおにぎらずを広げてささやかな打ち上げ。テーブルを出して冷えた缶ビールを開ければ、あとは2時間半ほど揺られているだけで上野に着いてしまいます。峠道の運転から解放されて旅の余韻に浸りながら帰れるというのが、電車とレンタカーを組み合わせる行程の良さかと。運転を担当した身としては、この帰りの一杯のために特急を選んだと言っても過言ではありません。
3泊4日でひとり約6万円。万座高原ホテル避暑旅のリアルな予算感

避暑地に3泊4日ともなると、いったいいくらかかるのかが気になるところ。今回は3名での旅行だったため、宿泊費とレンタカー代・ガソリン代・買い出し代を頭割りにしたうえで、交通費は各自が負担するという形で精算しました。旅慣れた方でも高原リゾートの相場感は掴みにくいかと思いますので、実際にかかった金額をひとり分に均した内訳を載せておきます。
| 項目 | 1人あたり |
|---|---|
| 宿泊費(3泊・入湯税および夕食2回分を含む) | 39,002円 |
| レンタカー代(4日間・Sクラス) | 9,453円 |
| ガソリン代 | 796円 |
| 買い出し(飲料・おつまみ類) | 1,900円 |
| 特急券(往復・指定席) | 3,870円 |
| 乗車券(往復・上野〜長野原草津口) | 約6,160円 |
| 合計 | 約61,200円 |
最も大きいのはやはり宿泊費ですが、この39,002円には2日目の高原バーベキューと3日目の館内ビュッフェという夕食2回分が含まれています。純粋な部屋代だけを取り出すと3泊で1人あたり2万円強、つまり1泊7,000円弱という計算。3名1室で使えるこまくさ館の広さを考えると、かなり健闘している価格帯かと。朝食3回はプラチナ会員特典で無料になっているため、この表には含まれていません。
交通費は特急券と乗車券を合わせて往復で約1万円。えきねっとのチケットレス割引を使うと指定席料金が3割ほど安くなるため、事前予約は必須といえます。レンタカーは4日間借りっぱなしにしたぶん9,453円かかっていますが、毛無峠へのドライブや買い出しを考えると3名で割ればむしろ安いくらい。なお昼食と初日の夕食は各自の実費なので、この表には入れていません。実際にはここに数千円が上乗せされるイメージです。
避暑と湯治、そしてワーケーションを兼ねたい方に最適な標高1,800mの温泉リゾート

万座高原ホテルは、素泊まりなら1人1泊7,000円弱という価格で、4源泉8湯の石庭露天風呂と標高1,800mの涼しさ、そして高原バーベキューまで楽しめる宿泊施設でした。夏でも東京より10度以上気温が低いという環境そのものが最大の魅力かと。エアコンのない客室でも扇風機だけで十分に過ごせてしまうというのは、真夏の東京から移動してくるとまるで別の季節に来たかのようです。
特に良かったのが、温泉に時間を気にせず何度でも入れるという時間の使い方。ぬるめの湯船で友人たちと1時間近く語らい、最後に熱い湯で締めるという入り方を1日に何度も繰り返せるのは、温度も泉質も違う源泉が8つ揃っているからこそです。湯めぐりのために遠出をしなくてもホテルの敷地内だけで完結してしまうのがこのホテルの強さ。温泉にじっくり浸かって身体を休めたいという方には、万座高原ホテルは最高の選択肢になるはず。
3名利用では客室がやや手狭に感じる点や、連休中の通信速度には課題があるものの、都心から2時間半強で辿り着ける秘湯としての価値と、平日であればTeams会議までこなせるワーケーション適性を考えれば十分に納得できる水準。加えて道中の草津志賀高原ルートで火山地帯の絶景まで楽しめるとなると、移動そのものが観光になってしまう贅沢さもあります。日本一の硫黄含有量を誇る万座の湯に、コインランドリーもマッサージチェアも備えた連泊しやすい環境で、3泊4日でも荷物を増やさずに済むというのも連泊向き。やることがなくなっても温泉に入っていれば1日が終わってしまうという贅沢さがありました。夏の逃避行先を探しているなら、ぜひ万座高原ホテルを候補に入れてみては。















